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「質と技術の日本」について
ライター、渡部のほうです。
東京では引きこもりのくせに、海外には行く渡部のほうです。

ここしばらく「質と技術の日本」について考えている。

10日間と比較的長いロンドン旅行を終えて、東京に戻ってみると、平常通りの生活が待っている。
今年は韓国(2月)、台湾(5月、9月)、タイ(6月、8月)、ドバイ経由でイギリス(9月)と、海外から日本を眺めるという機会が多く、外から見ると日本は大変なことになっている。3月の地震以来、継続的に揺れ続け、まだ原発の問題も解消されておらず、そんな中に台風も来ている。だというのに、東京自体からは焦りも失望も感じられない。本当に普通通りだ。

未曾有の災害に対して日本がどうするべきなの?という国単位の話は私にはできない。まだ考えることがたくさんありすぎて、よく分からない、というのが正直なところ。
ただ、本当は国的には環境的には気分的には落ち着いていられない状況ではあるのだが、それでも平常を保っていられる、安定性はすごいと思う。これが日本人の一つの特徴ではある。

さて、「質と技術の日本」について。
『日経デザイン』で「日本ブランドが世界を巡る」という連載をしているため、日用品から電化製品まで、日本の製品が世界でどう受け止められているか、ということをここ3年くらいずっと追いかけているのだけれど、今年は特に韓国ブランドとの比較について書くことが多かったこともあり、「日本は質と技術で勝負します」と言われることが多いような気がしている。

上に書いたような、状況に流されない安定性も品質の証だろう。
実際に製品実物を見ても、細かいところでは印刷のズレがないとか糊がはみ出してないとか、バリ(成型するときに型の接合面からわずかに出るはみ出し部分)が見えないとか、リサイクルしやすいパッケージの仕組みとか、目に見えないナノテクとか、日本人としてはこの技術の高さが普通の基準なので、これに慣れて海外に出ると蓋がうまく閉まらないよ、トイレの水がきちんと出ないよ、とかそんな些細なことでイラっとしたりする。

でも大体2日で慣れる。
現地レベルにすぐ慣れる。
その土地の生活においてはその程度でOKだからだ。

でも日本のメーカーとしては、外に出て行く際、日本の高品質を落とすわけにはいかない。
現地生産の日用品などはかなり現地の質に合わせているが、それでも「定評ある日本の質を落とすわけにはいかない」という意地が見える。
それはそれで結構なこと、と思っていたのだが、バンコクで「日本は自分たちのスタイルを作っていて、それを我々に与えている、という印象がある」と言われたのはちょっと気になった。これは家電の場合の話である。きちんと書くと、その前に「韓国はタイ人のライフスタイルに合わせた製品を作っている、一方〜」から続くコメントであった。

これをちょっとネガティブに解釈すると、日本のメーカーは自分達の技術およびスタイルに満足しきっていて、そこまでを必要としないレベルの目線、考え方が抜けている。いわば、上から目線、なのである。

日本に限らず、質の高いもの、技術の高いもの、を考えてみると、例えばスイスの時計とか、驚異的精密に作られた(過去の、清朝時代の)中国の工芸とか、アメリカのオーガニックフードの基準の高さとか(オーガニックフードの基準が一番高いのはアメリカだったような記憶、なのだけれど、ひょっとするとスイスかドイツかも)色々あることはある。
ただ、その質も技術も、分かる人には分かるのであって、分からない人や必要としない人には余計な質や技術である。

「質と技術の日本」を売りにして、分かる人にだけ分かってもらえればいいのであれば、このままでは多分、ハイエンドだけが買えるブランドになってしまうだろう。でも、メーカーの話を聞いていると、どうもそういう感じでもない。日本と同じように、中間層を狙って、それでもまだ「質と技術」を売りにしたがる。

それならば、啓蒙を相当にしなければならない。ここがいい、こう便利だからあなたの生活はぐっと楽になる、ストレスが軽減される、ということを徹底的に伝えなければならない。
しかし、台湾、タイ、イギリスで見る限り、そのコミュニケーションが非常に希薄である。ここでも上から目線を感じずにはいられない。
分かってもらいたければ、顧客の立場になって、ひざまずかんばかりに媚び、バカか?と思われてもお調子者となって、今この瞬間私はあなた様のためにおります、的なサービス精神がなければいけない。
サービスの質の高さも日本の一つの長所ではなかっただろうか。ならば。
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by dezagen | 2011-09-28 09:17 | その他
ロンドンデザインフェスティバル その5
ライター渡部のほうです。

