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世界の美しい本〜珍書編
続けて珍書編です。
(本当はこっちを紹介したかったりw)

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『Kaugummi. Kommunikationskonzepte fur die Strasse』
(チューインガム 路上でのコミュニケーションコンセプト)
2008年、ドイツの最も美しい本入選

ガムの吐き捨てをやめさせるキャンペーンで
掲出されたポスターを集めたユニークな本。
吐き捨て防止ポスターがこんなにあるってある意味すごい。
噛んだままのリアルなガムの写真とか、
日本人的美意識だと「うえっ」って感じなんですが、
ドイツ的リアリズムなんでしょうか?


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『Schapen tellen』(羊を数えて)
2007年、オランダの最も素晴らしい本入選

タイトルどおり、羊を数える本。
羊が群れているだけの写真が延々と続く。
絵本の形をしているので、子供の寝かしつけにも使えそう。


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『And Willem. Documentation of a Youth』
(そしてウィレム ある青年の記録)
2011年、世界で最も美しい本コンクール銅賞受賞(オランダ)

生まれてすぐ里子に出されたこの本の作者、ウィレムが
自らのルーツを調べた結果をまとめた本。
顔の上の茶色い四角は、調査に非協力的だった人を
塗りつぶしてるんだそう。塗りつぶすって処理がすごい。
そして超パーソナルな内容を本にするっていう発想もすごい。
さらに、これが「世界で最も美しい本」(世界中で14冊だけ選出)に
選ばれているのがすごい。理解を超えた一冊です。


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『Net niet verschene boeken』(出版されない本)
2010年、オランダの最も素晴らしい本入選

モアレだらけの本を集めた本など、ありえない架空の本を
100冊近く紹介した本。「これを本にする必要があるの?」
という疑問はさておき。日本なら完全にサブカル本だけど
すごく立派な装丁で、アートブックのようにつくられてます。


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『Atlas der abgelegenen Inseln』(離島の地図)
2009年、ドイツの最も美しい本

無人島ばかりを集めた本。
中はブルーグレー、オレンジ、黒の3色刷りで
とてもセンスよくまとめられています。
テーマは珍書だけど、デザインがとってもすばらしい。

こうして見ていると本当に個性豊か。
うらやましいほどの自由さ加減。
(ツッコミどころ満載)

商業出版の世界にいると、
こういう発想を忘れてしまいがちなので、
いけないなと自戒をこめて。
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by dezagen | 2012-07-26 07:58 | | Comments(0)
世界の美しい本〜造本編
編集宮後です。
今編集してる本からご紹介です。

凸版印刷 印刷博物館で毎年行われている
「世界のブックデザイン」展。
「世界で最も美しい本コンクール」や
世界各国の造本コンクールに入選した本を集めて
開催されている展覧会なんですが、
そこで展示された美しい本をまとめた本をつくってます。

200点くらい紹介してるんですが、
ブックデザインが面白い本(造本編)、
テーマが面白い本(珍書編)に分けてご紹介します。
(Photo by Keiichi Murakami)


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『Nieuwsgierigheid(好奇心)』
2007年、オランダの最もすばらしい本入選

表紙や背にタイトルがいっさいなく、
小口にレーザーカットで入っているという本。
日本の取次流通では絶対にできない造本。
本の内容は好奇心の生成に関する論文だとか。


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『Een restructief van Lingotto』(リンゴットの再建)
2009年、オランダの最もすばらしい本入選

古い建物のリノベーションを手がけるリンゴット社の会社案内。
リユースの会社なので、飲料パッケージの紙を再利用して
表紙にしています。一冊として同じものがないレア本。


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『Kunst op Kamers 2008 De Rijp』(部屋の芸術2008年デライプ)
2008年、オランダの最もすばらしい本入選

オランダのデライプ村で開催されたアートイベントのカタログ。
小口を断裁せずに、山型のまま残して、村の家の屋根のように
見せています。表紙の色が見える、型抜きのケースもかわいい。
オランダの著名装丁家、イルマ・ボームによるデザイン。


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『Foster 40. Projects and Themes』
2007年、ドイツの最も美しい本入選

建築家、ノーマン・フォスターの作品集。
40の建築を紹介する作品集のパートと
建築コンセプトを紹介するパートが2冊にわかれ、
金属板でつながっている造本。
ちなみにすごく重い。。。


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『Designleren. Wege deutscher Gestaltungsausbildung 1897-2007』
(デザイン学 ドイツの造形教育の道)
2008年、ドイツの最も美しい本入選

