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ISOT2012
ライター渡部のほうです。

7月5日の木曜日、久々にリアル宮後さんと合流し、文具の見本市ISOT(国際 紙・文具展)に行ってきた。
http://www.isot.jp/

(宮後さんのほうが私より長い時間を掛けて見ていたので、後ほど宮後さんバージョンのレポートもあるかも)

毎年行っているわけではないので、新作なのか新作じゃないのか、分からない私としては、去年も見に行っている宮後さんと一緒に見て回れてよかった。
印象としては、過去よりぐっとノートや手帳など、紙モノが増えている。ブースとして接着系や筆記具のメーカーもあったが、総合雑貨、総合文具のブースなどと合わせてざっくり見た印象の総数では、紙モノの展示がやはり多かった。
この前コクヨのキャンパスノートの取材に行った際「ノートの生産量は微増」と聞いて、書籍や雑誌やパッケージや、紙の生産量はどんどん落ちていくと聞いている中で、「微」とはいえ「増加傾向」というのには驚いて帰ってきたところであるが、見本市の物量を見る限りウソではなさそうだ。

我々が見て来たところ抜粋。

人気の止まらないカモ井加工紙のmt。http://www.masking-tape.jp/
ブースも人がすごかった。
毎年、秋冬と発夏で新作発表をしている。
今回は今年の秋冬。夏から発売される新柄をメインに発表。
(よく見たら写真がブレブレだった。がーん)

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カタログで「生産停止品」となっているものがあったので、寂しいな、と思ったら、アルファベットは使いやすい文字に切り替えたり、縦長だったラベル柄を横長にして幅を短くして使い切りやすくしたり、全体的にもテープの長さを短めにして、買っても使い切れるサイズに変更したり、というような理由から、一時生産停止、ということなのだそうだ。
幅が短くなったり、長さが短くなることで、値段も下がり、より買いやすい商品へと進化を続けている。
こうした細かい改良がmtの人気を確固とさせているのだと思う。

欧文印刷さんとアートディレクター井上広一さんの共同制作ブランドCANSAY。このシリーズの中の「ノートタイプのホワイトボード NUboard (ヌーボード)も、ホワイトボードのように使える紙→ノート型→サイズバリエーション、と展開を続けている。
http://www.obun.co.jp/cansay/nuboard.html

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ノベルティとしても人気が出て来たとのことで、車メーカー用で車の形や、動物の形、表紙の色違い、などをノベルティ用に応用中。
「でもやっぱりクラフトの表紙がいいですよ」と言ったら、「デザイナーさんはこっちのほうが好きなんですよね。でも一般のお客さんはまた違ったニーズですから」と欧文印刷の方。
そうだよな、って私、デザイナーじゃないけど、やっぱピンクとか黒とか、なんか出来る風、かわいい風なのが売れるよね、きっと(ちょっとすね気味)。

デザインフィルは安定した人気。http://www.designphil.co.jp/
新作はイラストを使ったかわいい製品が多かったので、自分に響かなかったが、見せ方が非常にうまい。

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MDペーパープロダクトは、書き心地にこだわったMDの用紙を積み上げてテーブルに。紙がまとまっているのを見るだけでも嬉しくなる渡部・宮後チーム大喜び。

あら、あそこだけなんだか異色、と行ってみたSTALOGY。
https://twitter.com/stalogy (HPは現在準備中とのこと)
埃取りのコロコロや、粘着テープ、フックなどホームセンターでよく見る、生活雑貨のメーカーニトムズと、グッドデザインカンパニーが製品開発から共同で作った文具ブランド。

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これまでの粘着系の技術を活かした、粘着シートや透明付箋、新しいジャンルに挑んだ消しゴムやノートなどを揃えている。
残念だったのは、「これはすごい」という画期的な製品がなかったこと。
上のmtやNUboardも既存のものに+αの考え、微調整、をしながらゆっくりと進化しているのであって、文具の世界で画期的なものを生み出すのは、なかなか大変なことだから、突然新しいもの、を期待するほうが間違っているのかもしれない。

頑張って作ったニトムズにもグッドデザインカンパニーにも申し訳ないけれど、これだけ文具の溢れている日本の中では、表面的なスタイリングをしただけの商品群に見えてしまった。

クラフトデザインテクノロジー http://www.craftdesigntechnology.co.jp/
もそんな感じがしていて、どうも自分で買う気にならない。

文具ではないけれど、先日のインテリアライフスタイル展で見た鳴海の新しい食器シリーズOSORO http://www.osoro.jp/ もそんな感じがして、どうも自分で買う気にならない。

立場が違って、もし私がバンコクや台北(いずれもバブルとデザインブームが一気に来ている都市)のショップバイヤーだったら買うだろう。
きれいなデザイン、きれいなパッケージ。まだそうしたものが現地に少ないから。

でも日本においてはどうだろうか。
きれいなパッケージ、って必要なんだろうか?

と、ちょっと考えてしまったよ、と他のグラフィックデザイナーさんに言ったところ、
「このデザインが好きかどうかはともかくとしても、もし自分に新ブランド開発の話が来たら、デザイナーができるのはパッケージ、見せ方を変えることだけかもしれない。徹底した商品開発や社員教育までに至るCI作りは、個人デザイン事務所ではやりきれないところで、よほど大きいブランディング会社と会社社長の強い意志がないとできないのではないか。」
と、悩ましい答えが返ってきた。

デザイナーの立場を考えるととてもデリケートな話題だけれど、やはり私は大きくブランディングが先に立って、中身よりスタイリングが優先されているものには愛情を注ぎにくい。個人的な見解ではあるけれど。

例えば食品の新ブランド立ち上げ、きれいなパッケージで統一感を出した、というのは納得がいく。
なぜなら、食品の場合、ユーザーとの接触時間が短く、食品そのものに加え「気分」を買うものでもあるから。

文具や食器の場合、ユーザーとの接触時間は非常に長い。時として一生付き合うものもある(全然壊れない定規とか、入れ替え続けるペンとか、パンチ穴空けとか、終わったら同じものを買うノートとか)。
その場合、製品そのものとユーザーの関係は密接であり、見た目(も重要だけど)よりも、その人その人に合った使い勝手、すなわち機能で選んでいることが多い。
また、食器はあまりにも規格化されていると、なんだか寂しい気持ちになってくる。食器には人間の生活と共に暮らす、ほんの少しの愛嬌というか、味わいというか、そんなものが自分に合うか合わないかの基準になってくるのだと思う。
(ただ、OSOROの場合は、ホテル、レストランなどケータリングビジネスにはいいのではないかと思う)

私がひねくれているのだろうか。
インテリアライフスタイル展にしても、ISOTにしても、新製品でブランド感が強すぎるものほど(昨今ややその傾向は強い)腰が引けてしまう。

私は見た目に弱い、いわゆるジャケ買いするタイプではあるものの、使いにくければすぐ捨てる(ここら辺は容赦ない)。こればかりは絶対変わらない愛用品、アラビックヤマト、モノ消しゴム、ペンテルの.e-ball、マッキー極細、他もろもろ、いずれもオシャレではないが、機能が素晴らしいだけに堂々としているところが好きだ。

STALOGYに話を戻すと、最初からこんなに大仰にせず、ニトムズの得意分野を活かした、基幹商品をまず出すべきではなかったかと思う。
そこからじっくりとユーザーの対話を繰り返し出来ていくもの、それがブランディングの本質なのではないかと思う。
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by dezagen | 2012-07-09 03:58 | イベント