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カテゴリ:本( 115 )
『スーパー!』が出ました
ライター渡部のほうです。

今回は自著宣伝のため、です・ます調で書きます。

現在ウィーンにおります。
何をやっているかというと、某プレスツアーの取材を終了し、若干延泊して、サービスアパートメントの中で普通に仕事をし、近隣のスーパーマーケットとドラッグストアで買い物をして、簡単な料理を作って食べて、現地で購入したシャンプーなどで風呂に入り、寝て、また仕事をし、と、ほとんど東京と変わらないことをしております。

海外にはしょっちゅう行きますが、大概は取材他仕事以外に名所旧跡、おしゃれショッピングスポットに行くわけでもなく、フツーの生活をしてしてしまうのは、基本的には面倒くさがりだからだと思いますが、一方で現地のデザインを知るにはデパートや「デザインショップ」ではなくて、住宅街にいてスーパーマーケットとか公共プールとかを見る、使うのが一番早いよな、と思っているからでもあります。

で、こんな本を出したわけです。

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『スーパー!』飛鳥新社刊 1500円(税込み)
www.asukashinsha.co.jp/book/b146003.html

2005年から今年2013年まで、撮り続けてきたスーパーマーケットやドラッグストア、商店、市場の主に商品、の写真を、この表紙の調子でただひたすらに並べていった、という本です。
この8年で巡った国・地域の数は25。旅行回数で言うと53回。
自分でもかなりのものだと思います。
ですが、結局見ているものは普段の生活と変わらず、普通の生活用品やら食品なのでした。

パッケージを主に出していますが、特にデザインや海外市場戦略のためのアドバイスが書いてあるわけではありません。
写真に吹き出しが付いているので、漫画感覚とでもいいましょうか。
海外に行くと、日本の常識では「?」というようなものがある、ということだけ分かってもらえればいいかな、という調子の本です。

そうこうしているうちに、明日はすでにウィーンを去る日になってしまいました。
スーツケースはスーパーで買った食材とドラッグストアで買ったバスソルトで埋まっています。
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by dezagen | 2013-12-01 07:22 |
サインデザインの名著『WAYSHOWING>WAYFINDING』
編集宮後です。
以前、「これ誰」の取材で大変お世話になった
アイデザインの児山啓一さん。中部国際空港 セントレアや
JR東海のサイン計画などを手がけられたサインデザインの第一人者。
取材時にも我々が迷ったりしないよう、
きめ細かい配慮をしていただき、いつも感謝感激なのであります。

さて、その児山さんから「こんな本が出ましたよ」と教えていただいた
サインデザインの本が『WAYSHOWING>WAYFINDING』です。
オランダのBIS Publisherから来年1月に刊行される予定だとか。
本の画像はこちらをご参照ください。

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「これ誰ブログでご紹介せねば」と思っていたら
児山さんから原稿をいただいたので、そのまま掲載させていただきます。

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WAYSHOWING>WAYFINDINGは、デンマークとメルボルンを居住地とするインフォメーションデザイナーPer Mollerupによる待望の新刊で、2005年に発行されたWayshowingの再発行を期待する巷の声に応えるべく、デジタルサイネージの観点や、最新の事例を書き加えた改修増補版だ。

読者は、まず最初に目にするJRの自動券売機の写真に驚くだろう。間違って切符を購入した場合や券売機に異常があった場合に扉が開いて駅員さんが対応してくれる、日本ではお馴染みの情景だが、彼はこれを「究極のヘルプデスク?」と絶賛している。世界に誇る最先端のテクノロジーを持ちながらも、同時にこのような細やかな配慮が可能な日本のマン・マシーン・インターフェイスのあり方に感動してくれたのだ。

前半の原則編(Principles)では、このように一見何気ない写真を紹介しながら、その裏に隠された「情報」とそのあるべき形を、彼独特の切り口で優しく説明してくれる。解き明かされてみれば、なるほどなあ、と思わず膝を打つような事例ばかりだ。本文の脇には、彼お気に入りの丸メガネが目印のコメントが付いていて、ぴりりとここちよい刺激を味わうことができる。

そして後半の実践編(Practices)では、その彼のメガネに叶った空港や駅など公共空間の最新事例25件が紹介され、ここからも、インフォメーションデザインのあり方を学ぶことができる。また章の仕切りには彼のデザイン哲学が簡潔な英語で要約され、読めば読むほどじわっと味がでる。

