編集宮後です。
さる3月27日に行われた第二回「本とのサロン」で
わたくしが紹介した本。
各国の造本コンクールで受賞した本が国別にまとめられた図録です。
こちらは2008年度オランダの造本コンクール受賞図録。
色紙の上に受賞本を並べてそのまま撮影するという斬新な紹介方法が目をひきます。
ページごとに色紙の色を変えていたりして芸が細かい。
そもそもこの撮影方法だと、同じ本が数冊要るんじゃないかという疑問はさておき。
表紙には文字がなく、四角いから押しのみ。
すごいコンセプチャル。
こちらも同じくオランダの2010年度造本コンクールの図録。
蛍光ピンクと紺の特色使いがきれい。
蛍光とカラーページを交互に入れているので、
この方法だと印刷代がそんなに高くならないんです。うまい。
オランダはへんてこ本がけっこう受賞していて、
この本は、生まれてすぐ里子に出された青年が
自分の家族親戚、近隣住人をたどってつくった顔写真入り人間関係図。
顔写真がぬりつぶしてある人は調査に非協力的だったり、
青年と心理的距離があったりする人なんだとか。
「
世界の美しい本〜珍書編」でも紹介しましたが、ぶっとんでます。
こちらはドイツの2010年の造本コンクール受賞本。
オランダと比べるとなんだか普通に見えますが、
本の置き方を工夫して撮影しています。
これらの図録自体はデザインフィーもそれほど高くないので
毎年違う若手デザイナーが担当することが多いのだとか。
みなここぞとばかり自己主張しながら、
のびのび自由にデザインしていますね。
(入手できなかったんですが、ジオラマをつくって、その中に本を置いてる図録も。
もはや図録なのか何なのかわからないという...)
単調でつまらなくなりがちな受賞図録をどう見せるか、
各デザイナーが知恵をふりしぼっている様子が
ブックデザインにもよく表れていて、楽しくなります。
各国の造本コンクールの図録は、
印刷博物館で毎年行われている「世界のブックデザイン」の
展示期間中に会場で販売されていますので、興味ある方はどうぞ。