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著者向け出版社の選び方
編集宮後です。
久しぶりに編集ネタです。

「本を出したい」と思っている方は多いと思うんですが、
どの出版社(版元)から出すかという問題について。

「とにかく本を出してくれるところから出す」
「信頼できる編集者がいるところから出す」
「できれば名前の通った版元から出したい」などなど
著者が出版社を選ぶ基準はいろいろあると思うんですが、
「ここに着目するといいですよ」というお話をしたいと思います。
(私が関わっているデザイン、ビジュアル系専門書in中小出版社の場合でお話します)

日本には約4000社の出版社があると言われていますが、
出版社といってもその内情はさまざまです。

わかりやすいところでは、
・規模の大小
・総合出版社なのか、専門出版社なのか
などですが、それ以外にぜひ着目してほしいところがあります。

それは、
・委託なのか直販なのか
・書店営業のスタイル
・本をつくるときのポリシー
・重版に対する考え方
・電子書籍に対する考え方
などです。

順番にみていきましょう。


1. 委託なのか直販なのか

「委託」というのは取次口座を持っている出版社の多くが行う
一般的な書籍流通のスタイルで、本が出たら一定期間書店に置いてもらい(委託)、
売り上げを精算するというやり方です。この方法のメリットは、
取次の流通網を使ってとにかく短時間に大量の本を全国書店に流通させられることなんですが、
どこ書店にどう配本するかという指示ができないというデメリットもあります。
みなさんがイメージする出版社の多くはたいていこちらです。

一方、「直販」というのは取次を通さずに、出版社の営業が直接書店を回って注文をとり、
出版社から書店へ本を卸す方法。書店営業に行かなければならないため、人手が必要ですが、
書店に直接説明して本を売りたい、限られた書店に集中的に本を置いてもらいたい場合には
有効な方法です。

どちらがいい悪いという問題ではなく、本の内容によって向き不向きがあるということ。
一つの出版社でどちらかを使い分けられればいいんですが、そういうわけにもいかず
たいていは委託か直販かのどちらかになります。

で、このことが出版社の経営の仕方に大きく影響してくるわけです。
新刊を委託配本すると、取次から出版社へお金が支払われるため
売り上げ確保のために出版社は新刊を出し続ける、いわゆる自転車操業に陥る危険性もあります。
直販の会社にはそういうシステムはないので、
売れると思った本を地道に出していくということになります。


2.書店営業のスタイル

さきほどの委託か直販かにも関係してくるんですが、
委託&雑誌中心の出版社なんかだと、
書店営業にそれほど力をさかなくても
出版後は自動的に配本されていきます。

反対に直販や書籍中心の出版社は
一冊一冊の内容に応じて書店営業をする必要があるため
ある程度の人数の書店営業がいないと、
営業行為自体が成立しません。

しかし、直販系出版社でも非常に小規模なところでは
専業の営業がいない会社もあり、
編集者が営業も兼ねるか、外部に委託するか、
書店にFAXを流すだけ、といった
省力型の営業スタイルになることが多いです。


3.本をつくるときのポリシー

出版社としてどういう本を出していくのか、という
方向性のようなものです。

総合ジャンルなのか、専門ジャンルなのか、
刊行点数重視なのか、点数は少なくても吟味して出すのか、
編集重視型なのか、営業主導型なのか。

「編集重視型」というのは編集者の自主性を重んじて
その編集者がいいと思った企画を出していく出版社、
営業主導型というのは「今こういう本が売れている」という
のを徹底的に分析してそれに似た類書をつくる出版社です。

営業主導型の多くは、マーケティング重視になるため、
本のテーマと刊行時期だけ決めたらあとは編集プロダクションに
丸投げという会社も少なくありません。社員編集者は何本もの
企画をかかえ、スケジュールと予算の管理だけを行うという
スタイルの会社が多いです。


4.重版に対する考え方

これも出版社によってまちまちです。
順調に売れている書籍ならば即重版となりますが、
何年もかけて少しずつ動いているような書籍では
品切れになっても重版がかかりません。
つまり、その本を欲しい人はいるのに
供給できる本がないという状態。

出版社が電子書籍を手がけていれば、
紙ではなくて電子で復刊という方法がありますが、
電子化にも対応していない場合はお手上げです。

著者にとって、自著が手に入らないというのは由々しき問題。
しかし、出版社側にとっては1回の重版で最低2000部くらいは
刷らないと利益がでないため、簡単に重版できない事情があります。

電子書籍化してもらうか、さもなければ出版権を著者に戻してもらい
他の出版社からも出せるようにするか、のどちらかになります。


5. 電子書籍に対する考え方

最近の出版契約書には、電子書籍化の権利をどうするかという
記載がされています。私が見た契約書には2通りあり、
一つは電子書籍化する際は著者と出版社で話し合って決めるというもの、
もう一つは電子化の権利を出版社が独占的に所有するというもの。

後者の場合だと、電子書籍化の権利も自動的に出版社の手に渡るため、
やろうと思えば自分で電子書籍をつくれてしまうデザイナーや制作会社には
抵抗があると思います。
前者のほうが著者心理にも配慮した契約内容と言えます。


長くなりましたが、この辺で。
最近よく聞かれることが多いので、まとめてみました。
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by dezagen | 2012-05-13 23:37 | その他 | Comments(0)