本日、というかすでに昨日である23日は、ブリックレーンとかショディッチとか辺り、イーストロンドンのイベントをぶらぶら。
LDFは西に東に北に南に広がっているのだが、現在ロンドンのカルチャーシーンの中心が東に集中してきていることもあり、LDFもやはり東のほうが内容充実。

東のイベントの中心的存在は200以上の展示者が参加する「TENT LONDON」www.tentlondon.co.uk

今年は全体的に角が取れて可愛い感じ、が多いように思った。
こんなリサイクル/アップサイクル作品を出しているところとか。

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↑furniture magpies www.furnituremagpies.com

ワタクシの好きなStephen Johnson www.stephenjohnson.biz も今年はでっかいリボンで。ジェフ・クーンズに似てなくもないけど。

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TENTから離れ、イーストエリアのtramshed http://tramshed2011.com は大手も参加して、安定感のある展示。

STUDIOLSE www.studioilse.com のこの机が愛らしい。

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取り外しできるコルクの小物入れ、鍋そのものの形。

↓才能もあってルックスもいい、スターデザイナーの道を着々と進んでいるBenjamin Hubert www.benjaminhubert.co.uk

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そういえば「渡部さん/先生はイケメン好きですよね」と最近よく言われるが、そのことは全く否定しない(笑)。ええ、しませんよ。顔のよさは視覚表現の1つですから!

って、それに対しての言い訳じゃないけど、デザイナーって50人に1人くらいルックスのいい人がいるといいよな、と思っている。
インテリアアクセサリーを作るフリーのデザイナーだったら顔がいいほうが得だ。
一般向けのインテリア雑誌や新聞のデザイン欄などでデザインが紹介される場合、商品とその名前を一緒に記憶できる確立は極めて低い(と思う)。一方、カッコいい人(デザイナー)が出てきて、商品と共に、デザイナー名が出てきた場合、読者はすぐ名前を覚える(と思う)。
なのでちょっとカッコいい人が1人いると、一般の人の関心も傾きやすいので、50人に1人というか、2〜3年に1人、分かりやすいハンサムさんと感じのいい美人(美人すぎると女性読者が引く、ような気もする)が出てくれるといいのである。

ま、さておき。

イーストエリアではクラフトカウンシルがやっていたOrigin http://originuk.org/ が結構よかった。

Sophie Woodrow http://sophiewoodrow.co.uk/recent_work.html のセラミック製不思議動物。

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細かいスチールを編んでネックレス、ブレスレットなどを作っている DOMINIQUE TOUCHETEAU http://originuk.org/exhibitor/dominique-toucheteau

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南アフリカをベースにニット製品を作っている野口光。 www.hikarunoguchi.com

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食器や洋服や靴、紙でなんでも作っちゃうJennifer Collier www.jennifercollier.co.uk

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似たコンセプトの作品はよく見るが、この人の作品はすごく完成度が高い。見てすぐ欲しくなる。今回の一押し。

多分、Originが他のイベントに比べてよかったと感じたのは、即売の場だったことが理由だと思う。他のイベントは新作発表、コンセプト発表などで、すぐに買うことはできないし、商品化されていないものも多い。Originのクラフト作品は、完成品、商品そのものなので、一般消費者として「欲しいか」「欲しくないか」という、単純であるけれど非常に重要な基準で見られる。
完成度が低ければお金を出して買いたいとは思わないのが普通の感覚だろう。その分シビアな展示なのである。

余談:イベントじゃないけど、おしゃれインテリアショップSCPでmtのテープ売ってました。

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by dezagen | 2011-09-24 12:40 | イベント
ロンドンデザインフェスティバル その4
ライター渡部のほうです。
本日は某誌のための取材+デスクワークの後、遅めの時間に「100%デザイン」へ。
www.100percentdesign.co.uk

ロンドンのデザインイベントとしては老舗のイベントだが、この数年は普通の見本市みたいで、新しいデザイナーが出てこない、と言われている。実際、デザイナーの新作発表の場という意味合いはほとんどなく、メーカーの製品発表、各国のPRブースが大半を占める。
それはそれで、プロの、特に建築関係の人にとっては過剰なデザイン熱がない分、冷静に見ることができていいのではないかと思った。

