エキサイトイズム エキサイト(シンプル版) | エキサイトイズム | サイトマップ
2016 CYBATHLON
ライター渡部のほうです。

5月にチューリッヒに行った際、チューリッヒ工科大学でCYBATHLONというスポーツイベントについて聞いてきました。

CYBATHLON
www.cybathlon.ethz.ch

このイベント、2016年10月にスイス・チューリッヒで予定されているもので、ロボットアシストデバイス、脳波制御装置によるスポーツ競技大会。参加者は日常から義手、義足、車椅子などの使用者。
チューリッヒ工科大学の健康科学技術科で感覚運動システムを研究する、Robert Riener博士の発案から始まっています。
パラリンピックとどう違うのか、と言いますと、パラリンピックで使われる義手、義足などの器具は人力以外の動力を使わない(passive 受動的な)器具。
それに対しCYBATHLONでは、人力以外の動力、電動アシスト、コンピュータ制御などの助力を使い、器具自体が動く(active 能動、自発的な)ものを使用し、義手、義足、車椅子、あるいはブレイン・コンピューター・インターフェースの器具を使った競技を行う、というものです。
なかなか知られていない技術の存在を広め、また同時にこうした技術を使い運動可能になる人々とサポートする技術者の意識向上を目指したイベントです。

健康科学やロボット工学など、私はやや門外漢なのですが、このビデオを見て、

本当にこのイラストレーション(というかアニメというか)のようなデバイスができているの?とワクワクしてしまい、無理矢理押しかけた、という感じでした。

門外漢ではあるものの、義肢や車椅子などの補助器具が人間の身体能力をどう上げていくんだろう、今度どうなっていくんだろう、その時デザイナーはどういう仕事をするんだろう、というのはかなり昔から気になっていて、時々、Youtube のチャンネル 「Paralympic Games」を見たりしています。

パラリンピックで衝撃的な器具と言えば、通称「ブレード」と呼ばれる、スキー板のような義足でしょう。
参考:Athletics - Men's 200m - T44 Final - London 2012 Paralympic Games
www.youtube.com/watch?v=A9Wlp1sTnoY

義足を使った短距離競走は、そろそろ普通の(人間の身体だけで動く)陸上短距離記録を超えるだろう、とも言われています。

義肢は人間の身体の形を模して作られるのが最も効率がいいのではないか、という概念を覆したこの器具。現在はアイスランドに本社を置く義肢メーカー ossur が製作しています。
www.ossur.jp/pages/16346

補助器具が人間の身体能力を広げることにドキドキするのは、子供の頃に見た『サイボーグ009』や『コブラ』、ちょっと違うかもしれませんが、サイバーパンク(最近あんまり見ませんが)、スチームパンクものやクローネンバーグの映画『クラッシュ』の影響がかなりあるかと思います。(やっぱりクローネンバーグはかなり違うかも…)

現実の技術は映画やアニメの世界とかなり近くなっているのだろうか、と、お話を聞きにいったのですが、「実際にはYoutubeの映像のような、空想世界から出てきたようなスーツや機械はまだ出てこないでしょう。2014年の現段階では、どれくらいの参加者が見込まれるか分からないのが正直なところです。技術的に可能であっても、その装置を運ぶことができるか、競技のレベルまで達するかどうか、まだ不透明な部分も多い」という答えでした。
ちなみに現在、以下の6種の競技が予定されています。

1)Powered Arm Prosthetics Competition ロボット義手コンペティション
a)ワイヤーループコース
 義手に繋がった輪を、ワイヤーに通した状態で、曲がったワイヤーに沿って進んで行く。早くワイヤーの最終地点に到達したほうが勝ち。
b)道具を使うコース
 複数、かつ形の異なる生活用品をそれぞれ指示通りに動かす。例えば、ジャーに入った水をコップに注ぐ、など。複数の課題をこなし、速さを競う。
2)Brain-Computer Interface Race 脳波制御によるモニター上のレース
3)Functional Electrical Stimulation Bike Race 機能的電気刺激自転車によるレース
4)Powered Leg Prosthetics Race パワードアシスト義足による障害物レース
5)Powered Exoskeleton Race 装着型のパワードアシスト機器による障害物レース。
b0141474_1191496.jpg


6)Powered Wheelchair Race 電動車椅子による障害物レース
b0141474_1193532.jpg

イラストレーション:D’Arc. Studio Associates Architects

こうやって文字で書くと簡単そうですが、主催者が言うように、まだ難しい面があることも確か。

Functional Electrical Stimulation 機能的電気刺激というのは、あまり聞き慣れない言葉です。Functional Electrical Stimulation  もしくは単にFESは、麻痺してしまった筋肉の神経を電気刺激を与えて動かすリハビリの方法。以下のビデオが分かりやすいかと思います。
http://vimeo.com/84257151

体重支持型歩行アシスト器具は日本の企業や大学が頑張っているので、かなり知られていると思います。
こちらはホンダの例。
www.honda.co.jp/robotics/weight/


CYBATHLONが扱う領域の器具はまだごく一部の人が知っているという程度で、器具の動かし方も、恐らく重さやサイズ、機能の範囲もまだバラバラな状況です。
パラリンピックもやっとポピュラーになってきましたが、プレイヤーのダメージの程度の違いによるレベル分けや、使う器具の規則など、ルール作りや一般認知には相当時間が掛かったはずです。
一堂に会し、ユーザーもメーカーも研究者もお互いに情報交換しつつ、また一般に知ってもらうことで、徐々にレベルが上がっていくのだと思います。
デザイナーの役割はまだ小さいと感じましたが、徐々に器具のレベルが上がり、認知が増す時に、より使いやすい、よりユーザーが「使いたい」と思うような形を作っていくことも必要になってくるはずです。

これは資料を探していたときに見つけた動画です。びっくりニュース、というような扱いですが、本当に物を認知できる義眼や、ハイテクな義手など、技術はここまで来ているのかと思わせられました。
Bionic Legs, Eyes, Arms and Other Super Human Prostheses
www.youtube.com/watch?v=IEoGNvMEIBQ
[PR]
by dezagen | 2014-08-15 00:04 | イベント