Wayshowingとは、建物内外のいわゆるサインシステムを計画する専門的な行為のことで、Wayfindingが未知の場所で行き先を探すことの意味に対して、ちょうど、読むことと書くことの対比に相当する。その意味で、この本は全てのデザイナー、プランナーに対してまさに絶好の教科書であり、今までサインの用語を何となく使ってきた人、これから「サインとは何か?」を真剣に学びたい人に是非お薦めしたい一冊だ。

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なんと、いま渡部さんと取材している案件についても
児山さんが仲介してくださり、充実した取材ができそうです。

サインデザインは「相手が迷わないか」を常に意識しないといけない
デザインだからこそ、このような気遣いが自然にできるのでしょうか。
今回もまたまた感謝感激なのでした。
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by dezagen | 2013-11-26 18:51 | | Comments(0)
The Monocle Guide to Better Living
編集宮後です。
素敵雑誌の代表選手『Monocle』の書籍が
Gestalten社から発売されるそうです。

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"from The Monocle Guide to Better Living, Copyright Gestalten 2013"

The Monocle Guide to Better Living
編集: Monocle
頁数: 408 ページ 判型: 20 x 26.5 cm
仕様: オールカラー版 / ハードカバー
定価: EUR 45.00 / USD 60.00 / UK 40.00
発売: 2013 年9 月 ISBN: 978-3-89955-490-8
出版: Gestalten
販売: 嶋田洋書 (tel: 03-3467-3863)
取扱: 全国大型書店

プレスリリースから本の内容を引用すると

「過去10 年間で成長して最も成功した雑誌のひとつとなった
イギリス発のグローバル情報誌『モノクル(Monocle)』。
確かな美的感覚とジャーナリストならではの粘り強さを武器に、
編集長のタイラー・ブリュレ氏率いるチームはこの度、
外交関係からデザインまですべてに興味を持つグローバルな読者に
刺激を与え続ける知性派の出版物を作った。モノクル初の書籍版として、
編集チームが目を向けた主要テーマのひとつが、how to livewell (豊かに生きる方法) 。

最高に質の高い生活が出来る街は?良い学校を作るためには?
どのように街を走るか?最高に美味しいコーヒーを作るのは誰か?
どのように自分自身の刺激的なビジネスをスタートするか?

独創的で、有益で、楽しませてくれるエッセイやリポート、
アドバイスが詰まったガイド本『The Monocle Guide to Better Living』は
流行や次のトレンドについてではなく、継続したいキャリアや一生物の家具といった
永続的な価値を見いだす一冊となっている。」

とのこと。

都市、ビジネス、教育、カルチャーなど、カテゴリー別に
10章からなる構成で、それぞれMonocle編集部の視点で選んだ
人やコトが紹介されています。すべてにおいておしゃれ。

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"from The Monocle Guide to Better Living, Copyright Gestalten 2013"

創刊編集長のタイラー・ブリュレ氏(上写真)は、
『Wallpaper』の創刊編集長、『Financial Times』紙のコラムニストもつとめ、
ショップやカフェも展開している凄腕編集者。
元従軍記者という経歴もギャップがあって、なかなかすごい。
こういうタイプの編集者って日本にあまりいないかも。

そんな編集長に会いたい人に朗報デス。
9月14日(土)、代官山蔦屋書店でトークイベントがあるそうです。
本を購入、予約したお客様先着150名様に整理券を配布とのこと。

開催日時:2013年9月14日 (土) 19時~21時
会場:蔦屋書店1号館 1階 総合インフォメーション
主催:代官山蔦屋書店
協力:Gestalten
お問い合わせ:代官山蔦屋書店2号館1階アートカウンター (tel: 03-3770-2525)
http://tsite.jp/daikanyama/event/002319.html
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by dezagen | 2013-09-11 18:45 | | Comments(0)
活版印刷の立ち会い
暑さで8月中の記憶が飛んでいる編集宮後です。
まとめていろいろアップします。

最初は活版印刷の立ち会いの話から。
来週刊行される『活版印刷の本』という書籍の
帯と付録ポストカードを活版印刷することになり、
その手配をしてました。

今回、活版印刷をお願いしたのは
墨田区の東海印刷さん。

活版で名刺は刷ったことがあるんですが、
書籍で使うのは初めて。印刷所に直接行って、
いろいろ教わりながら進めました。

東海印刷さんにお願いするにあたり、
版、印刷用紙、インキはこちらで手配しました。

版は神田錦町の真映社さんに依頼。
ぐっと凹ませたいなら亜鉛板がいいと言われましたが、
印刷現場で扱いづらいのと、樹脂版より高いことから
今回は固めの樹脂版にしてもらいました。

