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刊行点数が足りないとき
編集宮後です。
年始は取材に行けないので、
しばらく出版の話を続けます。

出版社がどのように書籍刊行計画を立てているのか?
会社の規模や内容によってまちまちだと思いますが、
おおまかにはその年度でいくらの売り上げを上げるために
だいたい何点くらい刊行しましょうというように
年度始めにおおよその計画をたてておきます。

それらが計画どおりに進めばなにも問題ないんですが、
予想以上に返品が多かったり、
予定していた本が出せなくなったりして
年度末に売り上げが足りなくなるという事態もおこります。

それで、現場の編集者はどうしているか?
そういう場合は、
1.あまり原価がかからず、
2.すぐにつくれて、
3.まあまあ売れそうな本というのを
つくるわけですね。

そんな魔法のような企画があるのか?
3.の「まあまあ売れそう」というのは確証がありませんが、
1と2はある程度クリアする方法があるんです。
それが「連載書籍化、改訂版、合本作戦」です。

言い方は悪いですが、
冷蔵庫の中にあるもので何か1品料理を作り、
それなりにおいしそうにするというワザです。

最初の「連載書籍化」というのは、
雑誌連載をまとめて1冊の単行本にするという
至極まともな方法です。

月刊か隔月刊の場合はだいたい3年分の連載記事があれば
追加記事を加えて1冊つくることができます。
ただし、取材記事連載の場合は当時の取材先にすべて
書籍化の許諾をとることが必要です。
場合によっては取材先の状況が変わって再掲載できないところもあるので、
当時連載を担当していた編集者が書籍化を担当するのがベストです。

本文中で「昨年」と書かれているところを西暦に直したり
事実確認をしたり、かなり細かい編集作業が必要なので
ちゃんとした本にするにはそれなりに時間と労力がかかる代物です。

「そんなに手間ヒマかけられない」という御仁には
「増補改訂版」という方法もあります。

これは、わりとロングセラーで売られているガイドブックや
解説書などで使われる方法で、従来の内容に一部改訂を加えて
新刊として刊行しなおす裏ワザです。

どのくらい改訂すれば改訂版として認められるのか、は
グレーゾーンですが、たいていは1折程度、新しい記事を加えたり
内容が古くなっているところを書き換えたりして対応します。

そうすると、以前の本とは別物という扱いになり、
新刊配本できるため、新刊点数が足りないときによく使う手です。

ただし、この方法には落とし穴もあります。
増補改訂版を出してしまうと、すでに流通している前の版の本が
どかっと返品され、もう一度市場に出回ることはほとんどありません。
これはけっこう悲しいものがあります。
増補改訂版は、本当に改訂の必要性がある場合とか
在庫がちょうど切れて重版するとき限定でお願いしたいものです。

そして、三番目の方法が「合本」です。
これは雑誌の特集記事などを2〜3本集めて一冊の本にしたもの。
当時使った印刷の版をそのまま流用し、同じ判型で出すため
かなりお安く制作できます。
(もちろん、取材先最新住所に改訂したり、ノンブルや年号を直したり 
最低限の修正はします)

何冊か合わせて一冊にするので「合本(がっぽん)」と呼んでますが、
最近は合本せずに、雑誌1冊をそのまま書籍にするものも見られるようになってきました。
この場合は安く手早くつくるという目的のほかに、
書店に置かれる期間が短い雑誌から、置かれる期間の長い書籍に体裁を変えて
長く売れる商品につくりかえるという目的もあります。
ただし、すでに雑誌で買っている方も多いため、
書籍化する際に内容がかわらない場合は、あまり売れてないような気もします。

合本や書籍化はその場の緊急事態はしのげるものの、
それが慢性化するとそこから抜けられなくなる怖さもあります。
本当の非常時だけ限定、というようにしたいものです。
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by dezagen | 2012-01-09 20:56 | | Comments(0)