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香港のデザイナー マイケル・レオン
ライター、渡部です。

 以前このブログの香港のレポート http://blog.excite.co.jp/dezagen/14541462/ でちらっと触れたHong Kong Honey(以下、香港ハニー)のマイケル・レオン(Michael Leung)さん、内外のメディアに数多く取りあげられている香港期待の大型新人デザイナーである。年末に行われる2010年の香港ヤングデザインタレントアウォーズ(Hong Kong Young Design Talent Awards http://www.ydta.hk/2010/pages/winners/2010/michael.php)も受賞した。

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 香港ハニーは香港の地元で養蜂、蜂蜜や蜜蝋製品を製品化し、蜂の生態を知ってもらい、地元で作り地元で消費することでフードマイレージの意識を高める啓蒙活動である。今年1月に設立し、7月に商品を発表し本格始動した。
 こうした食、環境のプロジェクトは世界各地でよく行われているが、デザインのブラッシュアップを加え、環境問題という大きな課題を堅苦しくも説教臭くもさせず、一般的に欲しいと思わせる商品、より知りたいと思わせる内容にしている。

 まずはこちらが商品。

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photo: Nelson Chan

 ハニカムをモチーフとする六角形のデザイン。包み紙は伝統的な中国の薬屋などでみられる紙包みを参考とした、とのこと。

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photo: Nelson Chan

 蜂蜜のパッケージは一般的に売られているグラスに、蜜蝋の蓋をしたもの。蓋は蜜蝋のキャンドルになっている。使い終わった後、保存瓶に入れ替えた後でも使え、極力ゴミを少なくする配慮からグラスを起用した。
 キャンドルは海外発送も受けるが、残念ながら蜂蜜は地産地消のポリシーから香港のみ。欲しい方は、香港まで飛ぶべし。

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 商品発表の当初からCIを整備。ロゴをベースとして、ウェブサイトwww.hkhoney.orgやリーフレットなど、かなり黒に近いグレー地もしくは白地に、黄色の文字やイラストを置くのが基本となっている。
 一般的に蜂蜜やキャンドルのデザインは、かわいらしいデザインに行きがちなのだが、香港ハニーは男性客もすんなり手に取れる力強いデザインだ。
 
 養蜂、製品化以外に、啓蒙活動のコミュニケーション方法として、キャンドルメーキングのワークショップやアーティストとのコラボレーションのエキシビションなど、香港ハニーの活動は多岐に亘っている。

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「illustrations by KS」
photo : Nelson Chan

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「High Rise Hive By HK Honey in collaboration with Michael Wolf」 photo : Nelson Chan

 写真は11月〜12月に行われた香港Detourでのエキシビション。一番下の写真は、写真家マイケル・ウルフ氏とのコラボレーションで、香港の団地の写真を、団地のミニチュアのように立体化したもの。ここから養蜂ができる可能性や、蜂の巣の中のように人口密度の高い居住環境について喚起させる。
 個々に全く個性の異なる作品、活動なのだが、しっかりとしたブランドイメージはそれらをばらけさせずに1つのプロジェクトと認識させる力を持っている。すでに私の中では黄色い六角形=香港ハニー、とすり込まれてしまっている。

 レオンさんの活動は香港ハニーだけではない。プロダクトデザイナーのキャリアを積んでおり、個人事務所「スタジオレオン (Studio Leung www.studioleung.com)」のデザイナーとしての活動も継続している。
 また「24 アワーマーケット (24 Hour Market www.24hourmarket.org)」という別プロジェクトも進行中だ。

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 これは個人経営の屋台や市場の商品をオンラインで販売するしくみ。市場で屋台を出しても儲けはわずかなもの。店主が寝ている間にちょっとだけお手伝い、というコンセプトだ。屋台の写真を画面いっぱいに使い、雰囲気をも伝えている。

 レオンさんは日常のものごと、小さいことから大きなことまで、あらゆることに目を向ける。彼はとにかく喋る。分からないことはすぐ聞く。知ったことは人に教える。分かってもらえるような伝え方を考える。
 香港ヤングデザインタレントアウォーズの受賞者紹介のページで気になる言葉があった。
「身の回りにあるものに敏感だし、好奇心が湧く。女人街(チープなものが集まる場所として有名な香港の市場街)で見つけた巨大ライターは、店主曰く、大きいのでなくしにくい。ハンバーガー型の電話機は、装飾品として買われていく。家の電話は数が減っているけれど、電話自体が今後通話機能よりもインテリアアクセサリーになっていくことを意味してるんじゃないかと思う」
 日常の中でカッコ悪いとか変だとか思われているデザインにも、理由や受け止め方があり、そうした背景をきちんと把握していくことで、本当にユーザーが欲しいものやターゲット層に届く物や、届く道筋ができるのだ、と私が気がついたのは「これ、誰がデザインしたの?」の連載を始めて2年目くらいからだったが、まだ27だったか28だったか、一般的には「カッコいいデザイン作りたい」くらいの意識であろう年齢で、こうした意識を持って活動しているとは、ここまで書いてきてちょっとシャクになってきた。頭に来ることにルックスもいいし、なんか弱点ないのか、今度会ったときは聞いてみることにする。
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by dezagen | 2010-12-28 15:15 | デザイナー紹介