ライター渡部です。
レバノンのベイルート行きの最初の目的は「食」。
ベイルートを拠点とする
Souk El Tayebは
(スーク・エ・タエブ、というような発音だったけれど、
言う人により若干違ったのでアルファベットで)
Kamal Mouzawak氏により始まった活動グループで
食を中心にして人々のコミュニケーションをうながそう、というのが目的。
一番の基本は、週1回行われるファーマーズマーケットだが
その食材を使ったレストランを開き、そこで料理教室を行い、
食材のルーツ地方のフードフェスティバルを企画し……
と実に盛りだくさんな内容。
こうした草の根活動を促すにあたって、情報伝達は重要な要素だ。
ウエブサイトもあるけれど、口コミ(よって電話とか)や紙媒体、フライヤーの力が強い。
ウェブサイトのいいところは明確な目的があったときに
すぐさま情報を取り出せるところ。
方や、ニュースレターやフライヤーは、様々なところに置かれるので
その存在を知らなかった人がふと目をとめて、ピックアップし、
初めて知る、情報を得る、という利点がある。
レバノンという土地は、国内でも宗教上の違い(イスラム教、キリスト教など)や
民族の違いや、あるいは海外に移住した人が戻ってきたり、
首都ベイルートと(生産者のいる)地方では情報量も文化も違い
それぞれコミュニティの持ち方が異なる。
マーケットに出している生産者の人の中には、メールアドレスを持っていない人もいたし、
日本のように全国津々浦々ネットが普及しているわけでもないようだ。
そうした中で、主催者、消費者、生産者、をそれぞれ繋ぐ道具として
ネットよりも、物としてあるフライヤーのほうが有効だと感じた。
また、使用される紙は、レバノンで作られるかなり粗めの再生紙。
時折印刷の文字を邪魔するほどの粗さだが、
紙はいつも白いわけではないことを意識させるのに役立っている。
これらの印刷物のグラフィックは、Mouzawak氏
(学生時代にグラフィックを勉強していた)がほとんど,自ら手がけるもしくは
ディレクションを行っている。
ロゴのデザインは、レバノン及び地中海地域を原産とする
「小麦」「オリーブ」「ぶどう」を描いたもの。
Mouzawa氏がアイデアを出し、Maya tawil氏がデザイン。
他、写真上のニュースレターのバックナンバーは
http://soukeltayeb.com/pressNewsletter.php で見ることもできる。
ニュースレターのデザインはGenia Kodash氏が手がけている。
布のパターンのようなフライヤーも同じく、Kodash氏のデザイン。
グラフィックで面白いと思ったのは、アラビア語と英語のバイリンガル表記の扱い。
アラビア語は右始まり、英語は左始まり、なので、
併記しにくいかとおもいきや、シンメトリーにすることで問題解消。
文字の進行方向の違いが、むしろ配置の面白さに繋がっている。
写真は簡単な並列の例だが、上下逆にしてみたり、対角シンメトリーにしてみたり、
レバノンのバイリンガルグラフィックはかなり興味深い(読めないけど)。
ちなみに、ベイルートはフランスの影響が強かったことから、
ほとんどの人が公用語のアラビア語、フランス語を喋る。
おまけに英語もほとんどネイティブ並に喋る人が多い。
次回はレストランのインテリアなどについて。