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CIRCULATION SHUTOKO HATARAKU TOTE
 ライター渡部のほうです。

 昨年のデザイナーズウイークで発表され、話題を呼んだ「CIRCULATION SHUTOKO」の「HATARAKU TOTE(はたらくトート)」。http://c-shutoko.jp  首都高で使用された廃棄物を循環させていくプロジェクトの第一弾として作られた横断幕のバッグだ。
 廃棄物をバッグに、というとスイスのフライターグが思い浮かぶが、フライターグの使うトラック用カバー同様屋外の雨風にも耐える強い素材であり、かつ薄手で、加えて「公的な場所で使われるかっちりした日本語」が柄に入ってくるのは(特に文字好きの皆さんにとっては)魅力である。
 発表から3ヶ月を経て、どのような反応があったのか、今後の展開などについて話を聞いた。

 このプロジェクトを立ち上げた首都高速道路株式会社 事業開発部 事業企画グループの長谷川栄一さんは「予想以上の反響で、トートの製作においては1点1点手作業に近い工程となるため、生産が追いつかず社員もなかなか買えないほどの状況でしたが、やっと生産体制も整備されてきたところです」

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 12月末現在で販売された総数を聞いてみると、400個と意外に少ない。
「デザイナーズウイークでは最初のお試しという感じで100個出したんです。その場でほぼ完売し驚きました。その後は出来たら出す、という状態で品切れ状況が続いていたんです」
 現在民営化されたとはいえ、旧お役所、1つ1つのプロジェクトもさぞかし大きくやっているのかと思いきや、そうでもなかったらしい。
「一番最初は私個人で、横断幕をバッグにできないかと試作していたんです。2009年に社内で社員提案型のプロジェクトアイデア募集があり、まっさきに応募しアイデアが通りました。その後半年ほど社内での検討期間があり、2010年の春くらいからやっと本格始動しました。
会社がものづくりをして販売する、というのはそれまで前例がなかったので、自分達だけでやるのは難しかったためパートナーを探し、トートバッグ専門ブランドのルートートを運営しているスーパープランニングさんと一緒に制作、販売を行うことにしました」

 バッグのデザインはルートートの定番スタイルから3種類とし、一般の人に使ってもらう「はたらくトート」として手に取ってもらいやすい価格帯にすることも念頭にあり、持ち手などのパーツもルートートのものを使用した。

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「GRANDE」(グランデ)
サイズ:横63×縦41×マチ24cm
ポケット:外側ファスナー付ポケット1箇所、内側3箇所 
¥6,090(税込み)


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「MESSENGER」(メッセンジャー)
サイズ:横45×縦38×マチ10cm
ポケット:外側ファスナー付ポケット1箇所、内側3箇所
¥5,565(税込み)

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「FARMER'S」(ファーマーズ)
サイズ:横44×縦45×マチ12cm
ポケット:外側ファスナー付ポケット1箇所
¥5,880(税込み)

 柄に注目してみると、文字や柄をばっちり真ん中に置いたりはしないランダムな配置になっている。リサイクルプロジェクトなため、製品化に際し重要項目とされたのが「無駄を出さないこと」だった。一般的な横断幕横6m×縦1mの布から、柄を重視せず、なるべく多くの型を取れる方法で裁断していった結果だ。
 この偶発的な柄が「デザインされすぎてない感」として好感を得ているという。デザイン飽和の日本らしい現象でもある。 

 とはいえブランドとしてのアイデンティティはしっかり固め、キャンプフォー http://camp4.jp  が担当したロゴ、イベントデザイン、ウェブサイトなどの周辺デザインは、ファッションブランドにも近いカッコよさを前面に出したものとなっている。 

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「ウェブは首都高の看板のような、飾らないかっこよさを目指したテイストで展開しました。
トップページは「首都高×ファッション」として、第一弾商品のリサイクルバッグをファッションアイテムとして打ち出しつつ、その背景にある「首都高発のリサイクルプロジェクト」が感じられるものとして、「道路上に置かれた様々な資材を背景に、その資材から新しく生まれ変わったバッグを持った、ファッションモデル」のイメージを作りました」と、キャンプフォーの飯田優子さんは説明する。

 本家本元の首都高速道路株式会社のサイト www.shutoko.jp とはかなりイメージが異なるが「首都高というイメージと一旦切り離してプロジェクトに接してもらいたかったので、会社のサイトのデザインとはむしろ違う方向性を目指しました。名前にSHUTOKOと入っていれば、なんらか関係性は分かると思います」(長谷川さん)

 製品の発売後、意外な反響もあった。
「横断幕を必要とする夜間工事などがとにかくたくさんあるものですから、首都高を普段使っている人でもそんなに気を使って見ていただくことが難しいところもあったんです。こうして商品になってみると、自分に馴染みのある地名があったり親しみを感じてくれるようで、横断幕自体も注意して見るようになった、という声を聞きます。気持ちの循環システムとしても機能していますね」(長谷川さん)

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(写真:首都高での利用例)

 気になる今後の展開だが、バッグは2月15日から1ヶ月間、東急ハンズ渋谷店にて特設コーナーを設け、以後東急ハンズでも扱うようになる。
 商品の改良も検討中で、ユーザーの声を反映しつつ、持ち手の長さの調整や、既存のパーツからオリジナルのものにするなどの案を考えているところだという。

 加えて、デザイナーの読者に注目してもらいたいのはここ。
http://c-shutoko.jp/process
 プロセス2の「働き終わったら」と書いてある写真の資材置き場、この写真を見ているだけでもアイデアが湧いてくる人も多いだろう。看板、重りとなるタンク、ポール、三角コーンなど、まだまだ再利用ができずに廃棄される資材はたくさんある。

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 こうした素材は、インテリア雑貨、家具など大型の製品にも応用できそうだ。
「ネットワークを広げて、デザイナーさんとも協力しながら新しい商品に挑戦していきたいと思っています」と長谷川さんは言う。
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by dezagen | 2011-02-12 18:44 | これ誰取材記事