エキサイトイズム エキサイト(シンプル版) | エキサイトイズム | サイトマップ
エスタックイブシリーズのパッケージ
新村則人さんのウェブサイトを見ていたら、風邪薬「エスタックイブ ファイン」のデザインをした、と書いてあった。2007年12月から発売され、2009年8月には「エスタックイブ」「エスタックイブエース」も発売され、デザインを統一したシリーズとなっている。
b0141474_80688.jpg


風邪薬のデザインについては、2008年の12月に大正製薬のパブロンを取りあげた。
http://blog.excite.co.jp/dezagen/10079941/
この取材時に知ったのは、風邪薬に限らず薬のデザインは変えにくいということ。「薬は昔から使っていたものを使い続ける傾向にある」という。色はかなり敏感な要素で、暖色系が主流だけに青は使いにくい、1992年に発売したパブロンNでは青を起用したが定着しなかった、と聞いた。

ところが、このエスタックイブのシリーズは「青」を切り口にしている。現在、風邪薬売り場を見に行くと主流は暖色系であることは変わらないが、エスタックイブの他に「ルルアタックEX」(2009年7月発売)や「バファリンかぜEX」(2010年9月発売)など青いパッケージが増えていることに気がつく。この2年ほどの間に「青い風邪薬」の新しい潮流が始まったようだ。

エスタックはなぜあえて新しいものに挑戦したのだろうか。
「エスタックイブファインは効能の高い新しい薬だったので、新村さんには全く新しい、これまでとは違うものを作って下さいとお願いしました」と、エスエス製薬クリエイティブディレクターの中根俊成さんは言う。「新村さんの提案は当初、どちらかというと旧来の白+赤+金を踏襲して差し色的に青が入る、という程度だったのですが、青のバランスをどれくらいにするか、という色んな提案を見せてもらっていくうち、青の地色になったんです。弊社で出ている鎮痛剤イブシリーズが青ベースでしたので行けると思いました。また青はシャープな印象も出ますから」

今回のエスタックイブファインは特に20代から30代の会社員、医者になかなか行く時間がない人をターゲットにしているという。
今も続く風邪薬の暖色系デザインは、身体を温めるイメージに加え、病気の人を温かく包み込む、というアプローチだ。だが、今の会社員は(フリーランスもそうではあるが)風邪を理由に早めに帰って布団でぬくぬく、などなかなかできない状況ではある。エスタックイブファインのシャープな青は、そんな厳しい時代にかちっと合ったデザインだ(さらに言えば、オレンジの人間のキャラクターは上を向いて病気に立ち向かう意志すら感じさせる)。

b0141474_803991.jpg
b0141474_803148.jpg


新しい青、シャープな青と色の話ばかりになってしまったが、とはいえ、商品名があり効能があり、説明があり、と、薬らしいルールも踏襲したものであり、薬のイメージを覆すほど斬新なデザインというわけではない。その新旧のバランス、組み合わせが成功したのは新村さんだったから、と言える。
「特に既存のイメージを意識したわけではありません。ただ薬のパッケージも初めてでしたし、僕自身あまりパッケージデザインの経験は少ないんですね。薬のデザインはどこにどういう情報を入れるか、ほとんど決まっているので、エスエス製薬さんから薬独自のルールなどを何度も聞きながら、意見を交換して作っていきました。ロゴは旧来のイブの文字を意識して欲しいというリクエストが出たのですが、もともとのロゴが美しかったのでやりやすかったです」

広告やロゴマーク、あるいは竹尾見本帖本店でのイベントなど、様々なジャンルに亘る新村さんのデザインを見てみると、それぞれスタイルは異なれ、クライアントに、エンドユーザーに優しいデザインだと感じる。カッティングエッジでゴリ押しするのではなく、それまで見てきた人々に無理がなくすっと入っていくような、それでいてちょっと新しい風が吹いている、そんなデザインだ。
今回のエスタックイブシリーズのデザインは、シャープな新しさがありつつ、いわば新村式優しさが含まれているからこそ成功した事例だと感じた。

b0141474_81976.jpg


新村氏と中根氏

エスエス製薬 エスタックシリーズについての詳細はこちらで
http://www.ssp.co.jp/product/stac-kaze/
[PR]
by dezagen | 2010-09-09 07:15 | プロダクト・パッケージ