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本をめぐる旅@台北
編集宮後です。
藝大で行われた台湾ブックデザインのシンポジウムを聞いたあと、その週末に台北の書店や出版社に行ってきました。

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こちらは『T5』でも紹介されていた出版社、田園都市。1階に書店スペース、社長室、編集室があり、地下のギャラリーでは「ドイツの美しい本」の展示が行われていました。

写真は代表の陳さんと編集の劉さん。陳さんは年に数回、日本を訪れては書店をまわり、気に入った書籍をまとめ買いしていくのだとか。「今度行きたい書店」のリストを見せていただきましたが、どこで情報収集をしているのか、その充実ぶりに驚きました。

同業者同士ということもあり、初版は何部くらい刷っているのか?、どうやって利益をあげているのか?など、わりとつっこんだ話もしてくださいました(ここには書けないけど)。

台湾には再販制度がないので、新刊でも書店で値引きされてしまうとのこと。20%OFFになっている新刊もあり、ちょっとびっくりしました。割引販売されると出版社の利益も減ってしまうため、原価を下げざるを得ず、そうすると原価がかかる凝った造本がしづらくなってしまいます。

そういった事情もあり、一般書店で流通する本はコストカットせざるをえないのだそうです。その反動として、個性的な本をつくる出版社やデザイナーが出てきて、その動きが注目されているのかなと思いました。日本の出版事情はそこまで厳しくはないので、凝った造本の書籍を一般書店に流通させることは可能ですし、実際におもしろい本もたくさんあります。それぞれの国の出版事情が違うので、いちがいに比較はできないのかなあというのが、率直な感想です。

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こちらは、漢聲出版社の直営ショップです。『漢聲』は台湾に古くから伝わる伝承文化や民族風習を伝える雑誌で、独特の造本がすばらしいことでも有名。その出版社が経営する直営店があるというので、行ってきました。『漢聲』のバックナンバーのほか、ポストカードやメモ帳、雑貨など、おみやげによろこばれそうなものがずらりと並んでいます。ずっとほしかった『漢聲』のバックナンバーが日本の半額くらいで売っていたので
即買いしてしまいました。

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この写真はBOVEN雑誌図書館の入り口です。台湾や日本の雑誌のバックナンバーや書籍を事由に閲覧できる図書室で、入り口で300台湾ドルを払うと、一日ゆっくり本を見られます。日本のファッション雑誌やライフスタイル本もたくさんありました。

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『T5』でも紹介されていた活字鋳造所の日星鑄字行。現在は鋳造のかたわら、観光客が自由に見学できるように整備されています。活字のばら売りも行っており、好きな活字をハンコにしてくれるサービスも。2号活字を4つ組み合わせて、自分の名前のハンコをつくってもらいました。1階に活字棚、その奥に鋳造機が数台あり、現在も鋳造を行っているそうです。地下のスペースは書籍資料の保管とトークイベントなどで使われるスペース。ボランティアの方々も多く、みなさんで手分けして、お客さんの文選をしていました。

台湾の書店といえば、やはり誠品書店。24時間営業の店舗もあって本当にうらしゃましいです。松山空港に近い場所に、誠品書店が経営するホテル「誠品行旅」もオープン。ホテルのあるあたり一帯はタバコ工場をリノベーションした文化総合施設「松山文創園区」と呼ばれるエリアで、とても気持ちのいい場所でした。

そうしたおしゃれ書店のほか、昔からある書店も見てきました。台北駅の南側にある重慶南路のあたりには書店や塾が連なっており、資格試験の本がどーんと積まれていました。台北在住の知人いわく、公務員試験を受ける人が多いので、その対策本が売れるのだとか。それ以外だと経済関係の本が多く、芸術系書籍は少ない印象。並製本が多く、本文用紙も微妙に薄いのはコストカットのためでしょうか。編集者の苦労がしのばれます。

言葉が通じない国でも、その国の本を見ていると、「編集者はこういうことを考えながら、この本をつくったのかな」と思いをめぐらすことができます。本を通じて、対話できるのが楽しい。日本で理解されなかった本が外国で評価されたりすると、不思議な気持ちになると同時に、国境を越えて伝わるビジュアルの力を痛感します。
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by dezagen | 2015-12-07 00:47 | | Comments(0)