原画をイラレで自分で面付して、真映社さんへ入稿。
翌日には樹脂版ができるそうなので、
直接、活版印刷所へ送ってもらいました。

印刷用紙は、気泡紙を使うことにしてたので
竹尾の営業担当さんにメールでさくっと依頼。
ポストカードを4面付したサイズを計算して
紙どりの無駄のない気泡紙UのL判Y目255kgを使用。
全判を4裁(4つに切ること)してもらって納品。

このサイズも活版印刷機のサイズを調べて
機械に入るサイズの紙にしないといけないので、
現場で調べないといけない。
普通はそこまでしなくていいと思うけど、
紙を断裁しちゃったあとで機械に入らないと
シャレになんないから念のため。

インキは印材舎さんに依頼。
ウェブからFAXシートをダウンロードして
そこに希望する特色インキを指定して送ります。
今回は6色をオーダー。金銀は他の色より高いそう。
特殊な紙に印刷する場合は、その紙見本も必要とのことで、
紙見本も調達してきて印材舎さんへ送りました。

版、紙、インキがほぼ同時に印刷所に着くように手配し、
材料がそろったら、印刷所と印刷日を打ち合わせます。

普通は印刷したあとで校正刷りを送ってもらうんですが、
今回は現場も近いし、印刷立ち会いに行ったほうが早いというわけで、
ポストカードで2回、帯で2回立ち会いに行きました。

こちらは東海印刷さん内。
これが竹尾さんから届いたばかりの気泡紙。
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これが印刷機。
幅500mmくらいの紙まで入るそう。
青いのはこの日に刷っていただいたインキ。
ローラーに転写して刷ります。
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活版印刷といっても手動ではなく、機械刷りなので
一度、色と印圧が決まってしまえばあとは自動的に
シュ、シュっと印刷物が出てきます。
この日は2000枚近く刷ってもらいましたが、
数時間で刷り上がるとのこと。けっこう早い。

これが青を刷り上がったところ。
1日置いて乾いたら、次の日に赤の版を刷ります。
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無事にポストカードができました。
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同様に帯も繰り返します。
帯はアドニスラフ ブルー 四六判Y目59.5kgを四裁に。

紙どりの計算も自分でしたので、
間違って断裁してないかドキドキでしたが、
無事にできあがりました。

今回はオフセット印刷のほか、活版印刷が入ったので
非常に多くの方々の手を経て本ができあがりました。
もうすぐ発売なので、ぜひお手にとってご覧ください!
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by dezagen | 2013-09-03 07:45 | | Comments(0)
『書棚と平台』を読んで思ったこと
ライター渡部のほうです。

というか、学校の先生のほうの渡部です。
今、来学期の授業のため、本の流通に関しての本をまとめて読んでいる。
『書棚と流通』(柴野京子著、弘文堂刊)は読みやすく、かつ資料性が高い
http://www.koubundou.co.jp/books/pages/55128.html

2009年に出された本なので、既読の方も多いかも。
日本の書籍流通がいかに形成されたかを追った歴史の本なのだけれど、システム確立を俯瞰で追うだけでなく、江戸期書店の成り立ちから、個人商店、出版社経営者の声、記録も細かく記載されている。

私が特に興味を持ったのは「開かれる購書空間」の項目。
書店での本のレイアウトが、平台にディスプレーし店員が手渡しする方式から、徐々に開架の本棚になり、客が自由に自分の読みたい本を選ぶようになり、図書分類が始まり、書店独特の家具が作られ、さらに選びやすい方式へと変化していった、という話である。
書店ではスーパーマーケット普及以前に「客が自主的に自分で選ぶ」方式を確固とさせていたことが分かる。

本書でも触れられているが、書籍の流通は書店ではなくオンラインでの販売に移行している。
オンラインの書籍販売が日本で始まった頃、書籍は内容を買うものだけに、カバー写真と簡単な説明だけで買うのは難しいと思っていたが、送料が無料になった頃からオンラインでの購入が急激に増えている。
結局のところ、客が自主的に選んでいたものなので、意外に買う場所にこだわる必要はなかった、ということだろう。
(それ以前に、流通システムが内容にかかわらずどんな本でも均一に売るよう書店に卸していたため、どの本屋も同じような内容、ということは本書に詳しく書いてある)