ドイツのデザイン学の100年の歩みをまとめた研究書。
写真とテキストの2冊組。
一見、普通の2冊組の本ですが、表紙に磁石が入っていて、
ケースがなくても2冊をくっつけて収納できます。
金属板とか磁石とか、もはやプロダクトデザインですな。

これらはほんの一部。もうやりたい放題ですな。
でも、こうした本がヨーロッパで一般的に出回っているわけではなく、
アートブックだったり、会社案内だったり、特別につくられた本が多いようです。

返品されることが前提になってしまっている日本の書籍では、
できないデザインも多々ありますが、
いつかはチャレンジしてみたい本がたくさんありました。

次回は、「こんなのあり?」な珍書編です。
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by dezagen | 2012-07-26 07:20 | | Comments(0)
PEPPERSMITH
ライター渡部のほうです。

現在、東京造形大学の渡部ゼミではガムの商品開発、パッケージについて研究中。

パッケージのイメージは色々作りようがあると思うのだけれど、結構困るのが「あ、包み紙なくした」という時。
ノートの切れっ端、レシート、付箋、ティッシュなど、そんなもので代用するわけだが、包み紙を絶対なくさないとか、なんかいい方法ないのかな、と海外のガムを探していて、見つけたのがこちら。
イギリスのPEPPERSMITH
www.peppersmith.co.uk

どうも包み紙自体が箱に入っているらしい。
どんなものやら、と注文したら10日くらいで届いた。

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3種類のガム、3種類のミントタブレット。それぞれ15g、黄色=レモンミント、緑=ペパーミント、青=ユーカリミントのフレーバー。
6個で8.10ポンド、送料5ポンド、合計13.10ポンド(7月10日付け、paypalで1660円)。

1個約277円と考えると高いけど、こんな箱で届いたらもう許す。全然許しちゃう。

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郵便局で料金を印刷してもらう切手代わりのものを「料金証紙(イギリスではRoyal Mail Horizon Label)」というらしいのだが、これが大きい!金色!女王柄(は普通だけど、即位60年ダイヤモンド・ジュビリーの今年は特別感がありますな)。
宛名ラベルの上に乗っけているのはホントは箱の中に入ってたもので、商品の解説。
左の名刺のようなものはコンプリメントスリップ(一筆箋、みたいなもの)。
ミントの葉っぱをヒゲに見立てたシンボルマークなので、ヒゲキャラがずらり。
宛名ラベルには、ピーター・セラーズ扮するところのクルーゾー警部♡♡

気になるガムパッケージは、と言うと、こんな感じ。
(どうもウェブサイト上にあるものからリニューアルした様子)

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大概海外の粒ガム(が主流、板ガムはほとんど見かけなくなった)は、こんな風にざーっと容器の中に入ってるのが普通。
ヒゲキャラの代名詞とも言える、チャールズ・ブロンソン(だと思うが)を表紙にしたメモ帳みたいなものがポケットに入ってる。むむ、これがあれか?

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というわけで、このメモ帳みたいなものが、ガムの包み紙になっている、という次第。
1枚1枚にガムにまつわる豆知識や「ゴミ箱に入れてくれてありがと」などメッセージが書かれている。
これなら包み紙なくさないな、というか、そもそもガムが包まれてないし。

ロゴからパッケージから、ウェブサイトも素敵なこのPEPPERSMITHのブランディング及びデザインを手がけたのはB&B
www.bandb-studio.co.uk/work.htm
ここって、宮後さんも認める素敵パッケージ飲料firefly 、私の趣味じゃないけどこのかわいさをイギリス人が作ったのはすごいよと諸手を挙げて褒めたいinnocent 、もらって嬉しかったので自分でもお土産にたくさん買ったナチュラルおやつのBEARのパッケージも手がけている、素晴らしすぎるデザインエージェンシーじゃないですかー!