会場では以前もロンドンで会ったDANIEL EMMA と再会。www.daniel-emma.com
オーストラリアをベースにするデザインスタジオ。わざわざ地球の裏側までやってくるのは大変だけれど、オーストラリアだけでは市場が小さく、デザイン文化が遅れていること、ロンドンに定期的に来て世界的な基準としてOKかどうか見たりしている、と言っていた。

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「just nice」を目指す彼らの作品は、シンプルで、机の上にあるとちょっといい。日本では販売先が見つからないのよねー、なんでかねー、不景気が過ぎたら大丈夫かなー、などという話をしてきた。

新しいデザインは見つけにくい、と言われる100%デザインだが、国毎のブースの中には「おっ」というものもいくつか。
アルゼンチンブースのmiga de pan www.migadepan.com.ar は木株のニットカバーをかぶせたクッションが猛烈可愛い。ウェブサイトに出ている刺繍のシリーズも超可愛い。

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その後、RCAへ行き、サムソンに勤める友達+その同僚と合流したはいいが、展示内容がインタラクティブ系で、サムソンチームはその手のプロなので「これはもう技術的に古い」とか、「簡単な仕組み」とか、さっくり言い切るのはやめて欲しかった(笑)。こっちは知らない技術だよ!楽しみ残して置いてよ、もうっ!

ご存じのようにサムソンは韓国企業なので、ワタクシが8月にやってた「韓国と日本のデザイン及び文化の違い」の話に(私としては)逆戻りし、1日を終了したのであった。
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by dezagen | 2011-09-23 08:47 | イベント
ロンドンデザインフェスティバル その3
ライター、渡部のほうです。

本日(22日)夜は、Gallery Libby Sellers へ。http://www.libbysellers.com/ 

FORMAFANTASMA http://www.formafantasma.com/ というデザインスタジオの作品を見に行った。オランダ・アイントホーフェン在住のイタリア人デザイナー、Simone Farresin とAndrea Trimarchiの2人組によるFORMAFANTASMAは、1980年生れと1983年生れ、とまだ若いのだけれど、各国のデザイン目利きにチェックされている注目株。というか、Gallery Libby Sellersに目を付けられた時点で、相当期待できる、と証明されたようなものだ。

私自身、ロンドン在住の三宅由希子さんに誘われて着いていったというのが正しいのではあるが、デザイナー目当てというより、このギャラリーだから行きたい、というギャラリー目当てだった。
Gallery Libby Sellersが抱えているデザイナーはスチュアート・ヘイガース、マックス・ラム、ピーター・マリゴールドなど、私の好きなデザイナーが揃っている。これは行かねば!なのである。

さて、そのGallery Libby Sellersが今年のLDFに見せる、FORMAFANTASMAの作品は
Moulding Tradition

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と、新作のColony。

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いずれもイタリアとアフリカの歴史的関係を形にしたもの。
(詳しく説明すると歴史物語になって、大変なことになるので、ざっくり書くと)
イタリアとアフリカ?と思うかもしれないが、地図を見ればすぐ分かる。
イタリアと北アフリカは地中海を挟んで対岸。互いに影響を与えながら歴史を作ってきたのである。
それをセラミックの歴史的技法の重ね合いで表したのがMoulding Tradition、イタリア植民地だったアフリカの土地を絵はがき風のタペストリー仕上げにしたものがColony、である。

オランダ・ティルブルフのAudax Textielmuseumと共同で仕上げたという、タペストリーが美しい。やっぱ仕上げは重要。

イタリアとアフリカの関係はちょっと日本人としては不慣れな文化でもっと勉強しないとな、と思わされたのだけれど、もう1つ、ギャラリーとデザイナーの関係というのも日本にはほとんど馴染みがない。
簡単に置き換えれば、ギャラリーとアーティストの関係と同じで、ギャラリーがアーティストを紹介、そのアーティストのセレクトによってギャラリーの色が決まる、というようなことなのだけれども、「デザイン」という複製可能な性質上、量産したいと思った場合、誰がどう権限を持つのかというのは、実は私もよく分かっていないし、デザイナーに聞いても「多分その時次第」という答えが多い。ここももっと勉強しないといけないな、と思う。

というのも、今後ギャラリーもしくは別の名前(PR会社とか代理店とか?)になるのかもしれないけれど、デザイナーの作品/商品とマーケットを繋ぐ仲介役はもっと必要が増してくるはずだから。
デザイン事務所が作品発表したい場合、展示からPRから、さらに販売のやりとり、交渉などなど、全部やろうと思っても無理。相手は個人コレクターもいれば、メーカーもいれば、その規模も様々。やはり中に入る人が必要で、ギャラリーというのは1つの方法である。

