エキサイトイズム エキサイト(シンプル版) | エキサイトイズム | サイトマップ
<   2011年 12月 ( 7 )   > この月の画像一覧
取次流通できる本の形
編集宮後です。
今年は変わった形の本を何冊かつくり、
造本についていろいろ考えた年でした。

以前好評だった美術展図録のエントリーにつづき、
取次流通させる一般の書籍の仕様について説明したいと思います。

通常、出版社は書籍の見本ができあがると、
見本を取次に持って行きます。そこで受け取ってもらって初めて
本を書店に配本することが可能になります。
(これを「委託配本」といいます。取次を通さないで
出版社から書店に卸す場合を「直販」といいます)

ですから、この委託配本の場合は、
取次に受け取ってもらえる本の形にしないと
書店に流通できなくなってしまうわけです。
私の場合、ちょっと変わった形の本をつくるときには、
本ができる前に取次に行って配本可能かどうかチェックするようにしています。

書籍コードで流通する本の場合、難色を示される形状は、

・付録つきの本で、付録だけ抜き取られる可能性のあるもの
 (本に挟んであるだけとか、テープで止めてあるだけとか)

・付録つきの本で、本を積み重ねたときにつぶれたり、くずれたりするもの
 (特に荷崩れする危険性のある本は作業員が怪我をしたりするので厳禁)

・付録と本にシュリンクだけかけたもの
 (店頭でシュリンクが破れた場合、付録だけ盗まれるため)

・完全な箱に入っているもの
 (「箱」と認識されると、本ではなくDVDなどのマルチメディア扱いになり
   掛け率が下がる)

・本のページ数が極端に薄いもの
 (以前はダメでしたが、最近付録本が増えた関係で大丈夫な場合も)

・破れやすかったり、崩れやすかったりするもの

などです。

書籍コードで付録をつける場合はハードルが高く、
このようにいろいろな角度から検証をされます。
雑誌コードなら規制がゆるくなるので、
女性誌の付録でバッグがついていたりするわけです。

で、だいだいシュリンクすればOKという話になるんですけど、
シュリンクしてしまうと中が見えないので、
シュリンクせずにいかに流通可能な本の形におさめるか、
知恵をしぼることになります。

一方、最近増えてきた取次を通さない流通(直販)であれば
出版社から直接書店へ本を卸すので、このような規制がゆるんだりもします。

また、出版社によっては危なそうな仕様は全部ダメだったり、
取次に確認して配本してくれたり、まちまちだったりもします。
あと担当編集者がそこまでやるか、やらないかとか。
多分に社内事情がからむので、編集者ががんばってもダメな場合もあります。
(がんばりすぎると社内での居場所がなくなったりもします)

仕様に凝りすぎると重版ができなかったり、デメリットもあるので、
なんでもかんでもおすすめするわけではないんですが、
物としてとっておきたい本では試してみてもよいのではないでしょうか。

美術館の図録で凝ったデザインができるのは、こういった流通を通さずに
美術館のみで販売するからなのです。ただし、図録でも書籍として
委託配本して販売するものは、この流通ルールが適応されます。

美術館図録と一般流通書籍で造本が違うのは、
こうした流通上の制約も関係しているのです。
[PR]
by dezagen | 2011-12-27 07:32 | | Comments(0)
これ誰/お寺編
編集宮後です。
今年もあと少しになりましたね。

今年は建築家の方々とお仕事させていただいたせいか、
建築関連の情報も気になっていたのですが、
そんな気持ちとリンクするように
とある建築物竣工のお知らせが。

その建築物とは、四国のお寺「栄福寺」の建物。
『ボクは坊さん。』の著書でも知られる白川密成さんが住職をつとめ、
四国八十八ヶ所霊場 第五十七番札所としても知られる
由緒あるお寺が建築家に設計を依頼したとのこと。
気になったので、早速資料を送っていただきました。

b0141474_014464.jpg

b0141474_0142411.jpg

b0141474_014388.jpg


中心となる建物は「演仏堂」と呼ばれる建物(上の写真)で、
僧侶が仕事をする寺務所や生活の場所(庫裏)を兼ねたところ。
地元の木材や漆喰が使われています。

ここを中心に、お遍路さんを迎える「納経所」、
風呂トイレ棟、旧棟のリノベーションの合計4棟が
新しくなったそうです。
写真はこちら。
http://www.zsa.jp/zsa/index-works.htm

