エキサイトイズム エキサイト(シンプル版) | エキサイトイズム | サイトマップ
韓国ブランド
ライター渡部のほうです。

最近読んだ本。

b0141474_13543433.jpg
『スーパー・サッド・トゥルー・ラブ・ストーリー』
ゲイリー・シュタインガート著/近藤隆文訳 NHK出版刊
https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00056382013
(画像がやけにデカいですが、ホント面白かったよ、の現れです)

経済破綻と軍事化が進み、人間の社会性やら性的魅力やらもろもろも全部データ化されて、手元のデバイスですぐ分かっちゃうような、なんだかやりきれないねえ、という近未来(あるいはパラレルワールドの)米国が舞台。
ロシア系アメリカ人、39才、ヲタっぽくってキモいレニーと、韓国系アメリカ人、24才、家族関係とキリスト教的罪と罰の意識と買い物欲に挟まれまくりの美人ユーニス、のやりとりで話が進んでいく。
とてつもなく、今(とちょっと先)のアメリカ社会を映し出すお話。

あらすじはamazonのほうが詳しいので、そちらをご参照下さい。
http://www.amazon.co.jp/dp/414005638X/ref=cm_sw_r_tw_dp_djBGsb1FNG5MN

人によって見方はそれぞれ違うようだけれど、私はレニーにはもったいない、全然バランス取れてない、美人のユーニスが韓国人、というところが気になった。

冴えない白人男性がアジア系女性に惹かれる、というのよくある話。
特に韓国系アメリカ人の多い米国では、スレンダーでヘルシーでキレイで(人に依るが)、男性に従順(幻想)な韓国人女性の人気は高い。
と、思っていたところで、こんな映像を見る。


Girls' Generation 소녀시대_'I GOT A BOY'_Awarding YTMA 2013 'Video of the Year'

ファンの投票により受賞者を決める、Youtube Music AwardのVideo of the Yearに少女時代の『I GOT A BOY』が選ばれた受賞の様子。

プレゼンターを務めた2人のコメディアン(小さいほうがジェイソン・シュワーツマン、もじゃもじゃな方がレジー・ワッツ)と、トロフィーを受け取りに来た少女時代のティファニーが並ぶ様子は、『スーパー・サッド・トゥルー・ラブ・ストーリー』のレニー(もしくは作者のシュタインガート)の夢を膨らませるにふさわしい図である。

いわゆる二枚目タイプハンサムではない2人とドレス姿の美少女。
コメントもウイットや皮肉の効いたものではなく、直球な素直さ。
流暢な英語(ティファニーはサンフランシスコ生まれの韓国系アメリカ人)と韓国語で
「本当に素敵。Youtubeは私のベストフレンド!最初のYoutube Music Awardに参加できるだけでもすごいのに、受賞できるなんて、全然想像してなかったの。もうすっごいエキサイティング。でもなんか私達にはもったいないような気もしちゃう。みんなありがとう。みんなのこと、愛してる。」

Youtube Music Awardは特に立派なコンサートホールでもなければ、正装でもなく、えらいカジュアルなセレモニー。
そんな中で、ぽんっと現れた、美しく、謙虚な、清楚ないでたちの韓国人女性。
これはハートを射貫かれても仕方ない。

韓国美人の話はこの辺でストップすることとして。
「少女時代がYoutube Music Awardを受賞した」ということについて、韓国のメディアは
「米国CNNは「少女時代、マイリー・サイラス、レディー・ガガを抜く」という記事を掲載。 米国最大日刊紙USAトゥデイは「少女時代が授賞式でレディー・ガガや別の候補者を抜いて受賞したというのは、明らかに若い歌手たちにとって衝撃だった」と評価した」
「世界的なオンラインプラットフォームで韓国アーティストが世界の人気スターたちと競争し成し遂げた最初の記録であり、韓国の音楽と歌手が世界中の音楽をリードすることを証明した」
などとかなり強気で伝えている。日本のメディアも概ね似たような内容だ。