あ、また雑感になってしまった。
とりあえず、以上のような考えも喚起させてくれるFORMAFANTASMAよかったです。
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by dezagen | 2011-09-22 08:28 | イベント
ロンドンデザインフェスティバル その2
ライター、渡部のほうです。

LDF 今まで行ったところ、忘れないように書いておかなければ。
と思ったものの、展覧会自体の名前を忘れてる…がーん。
クラフトのグループ展だったのだけれど、その中でよかったもの。

ikuko iwamotoさんのセラミック。
http://www.ikukoi.co.uk/

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トゲトゲがかわいい。
ikukoさんの名前は何年か前からかイギリスのメディアで目にして、以来気になっている。
今回は割と使い易い感じのものになっているが、見て愛でるモノから実用的なものまでかなり幅広く作れる方。
「クラフトという枠に捕らわれず、例えば大きなインスタレーションなどアートの分野でもやっていきたい」と言う。
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by dezagen | 2011-09-22 01:05 | イベント
ロンドンデザインフェスティバル その1
ライター、渡部のほうです。

現在ロンドン滞在中。
300ものエキシビションが一気に開催されるロンドンのデザインイベント「London Design Festival」(以下LFD)。
主立ったエキシビションは22日〜25日の間だが、すでに始まっているものも多くある。

今朝はイギリスベースの家具メーカーEstablished & Sons www.establishedandsons.com の展示を見に、なんと9時から、というイギリスでは信じられない(いやイギリスだからこそ有りなのか?)プレスブレックファスト、なる会へ。
朝だ頑張って行った理由は、展示デザインをnendo http://nendo.jp/ が手がける、と聞いたから。

と、いいつつ、やはり、案の定、遅刻だよ!
と会場に着いて、後ろから入ってくる人を見たら伊藤氏、佐藤オオキ氏。あれ?
聞けば、1泊とか日帰りとかでフィレンツェやらミラノやら行ったり来たりしつつ、ロンドン来てるそうで、そりゃ大変だ、20分の遅刻などなんでもない。
そもそも社長が遅刻してたし。

さておき、佐藤氏のポートレートをまずパチリ。

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今回はこの壁の付箋のような紙が肝。
展示テーマは「My London」。ロンドンに対するnendoなりのイメージを具現化したもので、トレペにロンドンの地図を白いインクで印刷、皺を寄せ、壁に貼っていった。

で、どうなるかというと、こういう感じになる。

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もわわーっと、霧が掛かったようなインテリアに変身。

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私は家具よりインスタレーションに目が行ってしまったけれど、家具を邪魔しているわけでもない。
そこらへん、主張するしないのバランスの妙、nendoはやっぱうまいなーと思う。
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by dezagen | 2011-09-22 00:42 | イベント
日本のロングセラー商品展
ライター渡部です。

現在、印刷博物館のP&Pギャラリーで『日本のロングセラー商品展』を開催中。
http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/110820/index.html

正に我々のために作られた企画じゃないですか!と、
相方宮後さんと共に展覧会に行って来た。

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ずらり、食品やトイレタリー用品、文具など、身近な製品の現物が290点。
いずれも30年以上続くロングセラー商品ばかり。

印刷博物館学芸員の寺本美奈子さんに聞くと、
「多くの商品が出て来る中で、30年生き残るのは0.02%」。
熾烈な市場競争を生き残った猛者揃いなわけだ。なるほど圧巻。

展示は時系列に、
始まりが1597年の宇津救命丸と、ものすごい昔のロングセラーから。
キャプションには発売時の写真がついているものもあるので
比較してみると面白い。

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         1910年以前

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         1910-1920年代

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         1930-1940年代

ロングセラーとはいえ、発売時からパッケージが変わらない商品は珍しい。
ほとんどの商品はその時代に合わせ変わっていく。
今回の展示品に関しては、パッケージがかなり変わっているものでも
ロゴ・シンボルマークや形状、キーカラーなど、
ブランドや商品の核となる部分が変わってないもの
を基準として選んだとのこと。

写真上のセロテープなども、キャプション部分(下のところの、見えるだろうか?)
にある昔の写真を見ると、実はかなり変わっていることが分かるが、
赤、白、青の色帯と真ん中にロゴマーク、という基本スタイルは変わっていない。

