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カテゴリ:その他( 102 )
マケドニアの街 4 学生寮
あまりにブログを書くのが久々すぎて、書き方を忘れてしまいました。ライターの渡部千春です。

マケドニアの街について、書くのが中断しておりました。
その続き。

どうもマケドニアにいる間、メモを全く残さなかったようで、脳内メモと書籍資料だけで書いているのですけど。。

スコピエの街中にある「学生寮 」に行きましょう、と言われて、行ったところがこちらの建物群。Goce Delcev Student Dormitory。

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竣工年は1969〜1975と、資料により異なるのですが、1000人以上を収容する学生寮なので、順次作っては使用ということかな。

今回は、建築家のGeorgi Konstantinovski ゲオルギ・コンスタンティノフスキ教授ご自身が案内してくれるという、贅沢さ。

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同行者の青野尚子さんのブログ http://www.pen-online.jp/blog/n-aono/1436978753/ にも書かれているので、内容ダブってるけど。

ここは、解説してもらった中で1番印象に残ったところ。階段の手すりが手前は低く、上に行くに従って高くなっている、というもの。階段を上り始めは少し前屈みになるので、ちょっと低いほうがいい、ということですね。
実際、今の人間工学とかもろもろから考えて、本当にそれがいいのか分からないけれども、60年代、様々な生活様式を試行錯誤していたんだなと思います。

棟と棟を繋ぐ、空中廊下のある6階。
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Goce Delcev Student Dormitoryで検索すると「地獄のような住環境」と、カビだらけ、雨漏りだらけの散々な資料が出て来るかと思うのですが(というか、自分で検索してそういうのばっかり出てきた)、実はやっとこの建物、50年ぶり、つまり出来てから初めて、の改装を行っています。

自分の写真を好んで出したいわけでもないけど、トイレ新しいよ、というアピール。
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改装中なので、男子トイレも拝見。それにしてもこんなに開放的でいいんでしょうか、男子。
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基本的な建物の構造や、壁の仕切は変えず、コンクリ壁を磨きなおし、ペンキを塗り直し、床を剥がして磨き直し、キッチンを入れ替え、と、新品同様。これから入る人は幸せです。

昔の名残。鍵(他)入れ。棟の入口の受付にあります。
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こういういい感じのディテールは残して欲しいですが。

改装に入っているのは、確か6棟(記録なし)のうちのまだ1棟なので、全体の建物はまだまだ、だそう。
1階にあるカフェで管理のおじさんと少し喋ってたんですが、「電話は繋がらないわ、ネットは入んないわ、雨は漏るわ、でもう大変だからさっさと直して欲しい」だそうです。
ちなみに改装されている部分ではネットのルーターが至る所にありました。これで雨漏りしたら大変だけどね。

最後に
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この旅をずっと案内してくれたヴィクトリヤさんとコンスタンティノフスキ教授のツーショット。今回、建築家の教授自ら案内してくれたのは、実はヴィクトリヤさんが、教授の教え子だから、というツテからなのでした。
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by dezagen | 2015-09-09 00:38 | その他
マケドニアの街 3 オペラバレエハウス
ライター渡部のほうです。

マケドニアのレポート、もう少々(というか、まだまだネタがあるぞ)。
首都スコピエにある、オペラバレエハウス。
資料によれば1979年竣工。
設計はBIRO 71(Stefan Kacin, Yuri Princes, Bogdan Spindler and Marian Uršič )

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入口付近。
あらゆるパーツが変形四角形(他多角形)で繋がっている、不思議な形。

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中の観客席。青が美しい。

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SF映画に使えそうなクローク。

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クロークのフック。

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玄関ホールのソファとその上の…何て言うんだろう、天井装飾。

