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「質と技術の日本」について
ライター、渡部のほうです。
東京では引きこもりのくせに、海外には行く渡部のほうです。

ここしばらく「質と技術の日本」について考えている。

10日間と比較的長いロンドン旅行を終えて、東京に戻ってみると、平常通りの生活が待っている。
今年は韓国(2月)、台湾(5月、9月)、タイ(6月、8月)、ドバイ経由でイギリス(9月)と、海外から日本を眺めるという機会が多く、外から見ると日本は大変なことになっている。3月の地震以来、継続的に揺れ続け、まだ原発の問題も解消されておらず、そんな中に台風も来ている。だというのに、東京自体からは焦りも失望も感じられない。本当に普通通りだ。

未曾有の災害に対して日本がどうするべきなの?という国単位の話は私にはできない。まだ考えることがたくさんありすぎて、よく分からない、というのが正直なところ。
ただ、本当は国的には環境的には気分的には落ち着いていられない状況ではあるのだが、それでも平常を保っていられる、安定性はすごいと思う。これが日本人の一つの特徴ではある。

さて、「質と技術の日本」について。
『日経デザイン』で「日本ブランドが世界を巡る」という連載をしているため、日用品から電化製品まで、日本の製品が世界でどう受け止められているか、ということをここ3年くらいずっと追いかけているのだけれど、今年は特に韓国ブランドとの比較について書くことが多かったこともあり、「日本は質と技術で勝負します」と言われることが多いような気がしている。

上に書いたような、状況に流されない安定性も品質の証だろう。
実際に製品実物を見ても、細かいところでは印刷のズレがないとか糊がはみ出してないとか、バリ(成型するときに型の接合面からわずかに出るはみ出し部分)が見えないとか、リサイクルしやすいパッケージの仕組みとか、目に見えないナノテクとか、日本人としてはこの技術の高さが普通の基準なので、これに慣れて海外に出ると蓋がうまく閉まらないよ、トイレの水がきちんと出ないよ、とかそんな些細なことでイラっとしたりする。

でも大体2日で慣れる。
現地レベルにすぐ慣れる。
その土地の生活においてはその程度でOKだからだ。

でも日本のメーカーとしては、外に出て行く際、日本の高品質を落とすわけにはいかない。
現地生産の日用品などはかなり現地の質に合わせているが、それでも「定評ある日本の質を落とすわけにはいかない」という意地が見える。
それはそれで結構なこと、と思っていたのだが、バンコクで「日本は自分たちのスタイルを作っていて、それを我々に与えている、という印象がある」と言われたのはちょっと気になった。これは家電の場合の話である。きちんと書くと、その前に「韓国はタイ人のライフスタイルに合わせた製品を作っている、一方〜」から続くコメントであった。

これをちょっとネガティブに解釈すると、日本のメーカーは自分達の技術およびスタイルに満足しきっていて、そこまでを必要としないレベルの目線、考え方が抜けている。いわば、上から目線、なのである。

日本に限らず、質の高いもの、技術の高いもの、を考えてみると、例えばスイスの時計とか、驚異的精密に作られた(過去の、清朝時代の)中国の工芸とか、アメリカのオーガニックフードの基準の高さとか(オーガニックフードの基準が一番高いのはアメリカだったような記憶、なのだけれど、ひょっとするとスイスかドイツかも)色々あることはある。
ただ、その質も技術も、分かる人には分かるのであって、分からない人や必要としない人には余計な質や技術である。

「質と技術の日本」を売りにして、分かる人にだけ分かってもらえればいいのであれば、このままでは多分、ハイエンドだけが買えるブランドになってしまうだろう。でも、メーカーの話を聞いていると、どうもそういう感じでもない。日本と同じように、中間層を狙って、それでもまだ「質と技術」を売りにしたがる。

それならば、啓蒙を相当にしなければならない。ここがいい、こう便利だからあなたの生活はぐっと楽になる、ストレスが軽減される、ということを徹底的に伝えなければならない。
しかし、台湾、タイ、イギリスで見る限り、そのコミュニケーションが非常に希薄である。ここでも上から目線を感じずにはいられない。
分かってもらいたければ、顧客の立場になって、ひざまずかんばかりに媚び、バカか?と思われてもお調子者となって、今この瞬間私はあなた様のためにおります、的なサービス精神がなければいけない。
サービスの質の高さも日本の一つの長所ではなかっただろうか。ならば。
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by dezagen | 2011-09-28 09:17 | その他