知人の遺品整理をしていたら、こんなものが出てきた。
他にももろもろ出てきたので、たばこと塩の博物館へ行き学芸員の鎮目良文さんに聞いてみた。
まず、上の写真のピース5個セットは昭和38年/1963年に作られたもの。デザインは塩塚四郎氏。専売公社の社内デザイナーで、有名な「今日も元気だ たばこがうまい!」のポスターのデザインも手がけている。
こちらは大河ドラマ『天地人』の舞台、春日山城。
真ん中にいるのは阿部寛で、うしろのどれかは妻夫木聡なのであろう。昭和44年/1969年 デザイン 山田勝広
こうしたデザインの違うたばこはいくつかの種類に分類される。上の薔薇ピースは、「意匠違い」。今でもセブンスターやホープでも見られるもの。春日山のものは「観光たばこ」と言われ、日本各地で作られ、ご当地ならではの絵柄でお土産として人気を博した。
「記念たばこ」というのは何かのイベントに際して作られたもの。
国体などは分かるが(昭和41年/1966年) デザイン 大橋行雄)、火災予防運動(昭和47年/1972年 デザイン 高橋路彦)など小さいことでも作っていたのは面白い。
記念たばこと似ているようでいて、ちょっと趣向の違うのが「広告付きたばこ」。
(昭和45年/1970年)
当時の専売公社として民間の会社からお金をもらってはよろしくないので、万博と札幌冬季オリンピックの時期のみ、収益はイベントに寄付する形で作られた。片面の下部分に会社から提供された図版をはめ込んでいった。
当時一番売れていたものとして選ばれたもの、とはいえ広告が入っても崩れないデザインのハイライトはやはりすごい。上の国体記念もハイライトのフォーマットを活かした好例と言える。
(その2へ続く)