いずれも設計は、白川在建築設計事務所
白川事務所の仕事を見た住職が直接依頼したそうで、
10を超える建築プランの中からこのプランに決まったとのこと。

お寺の設計を建築家に依頼したのはなぜなのか、
白川住職にうかがってみると、
「お寺や仏教はすばらしい伝統を引き継いでおり、
またその思想の中身も現代だから活かしたい智慧がたくさんあります。
でも『今のままでいか』と問われると、そんなことはないと感じています。
そのような中で仏教やお寺にも単純にワクワクする感覚や、
一種の先進性、現代性も必要だと感じ、建築家に依頼しました」とのこと。

「宗教の本質は、同時代的な、つまりとてもコンテンポラリーな場所に
あると思うのです」とおっしゃる住職。たしかに、お寺は昔から
アートや建築と密接に関係してきたわけで、聞けば聞くほど深い話になりそうです。

演仏堂の内部は見学できないそうですが、納経所は一般見学可能。
ご興味ある方はこちらからどうぞ。
今治といえば、今治市伊東豊雄建築ミュージアムもできましたね。
年末年始に近くに行かれる方はぜひ。
http://www.eifukuji.jp/
[PR]
by dezagen | 2011-12-19 18:05 | その他 | Comments(0)
D.I.Y. DEPT. WORKSHOP とPROJECTS 25 SPACES
ライター渡部のほうです。

昨日は展覧会など巡り。

まずは@bftで行われた「D.I.Y. DEPT. WORKSHOP」
http://www.shopbtf.com/at/tenran_diydept_GLS.html

とはいえ、当日ツイッター上で知り、突然行くも、思いっきり住所を間違えて新富町のほうに行ってしまったりということがあり、結果的にBob Foundationに挨拶して帰ってくるだけ、ということに。

b0141474_1343942.jpg


倉科昌高、GELCHOP 、STRANGE OVER TONE、Bob Foundation、Peloqoonが、手軽にできるDIYを手取り足取り指導してくれる、というスペシャル企画だったのに…。好きなもの(コップもスコップも自転車も、どんなものでも)をBob Foundationのラッピングペーパーで包める、という企画だったのに…。
是非2回目希望…。

その後、三菱一号館美術館「トゥールーズ=ロートレック」展を周り http://mimt.jp/lautrec2011/

六本木アクシスのnendoの展覧会。「PROJECTS 25 SPACES」へ。
http://www.axisinc.co.jp/gallery/

4階AXIS ギャラリーでは、近年のプロダクト作品25アイテムを展示。
B1Fシンポジアではインテリア/建築作品、25件の模型と写真を展示。

以下、4階の作品から。

b0141474_13125419.jpg

non-slip birdhouse (2011年)
スエード調人造皮革「アルカンターラ」を使った鳥小屋。
アルカンターラという素材は摩擦力が強い=何かモノが触れた時に動かそうとすると抵抗力が強い。その力を利用して、背面にも鳥小屋にもアルカンターラを使うことで、お互いの摩擦で動かず、固定される、という不思議な状態を作ったもの。

と、かわいらしい作品があるかと思えば、こちらは結構がっつり男っぽい

b0141474_13193662.jpg
b0141474_13192626.jpg


一見、木のテーブル?と思いきや光を通す、アクリルによる「透明な木」の天板テーブル、transparent table。
小口も木っぽい。

年間何十ものプロジェクトをこなすnendo。今回はその中からピックアップしたものなのだけれども、素材も技術もスタイルもそれぞれ異なり、やはりその多彩さに驚く。
一貫しているのは、シンプルな驚きだ。
見て「えっ?」と思わせる驚き。「なぜ?」と聞けば、意外に簡単な技術だったりする。
意外な盲点というのは、メーカー側からすれば、失敗作に見られるからやらなかった、とか、そんなの常識的に無理じゃない?、とか、色々理由はあるのだろうけど、できあがった作品を見てみると、「わっ」と驚きのある、面白い作品に仕上がる。
nendoのすごさは常に驚かせてくれること。量をこなしていくうちにアイデアが枯渇しないものかと思うのに、全然枯渇しない。なんでなんだろう。
[PR]
by dezagen | 2011-12-12 13:38 | 展覧会
展覧会カタログの続き
編集宮後です。
クリスマスソングが聞こえるなか、
相変わらず、本にまみれる毎日です。

造本が凝った本といえば、展覧会図録。
うらわ美術館から送っていただいた図録がよかったのでご紹介します。

「生誕100年記念 瑛九展」図録
2011年7~11月にかけて、宮崎県美術館、埼玉県立近代美術館、うらわ美術館を
巡回した展覧会のカタログです。
図録、ポスター、チケットのアートディレクションは祖父江慎さん。