ここから下は私感だが、自分でもオンライン(特にアマゾン)で本をすんなり買うようになってしまった理由に、わざわざ本屋に足を運ぶ面倒くささがないという自分の出不精によるところも大きいが、新刊書店屋に魅力がないのが一番の理由のような気がする。

その点、海外の書店はまだ魅力が多いように感じている。海外の書物に触れる機会が少ないのだから、物珍しさも手伝うのだろうが、特にイギリスと(言葉が通じた場合)ドイツは、「これこれこういう本を探している」というと、店員が「これですね」と探してきてくれる。

今のイギリスは書店がどんどん減っていて、事情が異なりそうだが、私がロンドンにいた1990年代半ばのFoyles(イギリスで最大のフロア面積と蔵書数の書店)では、フロア担当がその道に通じた「濃い」人ばかり。
こっちの持っている情報がうろ覚え、コンピュータで言うところの曖昧検索でも、「これですね」だけではなく「これじゃないですか?」とアドバイス付きだったり、本のコストパフォーマンスの話をしてくれたり(こっちは図版が多いけど信用性で言うなら他の本がいいとか)、私の英語レベルから本の選び方、読み方(次はこれがいいとか)の指導までしてくれたり、ほとんどあり得ないことだが棚にないときは他の専門書店を奨めてくれたり。すごい本屋だった。

書店員がまるで昔のSF映画に出て来るロボットのようだ。というとバカにしてるように聞こえるかもしれないが、店員が信頼できるのである。
と思っていたら、こんな記事を見つけた。

書籍大国ドイツの出版業界、その流通・経営・制度・人材育成の特徴
http://mediasabor.jp/2008/04/post_355.html

ドイツでは書店員になるために資格が必要、というところに驚いた、というよりも、納得した、というべきか。
2008年の記事なので今は事情が違うかもしれないが、仮にこのシステムが変わっていたとしても、素地はできているだろうから、書店員への信頼はほとんど変化していないと思う。

またヨーロッパでは(おそらく日本以外ほとんどの国では)本を取次業者に返品することはほとんどないはず(今まだ調べている途中)なので、書店のバイヤーが責任を持って、自分達が売れる本を買い取る。

日本は本の返品が可能だし、書店員になる資格もない。
私は大学の時に書店でバイトをしていたが、かなり大型の本屋だったので、フロア担当も人事異動で時々変わる。そうすると、それまで経済の本棚はしっかり把握していた人が突然コミックの担当になって、客のほうが並びを把握している、なんてこともザラにあった。
となると客にとっての店員は、レジを打つ人、本棚を整理している人、になってしまう。
この書店には本当にお世話になったのであんまり悪いことは言いたくないけど。

日本の書店衰退を食い止める方法として、「濃い」店員が1つの打開策になるんじゃないか、ドイツを見習って書店人資格の採用を、と私は真剣に考えている。
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by dezagen | 2013-08-12 13:00 |
東京TDCメンバーによる同人誌『CDT』
編集宮後です。
東京タイプディレクターズクラブに所属するデザイナーが
創刊した紙とインキの同人誌『CDT』。
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毎号1つのテーマに沿って編集され、
編集長は毎号交替、決まったフォーマットはなし、
不定期発行になるそう。

1号は編集長と表紙デザインを葛西薫さん、本文ページデザインを中島英樹さん、
冊子設計を菊地敦己さんが担当し、TDCの理事をつとめる
14名のアートディレクターが「写真」というテーマで寄稿。

中頁はこんな感じ。
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「紙とインキの同人誌」とあるので、印刷実験とかするのかなと思いきや、
文章がメイン。文章からそれぞれの方の人柄がにじみ出ていています。
みなさんふだんはビジュアルで表現する方々ですが、
こんな引き込まれる文章が書けるなんてすごい。
たぶん日頃、いろいろなことをよく見て、よく感じているからこそ
こういう文章が書けるんじゃないかなと思いました。

あまりの豪華メンバーに、刊行時からすでに話題になっており、
出版元であるBOOK PEAKによれば、版元在庫はなく、
書店店頭で探して買わないと入手できないそう。
amazon在庫が復活したので、こちらで購入できます。
http://amzn.to/1aFTxP0

通常のデザイン系小冊子だと、紙を提供してもらって
フリーで配布したりするのですが、今回は定価をつけて書店流通。
ちゃんとISBNもついてます。定価1260円(税込)。

雑誌で難しいのは継続すること。
「こういう媒体をつくりたい!」という創刊時の情熱を持ち続け、
それを具体的に進めていくのはかなりのエネルギーが要ります。
(最初は盛り上がるけど、だいたい途中で飽きてしまう...)

