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『デザインの現場』のこと(1)
編集宮後です。
最近、『デザインの現場』のことについてよく聞かれます。
公式ページがすでに残ってないことに加え、休刊した理由がよくわからないからかもしれません。

『デザインの現場』(以下、デザ現)は、月刊『美術手帖(BT)』の別冊として『デザインの現場から』という雑誌名で刊行されました。BTと同じA5サイズです。その形態で3号出たあと、1984年1月号から『デザインの現場』に名称変更され、B5判の隔月刊定期刊行誌となります。

創刊1〜5号目までの特集記事を見ていくと、
「GK設計」(1984年1月号)
「資生堂」(1984年3月号)
「ミュージカルキャッツのデザイン」(1984年5月号)
「トミー(注:玩具製造会社のほうです)」(1984年7月号)
「ダイハツ」(1984年9月号)
「松下電工」(1984年11月号)
と企業関係の取材が並んでいます。

たとえば、資生堂の取材では社内デザイン部(宣伝制作室といいます)の仕事場の写真が掲載されているなど、まさにデザインが生まれる現場とそれにたずさわる人を取材していたようです。

創刊編集長に当時の編集方針を聞いたところ、とにかく写真でリアルに現場を伝えることを主軸に
徹底的に現場取材をしていたそうです。まだ職場にコンピュータがない時代なので、仕事場にはいろいろな道具や模型もたくさんあって写真映えすることも幸いしたと思います。
(今だとパソコンが目立ってしまってどの職場も似てしまうのではないかと思います)

1985年からは、木やガラスなどの工芸、コンピュータ、イラストなど、より多彩な特集が組まれるようになります。それ以降も編集長が変わるたびに、内容が変化していき、90年代半ばにリニューアル。90年代後半には再びがらっと内容が変わり、印刷や文字などのテーマが本格的に取り上げられるようになっていきます。私が参加したのはこのころです。
(ちなみに雑誌デザインは、1984年創刊〜1995年まで中垣デザイン事務所、95〜96年あたりが坂哲二さん、96〜2010年休刊までをマツダオフィスが担当しました)

内容が変わっても、創刊当時から貫かれている基本コンセプト「あらゆるジャンルのデザインを取材して紹介する」という指針は変わりません。グラフィック、プロダクト、インテリア、建築、ファッション、写真など、取材対象は多岐にわたりました。

創刊当時の号を見ていて、こんな文章を目にしました。
「モダンデザインから伝統工芸まで、個人のイラスト・絵本からメーカーの機械製品、建築やファッション、舞台デザインまで、わたくしたちの生活にかかわるあらゆる分野を多岐にわたって紹介」。

先輩から面と向かって教えられたことはないですが、無意識のうちにコンセプトを共有していたように思います。誌面は変わっていっても、はずせないコンセプトだけは編集部という場を通じてしっかりと共有されていくのでしょう。

2000年からは文字や印刷などグラフィックデザイン周辺の実用的な情報中心に、読者に役立つ誌面づくりを目指しました。タイポグラフィ、印刷、造本、独立などのテーマは特に人気があり、よく売れましたが、当時から10年以上経ち、社会が変わっている現在も同じようなテーマの特集が繰り返されているのは不思議な気もします。

私たちも最後のほうはそうした特集をリピートをしてましたが、それだけが原因ではない気がします。2000年代のデザイン業界を振り返りつつ次に休刊までのあしどりを追ってみます。[続く]
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by dezagen | 2013-12-23 22:37 | | Comments(0)