そもそも、安心素材を基本とする飲料メーカーinnocentに勤めていた人が立ち上げたのがPEPPERSMITHで、人工香料、保存料、石油系樹脂の合成ガムベース(調べてみるまで知らなかったけど、安いガムってプラスチックと同じ素材なんですな。安全ではあるけれど、ちょっとびっくり)などを使わず、天然素材を使ったガム、ミントタブレットを作っている。
ガムを地面に捨てたりしないでマナーを守ってね、という配慮や、箱に使われている紙もFSC森林認証紙、と細かい。

天然素材なせいなのか、ガムの味はそんなに長持ちしない、が、ガムもミントタブレットもペパーミントとユーカリミントの「すかっ!」感が本当に葉っぱを噛んだ時みたいな感じ(褒めすぎだろか?)。ガムの甘すぎる〜、後味が残る〜(←私はこれが嫌い)がなく、後味さっぱり。
矛盾するみたいだけど、味としてはジューシーな感じとミントのバランスがいいレモンミントがお奨め。
(ウェブサイトに載ってる FISH & CHIPS フレーバー、噛んでみたいなあw)
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by dezagen | 2012-07-21 23:34 | プロダクト・パッケージ
タイポグラフィの展覧会「タイポロジック」
タイポグラフィの現在を、
デザインとアートの両面から考える展覧会「タイポロジック」が
神保町の竹尾見本帖本店で始まりました。

3年ぶり2回目となる展覧会には15組27名による
文字をつかった作品が展示されていました。

こちらは会場写真。
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展示内容の詳細はこちらをどうぞ。
http://typologic.jp/index.html

台湾の活字会社、カリグラフィの作品、海外作家の作品、
デジタルのインタラクティブな作品など、
タイポグラフィの解釈を広げる幅広い作品が展示されています。

3年前の前回開催時には、iPadも登場してなければ、
電子書籍やWebフォントも今ほど普及していなかったわけで、
この3年間でかなり環境が変わったといえるでしょう。

テクノロジーの変化が
そのまま文字をとりまく環境の変化にも
つながっていることを深く感じさせる展示でした。

展示は8月10日まで竹尾見本帖本店にて開催。
土日はお休みです。
http://www.takeo.co.jp/site/event/central/201204.html
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by dezagen | 2012-07-10 18:14 | 展覧会 | Comments(0)
D-BROSがビジネス向け文具を発表
編集宮後です。
相方の渡部さんが書いているとおり、
今年の国際紙文具展は考えさせられることが多かったです。

スタイリングだけ変えた製品ではなく、
長年企業が培ってきた技術や理念をベースにして
製品をつくっているところはやはり強いなという思いを新たにしました。

特殊ニス加工の素晴らしい技術を持っている欧文印刷さんや
粘着技術の研究開発を続けているカモ井加工紙さんなど、
技術とデザインが結びついている企業の取り組みを
もっとたくさんの方々に知ってほしいなとも感じています。

一方で、デザイナーから発信するものづくりも健在です。
その代表的なブランドがD-BROSではないでしょうか。
デザインシーンだけでなく、一般の小売りシーンにも浸透し、
いまや普通に手に入るプロダクトになった感があります。

そのD-BROSが6月末に、新しい文具のシリーズ、
「D-BROS FOR BUSINESS」をリリースしました。
ビジネスシーンをちょっと楽しく、快適にするためのシリーズとして
仕事でも使える文具を発表していくそうです。

今回リリースされたのは下の3点。
ファイル、ノート、カードケースです。
いずれも赤と黒の2色展開。これなら仕事で使えそうです。

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ファイル「JAVARING FILE」 1260円(税込)
紙の蛇腹部分にカードなどを差し込んではさむ画期的な収納ファイル。
チケットや領収書の保管に便利。D-BROSの手帳ともあいそうです。
本をノド付近でカットして紙をはさむと落ちないことを発見した
デザイナーさんがいろいろ試作をして考えたデザインだそう。
素材:OKACカード、タント

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ノート「PEN AND NOTE」 1050円(税込)
ちょっとしたメモや思い浮かんだアイデアなどをすぐ書き留めたいときに
最適なペン付きノート。1枚の紙を折っただけですが、ちゃんとペンもはさめます。
素材:表紙/OKACカード、本文/淡クリームキンマリ

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カードケース「PAPER CARD CASE」 840円(税込)
こちらも1枚の紙を折ってつくられたカードケース。
両サイドの2つのポケットにカードがはさめます。
素材:OKACカード、布クロス
(写真提供:D-BROS)

いずれも紙の特性を活かしたシンプルなつくりながら
しっかりとした機能もあるプロダクトになっています。
しかもお財布に優しいお値段がうれしい。

とかくクオリティ重視で高くなりがちなデザインプロダクトにとって
いくらで売るかはかなり重要。たぶんD-BROSは販売するということを
リアルに考えて、ものづくりをされていると思います。
だからこそ10年以上も継続されているのでしょう。