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舞台裏も見せてもらいました。

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小道具大道具制作室。美大みたい。

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時計〜♡

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貼ってあるポスターがいちいちお洒落で。

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アクリル(?)の立体サイン。最高。

全体像は掴めないと思うので、より詳しく全体像が見たい方はこちらのリンクでどうぞ。

http://www.skyscrapercity.com/showthread.php?t=1691464
こちらの投稿の一番下に俯瞰写真があります。

美しい建築物なのですが、こちらのサイト下のほうの投稿写真では
http://www.skyscrapercity.com/showthread.php?t=1489696&page=151
あれ、壊してる!?
なんと、この美しい建物の真ん前に新たな建物を作るそうで、実は正面玄関は閉じられているのです。
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緊急に裏口から入るようにしたみたいなんですが、なんとも強引かつ計画性ゼロで、悲しくなりました。
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by dezagen | 2015-07-26 10:47 | その他
マケドニアの街 2 スコピエの郵便局
ライター渡部のほうです。

マケドニアの首都スコピエの街、初めての印象は「放置された街」。
って書くとかっこつけてるみたいなんで、なんか他の言葉ないかな。
作りっぱなし…、というわけでもないし、やっぱり「放置」が一番いいんじゃないかと思います。

例えばこちら
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新しい建築物を作っているところですが、予算が足りず地面を掘り返した部分は埋めずに建てられるところだけ建ててます。草ぼーぼー。
いいのかな…。よくないよな。

スコピエで「超かっこいい!」とうなった郵便局。
Janko Konstantinov(ヤンコ・コンスタンティノフ)設計。1974年、1982年、1989年の3段階に分けて施工。
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コンクリどーん。ブルータリズム建築はこうだよな、と思わせる迫力なのですが、1枚目の草の生えっぷりで分かるかもしれない、ほぼ使われてません。

内部などありし日の姿を撮った方のサイト
http://www.skyscrapercity.com/showthread.php?t=1580186

こんなにかっこいいのに、しばらく前に火事があり、建物の半分くらいは使われていないとのこと。
治さないのだろうか…。
通路的な部分
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割れた窓から撮った内部
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もったいないんだけど、映画の撮影に使えそうな感じがします。
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by dezagen | 2015-07-14 14:29 | その他
マケドニアの街 1
ライター渡部のほうです。

先日マケドニアに行って来ました。

と、言うと大体「マケドニアってどこ?」と聞かれます。
ええ、私だって去年ブルガリアに行くまでよく分かってませんでした。

マケドニアは旧ユーゴスラビアの南端。
外務省のデータ↓
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/macedonia/

バルカン半島の中、南にギリシャ、東にブルガリア、そこから反時計回りにセルビア、コソボ、アルバニアに囲まれた国です。

面積は約2万5千平方キロメートル、大体神奈川県と同じくらい。
人口は約200万人。
なんて説明しても、あんまりイメージは湧かないと思うのですが、大変小さい国で、首都中心部も徒歩で回れそうなコンパクトな街。

現在のマケドニア共和国が独立したのは1991年。
なのですが、民族紛争や政権交代による政治体制の変化などがあり、正確に「現在の」というのは限定しにくいようです。
今回、建築巡りのガイドをしてくれたViktorija Bogdanova ヴィクトリア・ボグダノヴァさんの話では、今の政治体制が出来たのはおおよそ2006年〜2008年からだとか。
歴史は深いのですが、国家としてはとても若い国です。

ヴィクトリアさんは20代半ば、Ss. Cyril and Methodius University of Skopje(スコピエ聖キリル・聖メトディ大学)の建築学科助手を務めています。大学院では都市計画を研究していた方。
もう1人、頼もしい旅の同行者は、建築やアートについて執筆しているライターの青野尚子さん。
スコピエの街の成り立ちから今の失敗例、建築工法から素材まで、3人で色んな話をしながら(炎天下の中…)街巡りをいたしました。

どんな建築物を見て来たか、は次のポストから行きます。
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by dezagen | 2015-07-14 14:06 | その他
欧文レタリングのワークショップ
編集宮後です。
全然、ブログを書いていなくてすみません。

