編集宮後です。
7月上旬に烏有書林さんから
『
欧文活字(新装版)』が刊行されました。
原書となった『欧文活字』は、
優れた欧文活字組版で評価の高い嘉瑞工房の高岡重蔵さんが
1948年に執筆した本。欧文書体の成り立ちから分類、組み方など、
現場で役立つ必要最低限の知識がコンパクトにまとめられています。
(もちろん今読んでも十分通用する内容です)
戦後、欧文の印刷物の需要が増えた時期と重なり、
当時、大変な話題となった名著です。
原書の大きさが文庫判サイズなのは、
物資が乏しい時代の紙の節約というのが理由ですが、
組版工がズボンのポケットに入れて携帯できたので
印刷現場で使うのに重宝したそうです。
新装版でも同じ判型を踏襲、本文は新たに組み直し、
中頁には重蔵さんが活字で組んだポストカードを再現した図版(上写真)、
巻頭には重蔵さんのご子息で、『欧文組版 組版の基礎とマナー』で
おなじみ、現 嘉瑞工房代表の昌生さんが、
詩を4種類の書体で活版印刷した作品(下)を追加収録しています。
この本を刊行した
烏有書林さんは、上田宙さんという編集者の方が
つくられた文芸・人文書の出版社。この『欧文活字(新装版)』が
創業一作目の刊行物となります。しおりに活版で印刷された
「No paper, no ink, not a book.」の文字に
上田さんの心意気を感じました。
(ご本人は「心意気なんて大それたものじゃなくて、
iPadとKindleを見ての素直な感想です」とおっしゃってます)
手元に置いて大事にしたい本です。
取り扱い書店はこちら。
http://uyushorin.com/bookstorelist.shtm
烏有書林さんへの直接注文も可能です。
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