企業発のものづくりと、デザイナー発のものづくり。
たまたま両方にふれる機会があったので、
いろいろと考えさせられる1週間でした。
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by dezagen | 2012-07-10 18:10 | プロダクト・パッケージ | Comments(0)
ISOT2012
ライター渡部のほうです。

7月5日の木曜日、久々にリアル宮後さんと合流し、文具の見本市ISOT(国際 紙・文具展)に行ってきた。
http://www.isot.jp/

(宮後さんのほうが私より長い時間を掛けて見ていたので、後ほど宮後さんバージョンのレポートもあるかも)

毎年行っているわけではないので、新作なのか新作じゃないのか、分からない私としては、去年も見に行っている宮後さんと一緒に見て回れてよかった。
印象としては、過去よりぐっとノートや手帳など、紙モノが増えている。ブースとして接着系や筆記具のメーカーもあったが、総合雑貨、総合文具のブースなどと合わせてざっくり見た印象の総数では、紙モノの展示がやはり多かった。
この前コクヨのキャンパスノートの取材に行った際「ノートの生産量は微増」と聞いて、書籍や雑誌やパッケージや、紙の生産量はどんどん落ちていくと聞いている中で、「微」とはいえ「増加傾向」というのには驚いて帰ってきたところであるが、見本市の物量を見る限りウソではなさそうだ。

我々が見て来たところ抜粋。

人気の止まらないカモ井加工紙のmt。http://www.masking-tape.jp/
ブースも人がすごかった。
毎年、秋冬と発夏で新作発表をしている。
今回は今年の秋冬。夏から発売される新柄をメインに発表。
(よく見たら写真がブレブレだった。がーん)

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カタログで「生産停止品」となっているものがあったので、寂しいな、と思ったら、アルファベットは使いやすい文字に切り替えたり、縦長だったラベル柄を横長にして幅を短くして使い切りやすくしたり、全体的にもテープの長さを短めにして、買っても使い切れるサイズに変更したり、というような理由から、一時生産停止、ということなのだそうだ。
幅が短くなったり、長さが短くなることで、値段も下がり、より買いやすい商品へと進化を続けている。
こうした細かい改良がmtの人気を確固とさせているのだと思う。

欧文印刷さんとアートディレクター井上広一さんの共同制作ブランドCANSAY。このシリーズの中の「ノートタイプのホワイトボード NUboard (ヌーボード)も、ホワイトボードのように使える紙→ノート型→サイズバリエーション、と展開を続けている。
http://www.obun.co.jp/cansay/nuboard.html

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ノベルティとしても人気が出て来たとのことで、車メーカー用で車の形や、動物の形、表紙の色違い、などをノベルティ用に応用中。
「でもやっぱりクラフトの表紙がいいですよ」と言ったら、「デザイナーさんはこっちのほうが好きなんですよね。でも一般のお客さんはまた違ったニーズですから」と欧文印刷の方。
そうだよな、って私、デザイナーじゃないけど、やっぱピンクとか黒とか、なんか出来る風、かわいい風なのが売れるよね、きっと(ちょっとすね気味)。

デザインフィルは安定した人気。http://www.designphil.co.jp/
新作はイラストを使ったかわいい製品が多かったので、自分に響かなかったが、見せ方が非常にうまい。

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MDペーパープロダクトは、書き心地にこだわったMDの用紙を積み上げてテーブルに。紙がまとまっているのを見るだけでも嬉しくなる渡部・宮後チーム大喜び。

あら、あそこだけなんだか異色、と行ってみたSTALOGY。
https://twitter.com/stalogy (HPは現在準備中とのこと)
埃取りのコロコロや、粘着テープ、フックなどホームセンターでよく見る、生活雑貨のメーカーニトムズと、グッドデザインカンパニーが製品開発から共同で作った文具ブランド。

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これまでの粘着系の技術を活かした、粘着シートや透明付箋、新しいジャンルに挑んだ消しゴムやノートなどを揃えている。
残念だったのは、「これはすごい」という画期的な製品がなかったこと。
上のmtやNUboardも既存のものに+αの考え、微調整、をしながらゆっくりと進化しているのであって、文具の世界で画期的なものを生み出すのは、なかなか大変なことだから、突然新しいもの、を期待するほうが間違っているのかもしれない。

頑張って作ったニトムズにもグッドデザインカンパニーにも申し訳ないけれど、これだけ文具の溢れている日本の中では、表面的なスタイリングをしただけの商品群に見えてしまった。

クラフトデザインテクノロジー http://www.craftdesigntechnology.co.jp/
もそんな感じがしていて、どうも自分で買う気にならない。

文具ではないけれど、先日のインテリアライフスタイル展で見た鳴海の新しい食器シリーズOSORO http://www.osoro.jp/ もそんな感じがして、どうも自分で買う気にならない。

立場が違って、もし私がバンコクや台北(いずれもバブルとデザインブームが一気に来ている都市)のショップバイヤーだったら買うだろう。
きれいなデザイン、きれいなパッケージ。まだそうしたものが現地に少ないから。

でも日本においてはどうだろうか。
きれいなパッケージ、って必要なんだろうか?