もう1か月以上経ってしまったんですが、5月中旬、東京で書体デザイナー、アレ・ポールさんとニール・サマワーさんのレタリングワークショップが開催されました。

アレさんはアルゼンチンのグラフィックデザイナー/書体デザイナーで
Sudtiposというタイプファンダリーを運営されています。美しいスクリプト体がたくさんあるのでぜひご覧になってください。

ニールさんはアメリカの書体デザイナーで、Positypeというファンダリーを運営。日本に住んでいたこともあるそうです。

で、今回、日本で企画されたワークショップがこちら、
An Analog & Digital Lettering Workshop with Ale Paul and Neil Summerour

世界的にも有名な書体デザイナーからたっぷり2日間、レタリングと書体デザインの手ほどきを受けられる貴重な機会でした。

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参加者に配布されたセットと、ワークショップ受講風景。

5月16日(土) 8:30〜16:30 (1日目)
1日目の午前中はアレさんによるスライドレクチャー。ランチをはさんで、ペン先が筆状になったマーカーでスクリプト体を描く練習。最初はお手本をなぞり、そのあとお手本を見ながらフリーハンドでアルファベットを描く練習が行われました。描いている途中も、ニールさんとアレさんが順番にまわりながら、一人ずつ指導してくれます。

1日目の終わり頃に課題のテーマを発表。Tシャツにプリントするロゴをアルファベットと和文を組み合わせてつくるというもの。ロゴにする言葉は各自が自由に選び、スケッチをしました。どんなロゴをつくるか、いくつかアイデアスケッチをして、この日は終了。

5月17日(日) 9:00〜17:00 (2日間)
2日目は、前日のスケッチをもとにさらにブラッシュアップしていきます。途中で何度か、全員の作品を前に張り出し、見比べながら、アレさんとニールさんが講評していきます。各参加者たちは、そこで指摘された箇所を直しながら、フィニッシュに近づけていきます。最後に完成したロゴを講評してもらって終了です。パソコンは一切使わず、2日間ずっと手で描くという体験は貴重かも。指摘されて直す...というプロセスを繰り返すことで、どこが問題なのか参加者が体感しながら気づけたことが最大の収穫かもしれません。

ワークショッップの解説はすべて英語で行われていましたが、大きな支障はなく、参加した方々は楽しんでいらしたようです。詳細は後日、雑誌のほうでレポートすると思うのでお楽しみに。
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by dezagen | 2015-06-21 18:55 | その他 | Comments(0)
デザイン×ビジネス 最近のニュースから
編集宮後です。
少し前の『Wired』で、ビジネスとデザインの新しい関係について興味深い記事が載っていたので、一部引用してみます。

「多くの組織は、企業デザイン能力を補強する近道として、企業をまるごと買収している。そうしてこうした規模拡大は、なにも米国だけの現象ではない。噂によると、Barclaysは現在、ロンドンのデザイン人材にとって最大の雇用主となっているというし、シングテル(シンガポール・テレコム)は、シンガポールでデザインチームのために大規模なフロアを建設したという。自社の中枢機能にデザインを組み込むという点では、IBMが非常に積極的だ。」(『Wired』Vol.15 p.77より引用)

ほかにも、企業によるデザイン事務所の買収事例として、米CapitalOneによるAdaptive Pathの買収、FacebookによるHot Studioの買収、アクセンチュアによるFjordの買収事例が挙げられていました。つまり、企業が経営にデザインをとりいれるために、デザイン事務所に仕事を依頼するのではなく、デザイン事務所ごと買収して社内に取り込んでしまうという動きが活発になっているということです。