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         1950年代

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         1960年代

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         1970年代

「これ、誰がデザインしたの?」リサーチ歴10年(!)の宮後・渡部チームの見解
「酒、薬、和菓子(贈答品)は変わりにくく、清涼飲料やお菓子はかなり変わる。
伝統感や信頼が必要なものはあまり変わらない。対象が子どもや家庭の必需品である場合、
その時代を反映して変わりやすい」
を実際に確認。ものすごい腑に落ちて帰ってきたのだが、
腑に落ちないのは、10年もリサーチ、本誌連載の取材、執筆、ブログ執筆を重ねながら
「全然盲点だった!」という商品もあったことで、
いやはや、「これ,誰」のネタは尽きない。ああ長い道。

最近海外に飛び出てることが多いので、日本と海外、で比べてみてみると、
概して、欧米に比べると日本のパッケージのほうが
「会社色」「商品色」がきちんと残っているような気がする。
欧米、といっても、本当にざっくりと俯瞰した際の話になるけれど、の
食品、トイレタリー系のメーカーは合併統合が続き、
大元はネスレとかP&Gとかクラフトとか多国籍巨大ホールディング、ということが多く
そうなると、個々のブランド色というより、
グローバルでマスマーケットに向けたデザイン、どこでも同じような手法のデザイン、
に出くわすことが多い。
これはこれで理由のあることであるし、日本の会社もそういった状況になるのかもしれないが、
できるならば、その商品の「核」をきちんと残して継続してもらいたいと思う。
(というのはノスタルジーかもしれないけど)

デザイン学生、デザイナーだけでなく、一般の方々も楽しめる展示となっているので
書籍『これ、誰がデザインしたの?』を持って是非どうぞ。
(六耀社から『パッケージデザインの勘ドコロ』も販売中 http://www.jpda.or.jp/activities/book/books.html 
こちらは表紙が中村至男さんです)

生まれて400年~30年 今も生き続ける  日本のロングセラー商品展
併設:パッケージデザインの勘ドコロ
会 期:2011年8月20日(土)~2011年11月6日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし、9月19日、10月10日は開館)、9月20日、10月11日
開館時間:10:00~18:00
入場料:無 料
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by dezagen | 2011-09-19 21:41 | 展覧会
Zapf展
宮後のほうです。
今週13日から待望の「Zapf展」が始まりました。

Zapfino、Optimaなど有名書体をデザインした
世界的書体デザイナー、ヘルマン・ツァップさんと
その奥様グドルンさんのカリグラフィ作品展です。

日本で開催されるのが本当に奇跡のようですが、
主催のジャパン・レターアーツ・フォーラム(J-LAF)、
ライノタイプ社の小林章さんほか関係者の方々の
ご尽力で実現されました。

ご夫妻の貴重なカリグラフィ作品のほか、
小林さんとの書体制作時の資料や
活字見本などが展示されています。

こちらが会場写真。
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展覧会の詳細や見所については
J-LAFさん、小林さんのサイトでどうぞ。
http://j-laf.org
http://t-director.exblog.jp/

小林さんのブログでも紹介されていますが、
展覧会図録は必見です。図録デザインは、
『欧文書体』でもお世話になった
デザイナーの立野竜一さん。

9月25日16:00までなので、お見逃しなく。
(最終日のみ16時終了、ほかは19時終了。
25日13:00、15:00にDVD上映あり)

「Zapf展 ヘルマン・ツァップ&グドルン・ツァップ カリグラフィーの世界」
会期:2011年9月25日(日)まで 11:00-19:00
(会期中、休廊日なし)
会場:ギャラリー ル・ベイン
東京都港区西麻布3-16-28 le bain 1F 東京メトロ六本木駅より徒歩10分。
チラシのアクセスマップのampmは、ファミリーマートにお店が変わりました。
ここがテレ朝通りからル・ベインに入る目印となっています。ご注意ください。
http://www.le-bain.com/gallery/index.html
入場料:1000円
http://j-laf.org/2011/07/post-93.html
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by dezagen | 2011-09-17 11:40 | 展覧会 | Comments(0)
台北 HOME HOTEL
ライター、渡部のほうです。