とはいえ、Youtubeで投票を募り最高賞を受賞することと、世界の音楽界をリードすること、は意味が違う。
投票数を水増し工作したという話もあるようだが、その真偽はさておいても、Youtubeでの韓国アイドルの人気は世界レベルで見ても高い。熱狂的なファンが多く投票したことには間違いないだろう。
だが、それはこれまで「世界的スター」と言われてきた、マイケル・ジャクソンやマドンナや、もう少し遡ってビートルズやプレスリー、といったスターとは違う。
Youtubeという個人とモニターの間だけで展開される世界だけで、お金を払わずとも楽しめる世界のみで、少女時代は評価されたのである。

韓国メディアももちろんこうした背景は分かっているはずだが、その上で、あえて強気な発言を繰り返す。「韓国が世界に評価された」と。

韓国の音楽業界は、世界に認められるために努力を続けてきた。
無料で見れるYoutubeにビデオを流し、ファンが撮影した映像、DVDの映像、テレビで放映されたもの、CDなどから取った音源をファンがアップしても、ほとんどの場合許容してきた。
当然コピーされ、CDや正式な配信での収益は減るが、PR効果は高い。
ファンは自分で字幕を付け(英語に加え中国語、ベトナム語などアジア圏の言語はもちろん、トルコ語、ロシア語、スペイン語、アラビア語とどこまでも広がっていく)、ファンがファンを呼ぶ。

海外公演の観客が韓国や近隣アジアからのファンや地元の韓国系の人々がほとんどだったとしても、「○○で公演を行い成功させた」と伝える。
国内外のライブでは観客の中の白人をカメラが捉え、プロダクションや音楽会社の公式ビデオとして流す。
白人=世界の中心、という意識もあるだろう(作っている側にあるかどうかは分からないが、視聴者である多くのアジア人の中でいまだ根強い感覚だと思う)。アジア人から最も遠い人種である白人まで行き渡ったという効果もあるだろう。

韓国の音楽業界がYoutubeを好んで使うのは、これまで収益の大きな源とされてきた音源(レコード、CD、配信)からの利益を上げることが目的ではなく、PRに力を入れることが目的であって、その最終的なゴールは「韓国が世界に評価された」となる。

この方法は音楽だけではなく、ドラマでも映画でも同じだ。
韓国ドラマや映画の人気はまだアジア圏にとどまっているようだが、それでも相当なキャパシティを抱えている。
ドラマや映画を「見る」、俳優、女優を「見る」、音楽を「見る」人々に芽生えるのは、「あのアイドルみたいになりたい」「あの女優さんみたいになりたい」「あのファッションが欲しい」「あのドラマで使われていたあれが欲しい」と、次の消費欲に繋がる。

やっとデザインの話になるのだが、先日から「日経デザイン」の連載『日本ブランドが世界を巡る』約5年を終えて感じたことをこのブログで綴っている。
気になったこととして「世界的に韓国のブランド感が高まっている」ことを挙げた。

東南アジアから中近東圏に旅行すると、空港で使われているモニターは概ねサムソンかLG。広告も大きい。
ヨーロッパのホテルでもサムソン、LGのテレビをよく見る。
サムソンのギャラクシーが世界的に普及している。
こうした韓国製品の台頭の背景には(政治的云々はさておき)、特にアジア圏では、例えば俳優やアイドルを起用したCMがあったり、ドラマで使われていたりというストーリーがあるのだ。
電化製品や車だけでない。ファッション、アクセサリーなどとどんどん幅が広がっている。

以前もこのブログに書いたような気がするのだけれど、マレーシアの知人に「日本(の製品)ってお高くとまってる感じがする」と言われ、ちょっとショックを受けたことがあるのだけれど、確かに「うちのは高品質でございます。ですのでお値段も高いのでございます」とのっけから言い放つ日本の製品にそう感じるのは無理もない。
ましてや、Youtubeから何からサービス満点な韓国、ヲタ中年を面倒見る若く美しいユーニス、美しく謙虚なティファニー、に比べたら。

韓国もここまで来るのに時間と労力を払っているはずだし、韓国の方法をそのまま真似しようと思ってもかなり無理があると思う。
が「韓国製品が売れてるのって、安いからでしょ」と思う人は、今から羽田か成田に行って東南アジアとヨーロッパ回ってくるか、そんな金も時間もないというのであれば、『スーパー・サッド・トゥルー・ラブ・ストーリー』の一読をお奨めいたします。
[PR]
by dezagen | 2013-11-12 22:16 | その他