章ごとに違う色の紙で包まれており、
本文9折(ピンク、黄色、水色の色上質×3)+表紙折(グレーの板紙)+
裏表紙折(クラフト系板紙)の合計11折を背が見えるコデックス装で綴じてます。

取次委託を通す場合は、シュリンクしないと無理な形状。
美術館図録だからこそできた造本ともいえます。

b0141474_1856028.jpg

b0141474_1856994.jpg

b0141474_18561698.jpg


2冊目は「アートとブックのコラボレーション展」図録。
本をめぐるアートを収集するうらわ美術館と、
それに関連する北九州市美術館のコレクションをもとに構成された展覧会。
本のA冊子(左側)に北九州市美術館のコレクション、
B冊子(右側)にうらわ美術館のコレクションを掲載し、
左右見比べながら、本をながめられる造本になっています。

デザインは、ディスウェイの久保悟さん。
左と右の高さもぴったりあっていて、気持ちのよい造本。

展覧会は現在、うらわ美術館で開催中。
来年1月22日まで。

b0141474_18562625.jpg

b0141474_18562119.jpg


うらわ美術館
http://www.uam.urawa.saitama.jp/

なんとうれしいことに図録は通信販売で購入可能です。
http://www.uam.urawa.saitama.jp/tenran.htm
[PR]
by dezagen | 2011-12-12 12:49 | | Comments(0)
ライオン事務器 テープカッター no25
ライター渡部のほうです。

今回は久々、ブログ用の取材。
と、いうのも、読者の方から
「ライオンのテープカッター、カッコいいですよね。あれ、誰がデザインしたのか調べてもらえませんか?」
と、リクエストが来たため。

え?ライオン?歯ブラシの?と、そっちではなく、ライオン事務器のほう。
なんと、来年2012年には創業220周年を迎えるという老舗会社である。
ライオン事務器HP http://www.lion-jimuki.co.jp/

こちらのテープカッター。写真を見れば即分かる。

b0141474_21132614.jpg


小売り商店などでよく見かける、昔家で使ってた、市役所にあったあった、など記憶にある方も多いのでは?
正式名称はテープカッター No.25。はてさて、「誰がデザインしたの?」

対応していただいたのは、ライオン事務器の営業企画部、広報担当の方と、1969年ライオン事務器入社のベテラン社員の方。

「当時の複数のOBに尋ねたところ、外部の工業デザイナーに依頼した商品だとは思われるが、誰であったかは不明とのことです。
当時、まだ工業デザイナーという認識が一般的に薄く、社内でもなぜか当時の開発記録が見あたりません。
それまでの商品と比べて、曲線を主体とした斬新なフォルムがあると同事に、セメントを詰めテープに引っ張られない重さやテープをシャープに切る刃といった、テープカッターに必要な機能を十分兼ね備えたところが企業定番商品として支持されたものと思います。
カタログには1966年に出て来るのが最初です。当時のカタログは2年毎ですから、65年から66年に発売されたものだと思われます」
仮に66年生まれとして、現在45歳のロングセラーなのだった。長い!

当時のカタログのコピーを見せていただいた。

b0141474_22302641.jpg


他のテープカッターは鋳鉄。
会社の資料から、昔のテープカッターと鋳鉄のものも出してもらった。
奥の水色のものは現行のもの。

b0141474_22465174.jpg

b0141474_2247011.jpg


写真では分かりにくいが(すいません…)当初はツートンで、底はベージュ。
色の切り返し部分から下はすぼんでいるので、より軽いイメージになっている。

時代は東京オリンピックが終わり、大阪万博へと、日本が急速に進歩していた頃。
形や色も自在に大量生産できるプラスチックは時代の象徴でもあった。
なめらかで軽快なテープカッターが人気になったのもうなずける。

ちなみに1968年から2000年までは同じ型で木目調もあった。カタログを見ると「北欧調」とある。
これ、欲しい…。

b0141474_22475940.jpg


ところで、本題とはちょっと外れるが、ライオン事務器の歴史資料室がすごいのだった。

b0141474_22503325.jpg

重そうな電動消しゴム。

b0141474_2251622.jpg

ライオン柄がかわいい、ビニールテープ。

こんなものも!と思ってうちに帰ったら、肝心の部分がブレていた大ショックな写真。
b0141474_2252366.jpg

松本零士先生自筆、999のキャラ(とキャプテンハーロック?)がライオンのペン先に乗って飛んでいる。ペンを船に見立ててるところがステキすぎるのだが、ボケてるんだな。すいません。
なんでも松本先生の絵は愛用のライオンのペン先で描かれているのだそうだ。

も一つ。6代目の社長が集めたライオンキャラコレクション。
b0141474_22554645.jpg

6棚分?くらいぎっしり。か、かわいい。

なんだか盛り盛りになってしまったが、テープカッターのデザイナーが分からなかったのは返す返すも残念。もし読者の方でご存じでしたらご一報を!

