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『KASAI kaoru 1968』
編集宮後です。
少し時間が経ってしまったけれど、
3月に刊行された葛西薫さんの作品集
『KASAI kaoru 1968』のご紹介。

(あ、自社本の紹介じゃありませんよ。
優れたデザイン書を刊行されている出版社、
ADPさんの本です)

『KASAI kaoru 1968』_b0141474_2373264.jpg


サントリーウーロン茶をはじめとする
数々の名作広告やグラフィックを手がけてきた
アートディレクター葛西薫さんのほぼ全作品を収録した図録です。
前半はグラフィック作品、後半が広告の仕事で、
その間にご本人のインタビュー記事が掲載されています。

『KASAI kaoru 1968』_b0141474_2374164.jpg

六本木サイン計画 2009

『KASAI kaoru 1968』_b0141474_2375573.jpg

文華印刷勤務時代に初めて手がけたチラシ 1968-1969

本書の制作意図などは、『デザインの現場』2月号に掲載された
インタビュー記事の中に詳しく書かれておりますので、
そちらをご覧ください。

ここでは、その中の気になる一節をご紹介します。

「自分をさらけ出すこと、こういう本を出すことに
対する恥ずかしさもあるのですが、40年の中で直面した
生みの苦しみ、将来が見えない不安、そういう経験を
ひとつの例として若い人に見てほしい(以下略)」
(『デザインの現場』2月号 p.101より引用)

作品集というと自分のためにつくるという印象が強いのですが、
後輩たちに見てほしいという意図があったことに気づかされます。

この時系列に掲載された作品集を見ていくと、華やかな仕事以前に
たくさんの地道な仕事の積み重ねがあったことが理解できるでしょう。

学生や若いデザイナーにとって
何千円という作品集は気軽に買えるものではないですが、
迷いながらも思い切って買った本であれば大切に手元に置いて、
「自分もいつかこういうデザイナーになりたい」と
強く思い続けることができるのだと思います。

作品集を買うことは、その方の仕事に対して心から尊敬し、
どれだけ真剣に身銭を切れるか試される行為なのではないでしょうか。

『KAORU kasai 1968』
ADP刊
4935円
B5判 512ページ
by dezagen | 2010-04-12 02:21 |