「そういう時代になったのか」と思っていたところ、また大きなニュースがありました。コンサル大手のマッキンゼーがLunarを買収したというニュースです。Lunarは、サンフランシスコ、シカゴ、ミュンヘン、香港にオフィスを構え、工学系、プロダクト、インターフェイス、グラフィックまで幅広い仕事を手がけ、過去30年間に数々のデザイン賞を受賞してきたデザイン事務所。 マッキンゼーがかかえる顧客の問題解決のためにLunarのデザイン力が活用されるそうです。アメリカのデザインビジネスメディアCo.Designによれば、今回の買収により、マッキンゼーは顧客へのデザイン提案が可能になり、Lunarはマッキンゼーの顧客と仕事をすることができるので、両社にとってメリットがあるとのこと。ほかにも、中国のコミュニケーショングループBlueFocusがYves Beharのfuseprojectを買収した話が紹介され、ビジネスにおけるデザインの重要性が増すにしたがって、このような買収が一般的になると書かれています。

日本ではまだそのようなニュースは聞きませんが、、今後十分起こりうることだと思います。世界的に見ると、デザインをとりまく状況が大きく変わりつつあることを感じます。
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by dezagen | 2015-05-18 23:25 | その他 | Comments(0)
weight watchersについて
ライター渡部のほうです。

先日、イギリスのブランディング会社で働く知人がfecebook上で「weight watchers」www.weightwatchers.co.uk のようなブランドは日本にありますか?と聞いていて、その後メッセージでやりとりしながら考えてみたのですが、やはりない、という結果に。

(以下、実際自分がイギリス在住ではないので、ウェブサイトから調べた資料になります)

weight watchersは減量を目的としたブランドで、カロリー控えめの食品(パン類、レンジなどで調理する1食分の食事セット、お菓子、デザート、ドリンク、肉類など)を販売するだけでなく、ウェブサイトではレシピや減量のヒント集を掲載し、また登録メンバーには
1)グループミーティング(leaderと呼ばれるコーチとの面談も含む)+PC上インターネットとスマートフォンアプリの健康管理
もしくは
2)PC上インターネットとスマートフォンアプリの健康管理+専門家とのチャットでの相談
を月10ポンド=約1850円で提供する会員サービスも行っています。
さらにPublic Health (日本の厚生労働省健康局のような部署)やNHS(国民保健サービス)とも連携し、地域のGP(総合医療医、つまり近所のお医者さん)の相談も受けることができるそうです。

カロリー控えめの食品ブランドは日本にもかなりありますが、weight watchersのように食品全般を網羅しているブランドがまずありません。
加えて、こうした食品の製品を購入しつつ、プロによるマネージメントを提供するというサービスそのものが製品となっている事例もあまり聞きません。

「あまり」というのは食品メーカーではないのですが、
タニタのヘルスプラネット hwww.healthplanet.jp 

オムロンのウェルネスリンク www.wellnesslink.jp
などはPCのインターネットとスマートフォンのアプリで体重、血圧、睡眠時間、運動量などの管理ができます。
ヘルスプラネットは無料。ウェルネスリンクのプレミアムコースは月300円。

日本のほうが安くて便利、月に10ポンド=約1850円は高い、と思うかもしれませんが、グループミーティングや専門家との相談を受けられるのであれば、これは別モノと考えたほうが良さそうです。

weight watchersはアメリカ生まれで、現在はイギリス、アイルランド、オーストラリアでも展開しています。
こうした個人の生活マネージメントをするブランドは今後も増えていくと思います。
重要なのは仕組みを作ること。
一般的にデザイナーの仕事というと、この仕組みの中でパッケージを作る、ウェブサイトやアプリのインターフェイスを作ること、になるでしょう。しかし、実際はこの仕組み全体を作り、さらに様々に変化する社会環境の中で仕組みをアップデートしていくこともデザインの作業だと思います。今後はむしろ後者のほうが重要になってくるでしょう。

タニタやオムロンのサービスも非常に丁寧なのですが、あくまで製品のアフターサービスのように思えます。まずは形のある商品ありきで、その商品や後発の商品を買っていくためのツールに見えます。
新しいものが出たら買い換える、という消費のあり方は徐々に変化していて、いいものを長く使いたいと思う消費者が増えていく中では、形のある商品を売るのではなく、サービスそのものを売る、そのサービスのあり方を考えることが今後のデザイナーの役割のように思えます。

