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トラフ×イソップ
ライター渡部のほうです。

トラフ建築設計事務所(http://torafu.com 以下トラフ)はなんだか磁石のようだ。色んな面白いコトや人がいつも周りにある。それがまたまた人を引きつけ、物を引きつけ、と連鎖している。
先日、ブログ相方宮後さんが書いたコロロデスク/スツールや、瀧本幹也さんの写真を起用した空気の器や、ミッドタウンの風鈴祭 www.tokyo-midtown.com/jp/summer/2012/furinsaisai.html などなど。常に40くらいのプロジェクトが動いているそうな。

ニュースとしては結構前になってしまうのだが、6月15日に同時オープンした、オーストラリアのオーガニックスキンケア/ヘアケア/ボディケアブランド「イソップ」 http://aesop-japan.com/ の新丸ビル店と横浜ベイクオーター店もまたそんな1つ。

イソップの直営店としては、長坂常氏による設計で青山と銀座に路面店が作られている。
こちらは古材やサイズの異なるレンガを使ったり、インテリアのディテールに強さが感じられる。

「路面店はメインの通りから少し外れていることもあり、知っている人が来る前提。インテリアの個性が立っていてもいい。今回は既存の複合施設に入るので、それまで知らなかった人でも分かりやすく、入りやすいデザインを意識しました」とトラフの鈴野さんは言う。

確かに分かりやすい。
新丸ビル店は周囲の白さに対し、グレーブラウン系の色の壁床棚で統一し空間をきゅっと締めるような効果を、客層はファミリーが多くテナントも賑やか鮮やかな横浜ベイクオーター店は緑の枠をがっちりと作り、そこでまたきゅっと空間を締め、中はすべて白で統一している。棚、カウンターなどはすべて直線で構成され、いずれの店舗でも、茶・白・黒をベースにしたイソップの商品が際立って見える。

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新丸ビル店

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横浜ベイクオーター店

当初、店舗俯瞰写真だけを見た時に、トラフが手がけたにしてはヒネリのない直球なデザインだなあ、と感じたのだが、それは安直な判断で、もちろん隠れた工夫がある。

まず1つは素材。
一見人工大理石風に見えるカウンター、よくよく見ると木目が見える。この素材はOSB(Oriented Strand Board、配向性ストランドボード)と呼ばれるもので、チップ状にした木材を高熱で圧縮加工したボード。通常は床の下や壁の中といった隠れた場所に使われる。無垢の木材のようなまっさらな美しさはないが、強度がある、縁の下の力持ち(ホントにそうだ)的存在のOSBを素肌の状態と捉え、「イソップの製品が丁寧に手入れすることで肌の持っている力を引き出すように、OSBを丁寧に仕上げることで表面にも使える素材に変えた」(鈴野)と言う。

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素のOSB

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新丸ビルに使われている、加工したOSB。

そのままではザラザラのOSBに、半透明ウレタン樹脂(新丸ビル店用はグレーブラウンの色を、横浜ベイクオーター店は白を若干混ぜたもの)をしみ込ませ、何重にも塗って仕上げた。
オーストラリアのHQからトラフに話が来た際に、提案した店舗コンセプトは「モイスチャー」。その時点ではどのような店舗になるか具体的な案はなかったそうだが、半透明の樹脂をたっぷりとしみ込んだボードは、つややかで硬質な表情を作り上げている。

もう1つはなかなかお客さんには見えない(見せない)部分なのだけれど、水回り。
新丸ビル店のスペースは水道が引かれていなかったため、タンクの水を水道蛇口に引き、使用した水を別のタンクに排出する。大きなタンクを使えば入れたり出したりの回数は少なくて済むが、タンクに入った水というのは意外に重いもの。タンクは必要最小サイズにし、キャスター付きの箱に入れて、水の入れ替えがしやすいようになっている。

先にトラフは磁石のようにいつも周りに面白いモノ、人を引きつけている、と書いたが、トラフのすごさはひきつけた面白いモノの魅力をよりよく、さらによく見せてくれるところだと思う。見過ごしかねないモノの実力をきちんと見せてくれる。
今回の発見は「イソップ」のブランドとしての魅力だった。

それまで私自身、イソップ=数多あるオーガニックスキンケアブランドの1つ、としてしか見ていなかったのだが、新丸ビル店でずらりと並んだ製品群を見て、デザインの強さを感じた。
ボトルなどの装飾にはなるべくコストを掛けず、その分中身を充実させる、というのがイソップが始まってから継続している考えだ。同じ茶色の遮光ボトル、ケース、チューブ、モノトーンのラベルを共通化させているため、並んだ時に非常に力強く、安定感があり、信頼感にも繋がっている。

またイソップの主旨として、その地域に合った店舗設計をするため、それぞれローカルの建築家を起用するのだという。商品が置かれる棚の高さ間隔などにはルールがあるが、(銀座店と新丸ビル店の違いからも分かるように)その他はかなり自由。どこのお店に行っても同じ、なのではなく、それぞれの店舗の特徴を楽しむこともできる。

先日パリで見かけた店舗は棚ではなく、壁からお皿が飛び出しているような作りで、小さい路面店の中、丸いお皿に置かれた商品がとてもかわいらしく見えた。
インテリアの観点としては、世界のイソップ店舗巡りをしてみたいと思わせるし(これは無理かも)、パッケージデザインの観点では、是非メルボルンのHQでお話を聞いてみたいと思った(でもこれはできるかも)。

東京のイソップの取材がなかったら、パリのお店を覗いてくることもなかっただろうし、興味が次々と湧いてくることもなかっただろう。
こんな風にトラフの周りは面白いコトが常にあり、取材する側にもインスピレーション(というかネタ?)になる。
本当に希少な才能だとしみじみ感じた。

イソップ 新丸ビル店
〒100-6503
東京都千代田区丸の内1-5-1
新丸の内ビルディング 3F
TEL: 03-6269-9502
www.marunouchi.com/common/JP/shop/detail.cgi?SH_MSH_code=4342

イソップ 横浜ベイクォーター店
〒221-0056
神奈川県横浜市神奈川区金港町1-10
横浜ベイクォーター ANNEX 3F
TEL: 045-534-8912
www.yokohama-bayquarter.com/page/shop/detail/?id=119

さらに詳細はこちらで
http://aesop-japan.com/
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by dezagen | 2012-09-04 23:00 | インテリア