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取次流通できる本の形
編集宮後です。
今年は変わった形の本を何冊かつくり、
造本についていろいろ考えた年でした。

以前好評だった美術展図録のエントリーにつづき、
取次流通させる一般の書籍の仕様について説明したいと思います。

通常、出版社は書籍の見本ができあがると、
見本を取次に持って行きます。そこで受け取ってもらって初めて
本を書店に配本することが可能になります。
(これを「委託配本」といいます。取次を通さないで
出版社から書店に卸す場合を「直販」といいます)

ですから、この委託配本の場合は、
取次に受け取ってもらえる本の形にしないと
書店に流通できなくなってしまうわけです。
私の場合、ちょっと変わった形の本をつくるときには、
本ができる前に取次に行って配本可能かどうかチェックするようにしています。

書籍コードで流通する本の場合、難色を示される形状は、

・付録つきの本で、付録だけ抜き取られる可能性のあるもの
 (本に挟んであるだけとか、テープで止めてあるだけとか)

・付録つきの本で、本を積み重ねたときにつぶれたり、くずれたりするもの
 (特に荷崩れする危険性のある本は作業員が怪我をしたりするので厳禁)

・付録と本にシュリンクだけかけたもの
 (店頭でシュリンクが破れた場合、付録だけ盗まれるため)

・完全な箱に入っているもの
 (「箱」と認識されると、本ではなくDVDなどのマルチメディア扱いになり
   掛け率が下がる)

・本のページ数が極端に薄いもの
 (以前はダメでしたが、最近付録本が増えた関係で大丈夫な場合も)

・破れやすかったり、崩れやすかったりするもの

などです。

書籍コードで付録をつける場合はハードルが高く、
このようにいろいろな角度から検証をされます。
雑誌コードなら規制がゆるくなるので、
女性誌の付録でバッグがついていたりするわけです。

で、だいだいシュリンクすればOKという話になるんですけど、
シュリンクしてしまうと中が見えないので、
シュリンクせずにいかに流通可能な本の形におさめるか、
知恵をしぼることになります。

一方、最近増えてきた取次を通さない流通(直販)であれば
出版社から直接書店へ本を卸すので、このような規制がゆるんだりもします。

また、出版社によっては危なそうな仕様は全部ダメだったり、
取次に確認して配本してくれたり、まちまちだったりもします。
あと担当編集者がそこまでやるか、やらないかとか。
多分に社内事情がからむので、編集者ががんばってもダメな場合もあります。
(がんばりすぎると社内での居場所がなくなったりもします)

仕様に凝りすぎると重版ができなかったり、デメリットもあるので、
なんでもかんでもおすすめするわけではないんですが、
物としてとっておきたい本では試してみてもよいのではないでしょうか。

美術館の図録で凝ったデザインができるのは、こういった流通を通さずに
美術館のみで販売するからなのです。ただし、図録でも書籍として
委託配本して販売するものは、この流通ルールが適応されます。

美術館図録と一般流通書籍で造本が違うのは、
こうした流通上の制約も関係しているのです。
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by dezagen | 2011-12-27 07:32 | | Comments(0)