そういう意味で、毎回、編集長が交替しながら形を変えながらつくるのは、
常に新鮮な気持ちで取り組めていいのかもしれません。
インディペンデントパブリッシングだからこそできる
新しい実験を楽しみにしています。

CDTの詳細はこちら。

Tokyo TDC
http://tdctokyo.org/jpn/?cat=4

BOOK PEAK
http://bookpeak.jp/
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by dezagen | 2013-07-23 18:08 | | Comments(0)
スペインの雑誌apartamento
編集宮後です。
スペインのインテリア雑誌『apartamento』の
編集長&アートディレクターのトークイベントを
聞きに行ってきました。

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http://www.apartamentomagazine.com/

よくある素敵なインテリアを紹介する雑誌ではなく、
そこに住んでいる人の個性が表れている住空間を
住人のインタビューとともに紹介する雑誌です。
いわば、その人となりが表れた空間がコレクションされてるんですが、
どれも個性的でおもしろいのです。

2008年に創刊され、春と秋の年2回刊行。現在11号を発売中。
編集長、アートディレクター、営業、マネジメントの
4名でつくっているそうです。

雑誌をつくるほか、雑誌名でイベントを開催したり、
ほかの企業とコラボレーションしたり、出版以外の活動もさかんです。
(すでに日本の企業ともコラボレーションしてるそう)

「この時代に自分たちで紙の雑誌を発行するのってかなり大変でしょう?」
という質問には、「紙でお店に置いてもらえば人の目にふれるし、
知ってもらうことができんだよ」とのこと。
リアルスペースで媒体を見せることで、それが雑誌の広告になるという仕組み。
ウェブサイトが案外あっさりしてるのはそういうわけなのかー。

「大きい雑誌が多い海外でなんでこのサイズ(B5よりやや小さめ)なの?」
という質問には、「紙の節約になるから」。小さめのほうが紙代がかからないし、
物質感が出るからいいのかも。ヨーロッパのインディペンデントマガジンには
このサイズのものも多いですね。

アートディレクターと名刺交換できたので、雑誌で使っている書体について
たずねたら、ぶわーっとしゃべってくれました(たぶんこの人、文字っ子だw)。
見出しはITC Clearface、本文はFutura。雑誌以外にも全部この書体を使っているので、
雑誌専用の書体を使っているように見える。カスタムタイプじゃなくて
市販のフォントだけど、一目でapartamentoだってわかる使い方です。

トークイベントの会場は目黒のHUB TOKYO。
http://hubtokyo.com/location/
2012年5月に工場を改装して誕生したオルタナティブスペース。

雑誌は作り手の意思やセンスがもろに出るし、
新しい思想や価値感を世に問うものだと思うので、
世界でどんな雑誌が出ているのか、やはり気になります。
とてもよい刺激になりました。
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by dezagen | 2013-06-20 17:17 | | Comments(0)
海外の独立系デザイン誌
編集宮後です。
今回はずっと書きたかったテーマ「海外の独立系デザイン誌」です。

特にタイポグラフィ関係の雑誌には、少部数ながら、
非常に凝ったつくりもの、自分たちで資金を集めているもの、
デジタルと紙媒体をうまく融合させているものなど、
これからの雑誌づくりのヒントになるような試みをしている媒体があります。

まず、ご紹介したいのは昨年創刊された新しいデザイン雑誌『Works that Work』。
https://worksthatwork.com/

書体デザイナーで、自身のタイプファンダリーをオランダで運営している
ピーター・ビラクさんが創刊編集長をつとめています。

雑誌のコンセプトは、「Magazine of Unexpected Creativity」。
日常にあるけど今まで知らなかったクリエイティブに目を向けて
丁寧に紹介しています。
デザイン雑誌というよりは、クリエイティブな視点から
身の回りのおもしろいことを伝える雑誌といったほうがあっているかも。
商業誌ではなかなかできないアプローチが新鮮です。
(ちなみに書体関連の記事はなく、いくつかタイプファンダリーの広告が入っています)

