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書影の森ー筑摩書房の装幀1940-2014
編集宮後です。GW中に読んだ『書影の森ー筑摩書房の装幀1940-2014』をご紹介したいと思います。

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出版人だけでなく本好きの間で一目置かれる存在で、数々の名著を世に送り出してきた名門出版社、筑摩書房。本書は、筑摩書房で1940〜2014年にかけて出版された書籍の中から234点の装幀を時代別に紹介した書籍。同社社員で装幀を手がけたのち独立した吉岡実さんや栃折久美子さんのほか、社外装幀家らの装幀を3つの時代別に分類し、制作にたずさわった関係者のコメントや回顧録の引用をもとに構成されています。

著者は『装幀時代』『現代装幀』『装幀列伝』など装幀にまつわる著書で知られる臼田捷治さん。臼田さんが所有している資料をもとに、筑摩書房OBや関係者、本書の装幀を手がけた林哲夫さんたちの資料を加えて編集されたそうです。

1940年刊行の『中野重治随筆抄』(装幀は青山二郎。筑摩書房のマークもデザインした)に始まり、2012年刊行の保坂和志著『魚は海の中で眠れるが鳥は空の中では眠れない』(装幀は水戸部功)まで、ずらりと書影が並ぶさまは圧巻。書籍だけでなく、PR誌『ちくま』、図書目録、しおり、投げ込み(本の間に挟む近刊書のチラシ)、新聞広告も掲載されていて、あふれんばかりの愛情が伝わってきます。

それにしてもなぜ一つの出版社の装幀がこれだけの注目を集めるのでしょうか。優秀な社内デザイナーや編集者が代々自社刊行物の装幀を手がけてきたという企業文化のほかに、「恥ずかしい本は出せない」という出版社としての誇りや品格が感じられるからではないでしょうか。筑摩書房に関する本はほかにも刊行されていますが、やはり著者たちの強い愛情を感じずにはいられません。

美術書の出版社の編集者であった著者がこの本を出したかった理由は、痛いほどわかります。本格的な箱入りの全集や書籍の装幀をきちんと記録しておきたいという気持ちと、すでに遠くに行ってしまった大切なものへの憧れもあるのではないでしょうか。

出版元は山口県周防大島の一人出版社、みずのわ出版。著者と版元が時間をかけて制作に携わったことが本から伝わってきます。いま本当に丁寧に本をつくろうとしたら、こういう作り方になるのかもしれません。山田写真製版所による印刷も美しく、手元に置いておきたいと思える一冊です。

書影の森―筑摩書房の装幀1940-2014
B5判糸篝上製本 209頁
収録タイトル234 フルカラー図版730点
本体10000円+税
ISBN978-4-86426-032-9 C0071
http://www.mizunowa.com/book/genre/12-an`nai.html
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by dezagen | 2015-05-07 07:39 | | Comments(0)