例えばサンフランシスコ発のairbnb https://ja.airbnb.com/ は世界中にある既存のスペースを宿泊施設と考え、情報をまとめ、予約システムを作っています。日本ではまだまだですが、アメリカやヨーロッパでは旅行の一つの選択肢として非常にポピュラーなものとなっています。このシステムを発案したブライアン・チェスキー氏(現airbnb CEO)はデザイン学校の出身者。最初の発表はIndustrial Designers Society of Americaの会議だったそうです。その後、技術面の専門知識のあるスタッフと組むことで、システムを確立していきました。

今、自分が美術系の大学で教えていて、アイデアを目に見える形にする方法を教えているわけですが、weight watchersやairbnbのような仕組み、つまり目に見えない形にする方法も選択肢の一つとしてあることを伝えていく必要があると感じています。
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by dezagen | 2015-05-10 13:36 | その他
デザインについて思うこと その2
宮後さんの「デザインについて思うこと」のレス(?)。
渡部より。

90年代より前と後では「デザイン」の言葉の意味や、位置が随分違う、と感じています。

話がぐっと遡ってしまうのですが、産業革命があって、モノが大量生産され、グラフィックにしてもそれまでのビラとは異なる大衆に向けて作られる様になった時に、機能や習慣/慣習を超えた何か=デザイン=形、というアピールがなければ効果が出なかった。
そこでデザイナーという職種が発生します。
形が消費者など受け手に訴求する、という考え方は現在でも続いていますが、
宮後さんの言う通りで「王道的なものを中心にとりあげていく」(その時代では、王道的なものをフォローしていく)ことに「おさまりきれないものも増えてき」た。

王道が中心を行く時代というのは80年代がピークなのではないかと思います。
その時代までは「大手企業」があり「マスメディア」がものを言う時代で、スターデザイナーも求められました。
ですが、現在、大手やマスメディアがどんどん崩れている。

80年代以降、ウィークマンやビデオの普及で個人化した消費者のニーズがばらばらになってきたこと。
コンビニエンスストアなど業態の変化もあり、朝起きて夜寝るという、皆が同じ行動を取るわけではなくなってきたこと。
インターネットの普及で、一つの現象やモノやコトが、個に向けられているのか、大衆に向けられているのか、曖昧になったこと。などが理由として挙げられます。

今の学生は90年代生まれですから、子供の頃からメディアは「自分」に向けられているし、クラスや家族や地域など、自分が収まる集団の全員が同じような環境や情報で育っているわけではない。
スターがいたとしても、私にとってはスターでも、隣の人にとってスターというわけではない。
「昨日のあれ見た?」という会話にしても、時間を気にせずに流れていくネットの中では「昨日」という時間の感覚もなくなっている。

このような状況だと、上から(メーカーや小売り店、イベントなど)大衆に訴えるというやり方自体が変化を起こしているのです。
単純にものの形を変えた、いい形ができた、からと言って、大きく人が動くわけではない。仕組み自体、やり方自体を考えることが「デザイン」になってきているのです。

分かりやすい例として、2007年に登場し(日本では2008年)たiPhone。
電話としては使いづらい形だし、ネットの情報を見るにも、メールやメッセージなどの送受信をするにも最適な形ではありません。
手帳と変わらないようなフラットなデザイン、無味無色なデザインは、ユーザーに応じた様々な機能(app)を取り込む媒体機械でしかありません。

アプリの話で言えば視覚的なものという意味ではグラフィックデザインなのですが、操作性はインタラクティブに強い人、テクニカルに強い人、かつ、キャリアを確保すること、それを流通させる人、ある一定のユーザーがいることで成り立つSNSなどはさらに広報が一体にならないと、アプリが目指す機能は発揮できないかもしれません。