台湾紀行でもう一個、書いておきたいことがあった。
今回滞在したHOME HOTELについて。

ここ十数年、毎年1,2回は台北に行っているのだが、いつもホテル選びには悩まされる。
簡単に言うと、ホテルのレベルが低い。
もちろん世界中のあらゆるホテル、台北のすべてのホテルを知り尽くしているわけではないが、比較的海外旅行の多いホテル客としての目線は持っている。いわゆるブティックホテルにいつも泊まっているわけではない。ビジネスホテルの時もあるし、自費で行く時はかなり安い宿だったりする。
ただ宿泊する前にホテルのHPなどから受ける「ある程度こんな感じで泊まれるだろう」というイメージを、ある程度実際のデザイン(インテリア、備品など)が裏切らない範疇のもの、というのが私のホテルジャッジの基準となる。

台湾のホテルに関しては、HPの説明が不十分で、実際には見かけの立派さに気を取られて使いにくい什器備品が多い、というのがよくあるパターン。トータルなイメージの統一、というデザイン面で見たらほぼ壊滅的である。

そんな中で、全くホテルには期待せず、今回「HOME HOTEL」 www.homehotel.com.tw というホテルに泊まったのだが、ここが私の知る限り台北の中ではずば抜けていいホテルだった(コストパフォーマンス的にも)。

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こちら ↓ は私の泊まった部屋。一番お安いタイプ。渡部撮影(これ以外はすべてホテル提供)。

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この写真だけでは分かりづらいかもしれないけれど、木を基調にした落ち着くインテリアで、無駄がない。椅子の座り心地もいいし、常にホテルで悩まされる机とのバランス(高さが合ってない、収まりが悪いなど)もよく、スーツケースの置き場(広げるには狭すぎ、大体もてあます場所となる)も細長い棚にしたことで、荷物の整理が楽で、使わない時は棚の下に収納できる仕組みもいい。

室内インテリアを手がけたのは、蘇誠修氏。
作品リスト: http://www.inhouse19.com/tedsu/index.html
クラブやバーなど、割とギラっとしたデザインの多い人なのだが、今回は蘇氏お得意のミラーもブラウン系のフィルムを貼り控えめに使っていたり、私は泊まってないランクが上のお部屋にはブルーグリーン系中間色の穏やかなソファを用いたり、あれ?肩の力が抜けたかな?という感じ。

ちなみにこれまで台北のホテルで私が唯一、デザイン合格点を出した(生意気な発言ですが)ホテル、喜瑞飯店 アンビエンスホテル www.ambiencehotel.com.tw もこの方のインテリアデザイン。こちらはまぶしいほど白を基調にしたデザインで、まあ、こっちはこっちで泊まるのにちょっと覚悟がいるのだけれど。

備品のグラフィックもモノグラムの柄をベースに統一。

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このホテルのCIを行った、BLANQのポートフォリオサイトでさらに詳細な備品、およびロゴのグラフィックを見ることが出来る。

http://www.behance.net/gallery/HOME-Hotel/1842307

「人」という漢字をベースにした「H」のロゴマークや、漢字のストロークを活かした部屋番号数字の文字はやや詰めが甘い気がするけれど、私の考える「ある程度」OKの範疇ではある。

ついでに言うと、HOME HOTELの重要なコンセプトはMade in Taiwan。
備品のマグカップ、お茶、家具、シャンプーなどのトイレタリー製品はすべて台湾製を選んでいる。
家電に関しても、高級感を出すならSONYかもしれないが、あえて台湾製にこだわりCHIMEI www.chimei.com.tw の液晶を選んだという。
一階に入っているブティックも台湾の素材、製造にこだわる prefer www.prefer.com.tw というブランド。

台湾製だけれど、伝統的な中華風や原住民風ではなく、今の台湾を見せるというコンセプトがしっかり貫かれている。
考えてみると、台湾の外資チェーン以外でブランディングをしっかりやっているホテルは本当に珍しい。台湾でもホテルの取材を何度かしているけれど、デザインはホテルのビルを設計した事務所が一括で、とか、社長が決めました、ということもしばしば。
HOME HOTELの強いブランディングは現ジェネラルマネージャーの王念秋さんの努力に負うところが大きい。アメリカに留学後、アメリカ系の広告会社、ブランディング会社に勤務、今に至るという経歴。CIを手がけたBLANQの王九思氏も、NYのパーソンズで学んでいる。
一度外に出て台湾を見る、という目線があるからこそ出来たのではないだろうか。

いつ来ても田舎っぽいな、と思っていた台湾もそろそろ国際スタンダードの時代に入ったと思わせる。
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by dezagen | 2011-09-14 23:05 | インテリア
台湾国際文化創意産業博覧会
ライター渡部のほうです。