連絡先:ツイッターが一番早いかな。
http://twitter.com/#!/chiharuwatabe

PS: 東京造形大学グラフィック助手様、写真修正ありがとうございます。
[PR]
by dezagen | 2011-12-09 23:09 | これ誰取材記事
歴代のヤマト糊
ライター、渡部のほうです。

 最近、文具メーカーに伺うことが多い。主な理由は先生業をやっているため授業の下調べ、なのだが、『これ、誰がデザインしたの?』連載時の情報のアップデートの意味もある。お礼参りっていうとなんか意味が違っちゃいそうだけど、取材先に改めてお礼にも行ったわけです。
 
 で、先日伺ったのがアラビックヤマトの回でお世話になった「ヤマト株式会社」。こちらではアラビックヤマトの回ではフォローしきれなかった、ヤマト糊の詳細や近年に出た商品などについて教えてもらった。

 ずらり、歴代のヤマト糊。

b0141474_8495764.jpg


 でんぷん糊のヤマト糊が生まれたのが1899年。明治ですから。すごい貫禄。
 ボトル入りの糊は1952年にチューブ入り発売を挟んで、1958年にプラスチック入りに変わっていく。それまで使われていたガラス瓶は割れやすく、また、重いことから輸送コストが掛かっていたことを、プラスチックを採用することで解消。

b0141474_8503130.jpg


 写真右端の小さいリブ入りの容器。懐かしい方も多いのでは?当初リブ入りになっていたのは、発売当時のプラスチック容器の技術、素材的な観点から、強度を増すため。その後1980年に中央から左の3つ、四角いボトルに変わる。
 
b0141474_8505785.jpg


 現行とガラス瓶期。こうやって見るとかなり違っているのだけれど、蓋の上に桜と当たり矢(ヤマトの名前の由来でもある、矢的)が押されていること、瓶の色が青/緑で現行のものが青、蓋が金から黄色と、色を継承し、共通アイデンティティを貫いている。

 こちらは2003年に出た和紙糊。

b0141474_8513011.jpg


 和紙工作に適したでんぷん糊の製品で、工作の集中を促すよう、ほんのりとゆずの香りがする。昔のラベルをモチーフにしたレトロなラベルを使用しているところに目が行ったが、デザインの注目点としては、ボトルの縁。
 ヤマト糊のボトルよりも縁周りが深くなっていて、指で糊の量を調節しやすいようになっている。教えてもらうまで全然気がつかなかった!と、いうような工夫が、糊の容器にはたくさん隠れているのであった。

ヤマト株式会社HP http://www.yamato.co.jp
[PR]
by dezagen | 2011-12-08 02:11 | これ誰取材記事
菊水酒造 菊水日本酒文化研究所
ライター渡部のほうです。

先日、取材で菊水酒造にお邪魔してきた。
菊水酒造 HP http://www.kikusui-sake.com/home/

菊水酒造さんには『これ、誰がデザインしたの?』連載、書籍のほうでも登場してもらっているが、
これがかなり前。多分2002年くらい?
久々の取材、かつ本社に行くのは初めてだったので、この間、製品のデザインやブランドサイトも色々変わっていて、進化する会社という印象を受けた。

社内で素晴らしいのが、菊水日本酒文化研究所という建物。
http://www.kikusui-sake.com/home/jp/Labo/

木の香りのする建物自体ステキ、住みたい。
だが、びっくりしてしまったのは図書館。

b0141474_23422881.jpg


酒に関する書籍だけでなく、関連して食もデザインの本も。
戦前の本もかなり多い。本の中の写真でしか見たことなかった、という本もちらほら。

その奥に展示コーナー。

b0141474_23472033.jpg


お皿、とっくり、さかずき、さかずきを置くための台(すいません、名前忘れました)などなど。
アンティーク食器がずらり。
こうした生の資料から、今のパッケージデザインに使うものもあるとか。

一般公開はされていないのが残念だが、
図書など調べ物がある場合はその旨お伝えすれば対応可能とのこと。
[PR]
by dezagen | 2011-12-05 23:56 | その他