こちらがその雑誌の写真。
表紙は廃材?をひもでぐるぐるっと巻いただけの椅子なんですが、
「板をこんなふうに巻いただけで椅子にもなる」という
新しい視点を気づかせてくれるビジュアルとして象徴的に使われてます。
(ってここまで意味を読み解くのがむずかしくもあり、楽しい)

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(Works that WorkのPress用画像を引用)

インドの都市、ムンバイで弁当を職場まで運ぶ人の話(毎日35万食が運ばれている!)、
戦場のシェフの話、ミラン・クンデラの翻訳者の話などなど、
内容はかなり多岐にわたってますが、興味深い話が多く、知的好奇心が満たされる感じ。

B5判80ページで、PDF版が8ユーロ、紙版が16ユーロ、両方買うと20ユーロです。
本文書体にはビラクさんのファンダリー「Typoteque」のフォントを使用し、
紙版では折ごとに紙を変えたりと、デザインにもかなりこだわっています。

私が興味をもったのは、新しい資金調達のありかた。
ビラクさんはこの雑誌制作資金約300万ユーロを募金で集めてます。
創刊前には特設募金サイトができていて、「いくらいくら募金してくれたら
あなたの名前を雑誌に載せます」とか「編集長とランチできます」とか
募金額に応じてさまざまな特典がつけられていました。

雑誌制作過程を紹介したプロモーションビデオもウェブで見られ、
読者と一緒に雑誌をつくっていこうという姿勢がよかったです。
(ビデオの最後にマジ顔で「need your help」って言うのがかっこいい)

「読者と一緒に」という姿勢は、
「ソーシャルディストリビューション」と名付けられた
雑誌の新しい販売方法にも表れています。

雑誌を応援したい、もっと広めたいと思った読者が
出版元から定価の半額で雑誌を仕入れ、近所の書店に7〜8がけで卸し、
売ってもらうという新しい販売のスタイルです。


次は、イギリスのデザイン情報ウェブサイトDezeenが創刊した
3Dプリンターの専門誌『Print Shift magazine』。
http://www.blurb.co.uk/b/4176869-print-shift
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文字通り、3Dプリンターでつくられたアートやデザイン、建築などを
紹介するというクリエイター向けの雑誌で、オンライン版がメイン。
紙版を希望する人には、注文が来た分だけオンデマンド印刷で刷って送るんだそうです。
必要部数だけオンデマンドで印刷するというのは、ほしいものを1個からつくる
デジタルファブリケーションの思想を反映しているようで興味深いですね。

60ページですが、読み応えは十分。
雑誌ってこれくらい短くてもいいんじゃないかと思えたりします。


最後は、書体専門誌の『8 faces』。
http://8faces.com/
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「8書体しか使えないとしたら、どの書体を選ぶ?」
という質問を書体デザイナーになげかけ、
彼らが選んだ8書体とインタビューで構成された本です。

こちらもデジタル版(PDF)と紙版、両方売っているんですが、
紙版は印刷加工にすごく凝っていて2000部限定販売なので、
毎回あっという間に売り切れてしまいます。
先日最新号がでたばかり。ウェブから購入するので
次号刊行のお知らせがメールで自動的に送られてきます。

そういえば、Baseline magazineも毎回、雑誌印刷時に出る
ヤレ紙(試し刷りした要らない紙)でノートをつくって売ったり、
いろいろ工夫してましたね。

これからの新しいデザイン雑誌は、英語+母国語のバイリンガル表記で、
PDF版はウェブから販売、紙版は限定販売にしてプレミア感をつけるっていう
売り方が読者ニーズにあっているような気がします。

先日も大学生がつくった独立系ファッション雑誌が話題になったように、
新しい時代や思想にあった新しい媒体が待ち望まれている気がしてなりません。
そういう雑誌をぜひ読んでみたいです。
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by dezagen | 2013-05-09 13:33 | | Comments(0)
『高岡重蔵活版習作集』
編集宮後です。
嘉瑞工房の高岡重蔵さんの新刊『高岡重蔵活版習作集』が
烏有書林から発売されました。