2泊3日の短い台北滞在。
メインの目的はこちら、
「台湾国際文化創意産業博覧会」 http://www.iccie.tw/
9月8日から11日まで開催中の、台湾のクリエイティブ産業の見本市。
これがなかなか幅広いセレクション。

分かりやすいところから行くと、
小籠包型の調味料入れ。
「台客藍」の製品。
http://www.hakka-blue.com/

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こちら↓は豆腐型カップ
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「天晴設計」のオリジナルブランド http://www.afteraindesign.com/

面白かったのは、他のブースで豆腐をモチーフにした椅子↓も出ていたこと。

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「studio domo」の製品。
http://www.studiodomo.net/


日本で豆腐をモチーフにしたデザインというと、吉岡徳仁のアクリル照明「Tofu」が思い浮かぶ。
シャープに切られた方体、のイメージがあるわけだが、
台湾における豆腐のイメージはむしろ型に入れ、布で漉した跡のイメージが強いようだ。

テーマ展示は「天、地、人」を主題に3つの展示を行っていた。
人をテーマにした「碗見人情」とキュレーターの胡祐宗氏
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日常使っているお茶碗から人間の個性、生活が見える、というもの。
70人ほどの一般の人々から集めたお茶碗を展示。
展示後にゴミにならないよう、展示に使った藁は後で牛の餌になるのだとか。

その展示にあったもので、いいなと思ったのがこちらのお茶碗。

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昔は割れても欠けても、粘土や針金で直して使った。その名残のある茶碗。

テーマ展示の「地」↓はフルーツをテーマにしたもの「果然臺灣」。同名の本も同時出版。
http://www.cwbook.com.tw/common/book.jsp?productID=5530

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写真を大きく見せた展示で、この写真がえらい巧い。
まだ25歳の鄭鼎氏の写真。
フリーだったら何かで頼みたい!と思ったが、
キュレーション、展示設計を務めた「自由落體設計」 http://www.freeimage.com.tw/ の所属の方。
(websiteはなぜか表紙が動かないけど、skip introをクリックするとページ飛びます)
まあ、事務所を通せばいいのか…。

一般展示では若い人が頑張ってきてることを感じる。

ユル系のテーブルウエア、陶器ブランド「FINDING CHESKA」 ↓
http://www.findingcheska.com/
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ここ↑元は「江宏一建築師事務所」が独自で作ったブランド。
デザイナーや建築家が自分でものを作って売る、というのは、
日本より台湾のほうが行動が速く、勢いがあるように感じる。

お米をレトロ風にパッケージしたもの。↓
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「掌生鼓粒」の展示
http://www.greeninhand.com/
昔からある布地や筆文字など、台湾独自の文化を現代風にアレンジ、
というのはありがちなのだけれど、台湾ではまだまだ。
その中ではずば抜けてうまい。
↑写真の下に写っているものはエアメール風の帆布パッケージの中に300gの有機米を入れたもの。
台湾のお米をお友達に送りましょう、というコンセプトはいいし、
パッケージの帆布袋もかわいいのだが、このままでは切手が貼れないので
送る時は同封の紙袋に入れるという。
その辺が詰めが甘い感じで、もう少し頑張ってほしいところ。

台湾ではちょっとロハスっぽい、ちょっとオーガニックっぽい、ちょっとレトロっぽい
安直に言うと森ガール風な文化が盛り上がり中。
そういったブランドやデザイナーを集めたコーナー「好家在台湾」
http://twmyhome.com.tw/index.html

の中で、最高コーナーを占めるのは台北でホテル、レストランを運営する「好様 VVG」 ↓。 
http://vvgvvg.blogspot.com/

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『デザインの現場』読者ならご存じの、素晴らしき出版社「漢聲」も出展。
http://www.hanshenggifts.com/front/bin/home.phtml
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最近、ブログ相方宮後さんも書いております。
http://blog.excite.co.jp/dezagen/16126651/
最近は本だけじゃなくて、ギフトグッズなども出してる。
かなりかわいい。

「好家在台湾」の展示者は今の台湾おされカルチャーを担ってる人達が集結してるので、
これから台湾行く、という人は是非チェック。
好家在台湾 展示者リスト
http://twmyhome.com.tw/exhibitors.html
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by dezagen | 2011-09-10 15:30 | イベント