学校の授業ではそこまで総合的な仕組み作りまで踏み込めないかもしれませんし、また一方で従来通りの「美しい書体」「見やすい色彩」「使いやすい形」「チャーミングな絵」といったものをきちんと修得した人材は必ず必要です。
その得意分野を見つけた上で、機能する仕組み、やり方を考える。ここまで頑張りたいと思います(私、先生なので)。
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by dezagen | 2015-04-18 23:12 | その他
デザインについて思うこと
編集宮後です。学校や職場で新生活を迎えている方も多いことでしょう。デザイン学生さんも読んでいると思うので、これからのデザインの話を書こうと思います。

いまちょうど90年代以降の日本のグラフィックデザインを振り返っているのですが、この四半世紀で環境が激変したんだなというのをあらためて感じています。デザイン史というと自分とは縁遠いものと思われる方も多いかもしれませんが、おつきあいください(詳しくは『IDEA No.369 : 日本のグラフィックデザイン史 1990-2014』をどうぞ。四半世紀を俯瞰できる良い記事です)。

雑誌や本でデザイン史を振り返るときは王道的なものを中心にとりあげていくことになりますが、そこにおさまりきれないものも増えてきて(というか増えすぎていて)、2000年以降のデザイン史をまとめるのはとても難しい(というかまとめらんない)のを感じています(まとめられたとしても紙媒体ではなく、ウェブかアプリになると思います)。以前は、「グラフィックデザイン」「プロダクトデザイン」…というように、ジャンルで分けられていましたが、いまはそうしたジャンルもあいまいになりつつある気がします。一部の専門性の高いジャンルは残ると思いますが、他ジャンルと協同する機会が増えていくように思います。

というのも、いままでは個人の優秀なデザイナーや縦割り集団で対応できていた案件でも、今後は複数のエキスパートの協同によって、より完成度を高めていくような対応の仕方に変わるのではないかと思うからです。社会やテクノロジーの進化がすさまじいため、異種混合の団体戦でないと対応しきれない。大手IT企業や広告代理店などが、異分野のエキスパートを採用しているのもそうした社会変化に対応するための対策でしょう。

そうした変化の中で、デザイナーやデザインに関わる人たちはどうしていったらよいのか。いままでの成功パターンをなぞるのではなく、まったく新しい活動の仕方が求められてくるでしょう(もちろんそうした今までの成功パターンがなくなるわけではありませんが、メインストリームではなくなるでしょう)。既存のデザインジャンルを否定するつもりはないけれど、これから活躍したり、注目されるデザイナーはそうしたジャンルの外から出てくるような気がします。

そうなると、学校教育や雑誌などのメディアのあり方なども再考をせまられそうです。すぐには変わらないと思いますが、変わらなければいけない時期に来ていることは確かでしょう。

まだ形のない「未来のデザイン」を考えていくのは大変そうですが、同時にとてもエキサイティングでもあります。違うジャンルとデザインが交わる部分に、これからのデザインが現れるのではないでしょうか。
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by dezagen | 2015-04-16 23:38 | その他 | Comments(0)
カトマンズ、アブダビ、シンシナティ、デンバー、東京 何もない土地


カトマンズ、アブダビ、シンシナティ、デンバー、東京紀行の続き。
アブダビとデンバーについて。

アブダビもデンバーも、経由地としての滞在。
今回のアブダビは、カトマンズでの空港閉鎖解除直後のためフライトの時間がずれ(滑走路での渋滞、という結果)、成田行きの便への乗り継ぎがうまくできず、次の日の便となったため、急遽航空会社の用意したホテルに1泊することになったわけです。
ピカピカの道路を抜けて、ピカピカしたリゾートホテルへ。前者のピカピカは新しさ、後者のピカピカは金色が随所に施され、ツヤツヤしたインテリアだからなのですが、電力供給の制限があり暗く、道路が舗装されていないところも多いためにほこりっぽく、家具や建物は古びても修理できない、そんなカトマンズから行くと、すべてが光って見えるアブダビなのでした。
アブダビの都市部はこの十年ほどの間に急激に都市開発を行っています。今回泊まったホテルも10年経ってないはず。