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高岡重蔵さんは、井上嘉瑞さんからプライベートプレス
(個人で行っている印刷工房)「嘉瑞工房」を引き継ぎ、
長年、欧文活版印刷の仕事をしてきた活版職人。
原弘と交流があったとか、東京オリンピックの
表彰状を刷っていたとか、いつも興味深いお話をしてくださる
生きる印刷デザイン史のようなお方。

92歳になる今でもお元気で、先日もロンドンに行かれたばかり。
そんな重蔵さんが現役時代に欧文金属活字で組版・印刷した
作品を集めたのがこの本です。
おもに1970年代につくられたものが収録されています。

金属活字でこれだけの組版をしていたというのがわかる驚愕の本。
あのヘルマン・ツァップさんも認めたというのも納得です。

本書には重蔵さんの作品約150点とその解説、書体別解説を掲載。
実際に活版印刷で刷られた作品も挟み込まれています。

作品はじっくり本で見ていただきたいのですが、
重蔵さんの江戸っ子らしい語り口も魅力。
本書の中ではほぼご本人の口調どおり、再現されています。

前口上に書かれた言葉が素敵なので、一部抜粋します。

「嘉瑞工房の目指した仕事のレベル、
目標はあくまで海外なの。ここに収めた作品は、ぜんぶ、海外で
認めてもらうために腕試しとして作った習作なんだ。」

「文字というのは読むためにある。記録するためにある。
だから、読みよくなければならない。形だけで遊んじゃ駄目。
平凡でも、内容にふさわしい組版をしなきゃいけない。
これがタイポグラフィの原則だと教わった。」

そんな重蔵さんを「生で見たい!話が聞きたい!」という方は、
5月19日(日)に代官山蔦屋書店で行われる
トークイベントへどうぞ。

5月19日(日)14:00-16:00 東京(代官山蔦屋書店)
『高岡重蔵 活版習作集』発刊記念トークイベント
高岡重蔵×小林章 対談「欧文タイポグラフィ、世界を目指して」
ゲスト:高岡重蔵、小林章
http://uyushorin.com/home.shtm
http://tsite.jp/daikanyama/event/001741.html

高岡重蔵 活版習作集
烏有書林刊
http://uyushorin.com
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by dezagen | 2013-04-26 13:37 | | Comments(0)
本とのサロン2で紹介した本
編集宮後です。
さる3月27日に行われた第二回「本とのサロン」で
わたくしが紹介した本。
各国の造本コンクールで受賞した本が国別にまとめられた図録です。

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こちらは2008年度オランダの造本コンクール受賞図録。
色紙の上に受賞本を並べてそのまま撮影するという斬新な紹介方法が目をひきます。
ページごとに色紙の色を変えていたりして芸が細かい。
そもそもこの撮影方法だと、同じ本が数冊要るんじゃないかという疑問はさておき。

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表紙には文字がなく、四角いから押しのみ。
すごいコンセプチャル。

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こちらも同じくオランダの2010年度造本コンクールの図録。
蛍光ピンクと紺の特色使いがきれい。
蛍光とカラーページを交互に入れているので、
この方法だと印刷代がそんなに高くならないんです。うまい。

オランダはへんてこ本がけっこう受賞していて、
この本は、生まれてすぐ里子に出された青年が
自分の家族親戚、近隣住人をたどってつくった顔写真入り人間関係図。
顔写真がぬりつぶしてある人は調査に非協力的だったり、
青年と心理的距離があったりする人なんだとか。
世界の美しい本〜珍書編」でも紹介しましたが、ぶっとんでます。

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こちらはドイツの2010年の造本コンクール受賞本。
オランダと比べるとなんだか普通に見えますが、
本の置き方を工夫して撮影しています。

これらの図録自体はデザインフィーもそれほど高くないので
毎年違う若手デザイナーが担当することが多いのだとか。
みなここぞとばかり自己主張しながら、
のびのび自由にデザインしていますね。
(入手できなかったんですが、ジオラマをつくって、その中に本を置いてる図録も。
 もはや図録なのか何なのかわからないという...)

単調でつまらなくなりがちな受賞図録をどう見せるか、
各デザイナーが知恵をふりしぼっている様子が
ブックデザインにもよく表れていて、楽しくなります。

各国の造本コンクールの図録は、
印刷博物館で毎年行われている「世界のブックデザイン」の
展示期間中に会場で販売されていますので、興味ある方はどうぞ。
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by dezagen | 2013-04-25 19:49 | | Comments(0)