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JAGDA TOKYO 学生の日 2010
ライター渡部です。
現在香港におりますが、先週のお話を。

11月28日の日曜日、「JAGDA TOKYO 学生の日 2010」が開催された。プロのグラフィックデザイナー、デザイン関係者が講師となり、主に美術系、デザイン系の学生である参加者のポートフォリオを直接講評する、という、まことに学生にとっては貴重な機会である。
と、客観的に書き出してみたが、実は私的には冷静なことではなく、そこでおしゃべりせよ、という命が下ったのだった。

秋山孝氏、大澤悟郎氏、奥村靫正氏、柿木原政広氏、菊地敦己氏、木住野彰悟氏、工藤強勝氏、榮良太氏、澤田泰廣氏、高井薫氏、田中良治氏、永井裕明氏、信藤洋二氏、林規章氏、日高英輝氏、平林奈緒美氏、福岡南央子氏、福島治氏、松下計氏、大塚いちお氏(イラストレーター)、木村文敏氏(タイプデザイナー)、栗山和弥氏(CREATURE/フォト・レタッチャー)、森岩麻衣子氏(凸版印刷/プリンティングディレクター)、山本真希氏(東北新社/CMディレクター)。

というそうそうたる講師陣! 139名の参加者!
さすがに緊張しまくり、心の冷や汗がどくどくと出た、のだが、ここはやはり客観的にレポートとして書くことにしよう。

(余談だけれど、桑沢学園の展覧会があったり、東京造形大学に行く用事があったり、IFFT展で大学時代の同級生に十数年ぶりに出くわす、など最近学生時代を思い出させることがたてつづいている。実技ができなかったダメ学生としてはビクビクしっぱなし)

プログラムは講師の「職種紹介レクチャー」と「作品講評会」との二部構成。
さすがに140人近い人数を一同に、とはいかないので、参加者は半分づつ、2つの部屋に分かれて受講。

私が参加したグループのレクチャーは以下の通り。

大塚いちお氏と日高英輝氏で、イラストレーターの仕事について。
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大塚氏が、結果を想定して描き始めると小さくまとまってしまうので、伸びしろをつくっておくという話が印象的だった。デザイナーから見ればどんなイラストを出してくるのか楽しみであり、イラストレーターからはデザイナーがどう返してくるかを楽しみにしている。制約はもちろんあるのだろうけれど、意外性や驚きを仕事の中でも楽しみながらやっていることが感じられる対談だった。

大澤悟郎氏(パナソニック宣伝グループ)と奥村靫正氏は、企業の宣伝広告について。
こちらはさすがに巨大企業(パナソニックの社員数は世界合わせて38万人と聞いてびっくり)。普段あまり目にすることのない企業向け広告から、皆様おなじみパナソニックドラマシアター(旧ナショナル劇場)水戸黄門のポスターまで、バリエーションに富んだ作品が並ぶ。ベトナムや中国など海外の言語で作られるポスターは、言葉がちゃんとニュアンスが通じるものになっているか、が難しいところ。
後で大澤氏に聞いたところ、1つの広告を出すのに、確認のハンコが30くらい必要なのだそうだ。めまいがしそう。

栗山和弥氏と柿木原政広氏で、フォトレタッチャーの仕事について。
実際にどう合成していくのか、そのプロセスを見せてもらったのが楽しかった。アメコミ風に作り込んだ宅配会社のポスターは、凡庸な1つ1つの写真が暗黒の都市を作り上げ、人物の陰影をくっきりとさせるとちょっと怖い人風になったり、とドキドキする展開。

最後に渡部千春と松下計氏で、デザイン媒体で編集者とエディトリアルデザイナー、ライターがどういう順番で仕事を進めているのかをお話させてもらった。

第二部は講評会。
参加者約10人が1チームになりポートフォリオを並べ、2人1組になった講師陣が25分づつ、4チーム見て回る。

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講師の立場からすると約40人のポートフォリオを見て回ることになるのだけれど、単純計算して1人のポートフォリオを見るのが2分半ほど。それぞれのポートフォリオにいいところ、悪いところがあり、それを瞬時に判断して、適格なアドバイスを出すのはなかなか至難の業、なのだが、私と組んでくれた松下氏はさすが現役先生だけあって、びしっと押さえるところを言葉にしている。「松下さん、すごい」と感心していたらそれで2分過ぎてしまい、参加者の方には申し訳なかった次第。

私からすると、学生の皆さん一様にある程度のレベルはクリアしていて、ポートフォリオのまとめ方もそこそこ出来ている。学生でここまで出来るんだったらすごいな、と思う(のを口にも出した)のだけれど、恐らく参加した学生、主に大学3年生から4年生にとってみれば一番気になるのは就職なのだろう。
どういった職種に就きたいのか、と聞いて回ってみると、主催がJAGDAということもあるとは思うけれど、圧倒的に「広告関係、できればADになりたい」と言っていたのには正直驚いた。「デザインの仕事をしたい」「デザイナーになりたい」ではなくて、「ADになりたい」というのは、今ADという言い方のほうがポピュラーなせいもあるのかもしれないが、ニュアンスはやはり違う。
AD、すなわちアートディレクターは文字通り、ディレクション=方向性を示す、ことが仕事である。また映画監督をディレクターというように、人を牽引する力も必要だ。圧倒的なデザインのうまさも牽引力になりこそすれ、デザインのスキルだけではない牽引力、説得力が重要だと思う。その素養があるかどうか、2分半では見極められなかったのは、私の至らなさであるのかもしれない。
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by dezagen | 2010-12-03 11:08 | イベント