アブダビは数年前に土地開発について取材に行きました。http://blog.excite.co.jp/dezagen/13718948/ 
主に2020年頃完成予定(完成予定年は随時変わっています)のサディヤット島についてでしたが、ルーブルやグッゲンハイムの別館、大学や居住地域、リゾート地域など、砂漠だった27平方kmをまるごと0から都市開発する規模の大きさに驚いた覚えがあります。27平方kmは2700ヘクタールなので、大体多摩ニュータウンと同じくらいの大きさのようです。

海に面した砂漠の地、アブダビから8197マイル(自動計算を信じれば)、北アメリカの内陸部、デンバー。
デンバーの都市部ではなく空港近くのホテルに泊まったのですが、ここがホテル10軒とガソリンスタンドとセブンイレブンしかない一画。ホテルはハイアットやマリオット系列、ホリデーイン、ベストウエスタンなどよく知られた名前ばかり。多分出来て1年くらいなんじゃないかと思いますが、ホテルの区画から出るともう360度地平線。
振り返ると何もないんじゃないか、などとSFのような事も起こりそうな雰囲気です。

少し前までそこには全く何もなかった「未開の地」にできたホテル群と店なのですが、どのお客さんも戸惑っている風はありません。
車を降り、荷物をホテルに運び、部屋に行って寝るのです。当然のようにベッドがあって、シャワーがある。シャンプーも石鹸も何の戸惑いもなく使う。
コンビニエンスストアはまるでいつも使っている店かのように、キットカットを買い、ペプシを買って行きます。
ここでは知らない土地に来たドキドキ感もなく、その土地柄や風情を楽しむ旅行気分もありません。土着感、あるいは外国だと感じるエスニック感はありません。なぜならば、ここは(ホテル従業員やコンビニの店員は別として)誰にとっても単なる経由地であり、そこでは誰もが迷いなく行動できるような環境でなければいけないからです。ここで土着的なもの、知らないブランドばかりが並んでいたら戸惑いがあり、時間がどんどん消化されてしまいます(観光地はそんな風に土着的なものを見せて、人を留まらせます)。しかし、経由地では人をスムースに動かさなければいけないのです。ホテルにしろコンビニにしろコンビニの棚に並ぶ商品にしろ「誰もが」知っているブランドで人々の認知を速くすることが求められるのです。

「誰もが」と書いていますが、この「誰もが」というのは、世界全体で見ると限定された「誰も」ではあります。
この「誰も」「誰でも」に関しては、それだけで1年間くらいの講義になりそうなので、ここでは割愛。
なんとなく、多くの人が、と思って下さい。

アブダビで泊まったホテルの隣のショッピングモール。スーパーマーケットには、コカ・コーラやマギー、ジレットやラックスといった世界各国どこでも見るインターナショナルブランドに溢れていました。アブダビで泊まったホテルは、今回私は経由のためでしたが、本来リゾート+ビジネスを目的としたホテルですから、デンバーのセブンイレブンとは違って、スーパーマーケットの利用客もゆっくりと買い物はできます。ですが、石油以外の資源はほとんどなく、自国メーカー、ブランドが育ちにくいことに加え、人口の7割は世界各国からやってきた外国人であることを考えると、アブダビの自国ブランドが育つのを待つよりは、インターナショナルなブランドが入ってくるほうが早く、訴求力も高いのです。

アブダビのスーパーマーケットとデンバーのセブンイレブンでは規模も違い、細かい品揃えは異なるのですが、共通項として
新しい土地にある新しい店だからと言って、新しいものが受け入れられるわけではない事が言えます。
むしろ、新しい場所にある品揃えだからこそ、既存の品揃えが求められる。
ホテルも同様で、新しい場所だからこそ、チェーン店のほうが分かりやすく受け入れられる。
チェーン店とインターナショナルブランドの組み合わせでできた場所は、世界のどこにでも存在していてクローンみたいです。
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by dezagen | 2015-04-12 14:31 | その他