と、ちょっと考えてしまったよ、と他のグラフィックデザイナーさんに言ったところ、
「このデザインが好きかどうかはともかくとしても、もし自分に新ブランド開発の話が来たら、デザイナーができるのはパッケージ、見せ方を変えることだけかもしれない。徹底した商品開発や社員教育までに至るCI作りは、個人デザイン事務所ではやりきれないところで、よほど大きいブランディング会社と会社社長の強い意志がないとできないのではないか。」
と、悩ましい答えが返ってきた。

デザイナーの立場を考えるととてもデリケートな話題だけれど、やはり私は大きくブランディングが先に立って、中身よりスタイリングが優先されているものには愛情を注ぎにくい。個人的な見解ではあるけれど。

例えば食品の新ブランド立ち上げ、きれいなパッケージで統一感を出した、というのは納得がいく。
なぜなら、食品の場合、ユーザーとの接触時間が短く、食品そのものに加え「気分」を買うものでもあるから。

文具や食器の場合、ユーザーとの接触時間は非常に長い。時として一生付き合うものもある(全然壊れない定規とか、入れ替え続けるペンとか、パンチ穴空けとか、終わったら同じものを買うノートとか)。
その場合、製品そのものとユーザーの関係は密接であり、見た目(も重要だけど)よりも、その人その人に合った使い勝手、すなわち機能で選んでいることが多い。
また、食器はあまりにも規格化されていると、なんだか寂しい気持ちになってくる。食器には人間の生活と共に暮らす、ほんの少しの愛嬌というか、味わいというか、そんなものが自分に合うか合わないかの基準になってくるのだと思う。
(ただ、OSOROの場合は、ホテル、レストランなどケータリングビジネスにはいいのではないかと思う)

私がひねくれているのだろうか。
インテリアライフスタイル展にしても、ISOTにしても、新製品でブランド感が強すぎるものほど(昨今ややその傾向は強い)腰が引けてしまう。

私は見た目に弱い、いわゆるジャケ買いするタイプではあるものの、使いにくければすぐ捨てる(ここら辺は容赦ない)。こればかりは絶対変わらない愛用品、アラビックヤマト、モノ消しゴム、ペンテルの.e-ball、マッキー極細、他もろもろ、いずれもオシャレではないが、機能が素晴らしいだけに堂々としているところが好きだ。

STALOGYに話を戻すと、最初からこんなに大仰にせず、ニトムズの得意分野を活かした、基幹商品をまず出すべきではなかったかと思う。
そこからじっくりとユーザーの対話を繰り返し出来ていくもの、それがブランディングの本質なのではないかと思う。
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by dezagen | 2012-07-09 03:58 | イベント
反戦ポスターについて考える
ライター、渡部のほうです。

現在大学のほうの仕事に8割を奪われているので、もはやライターとは呼べないのではないかと思ったりもするのだけれど、こうしてブログに書き残すことを許されていて、読んでいる人がいる以上は、まあ、一応ライターなのだと思う。VIVA ブログ。THANKS 読者。

学生からの質問は唐突なものが多い。デザインのトレンドとも関係ないし、あらゆることに鈍感になってきている40代と比べてあらゆることに敏感だし、その日その日の授業からそれぞれの学生が受ける印象も様々なのだろう。
この前は「先生の好きな反戦ポスターは何ですか?」と聞かれた。
「……、なんで反戦ポスター、今さら?」というのが正直な答えだ(ちなみに授業でもそう答えた)

そもそもなぜその学生が「反戦ポスター」という言葉を使いたかったのかは分からない。その日やっていた授業は、1930年代から40年代のプロパガンダ雑誌、オトル・アイヒャー(戦前反ナチスとして行動)と戦時色の強い話だったので、アレルギー的に「反戦」と言いたかったのかもしれない。

むろん反戦を訴えたポスターで名作はある。ただ、それらのほとんどは展覧会かデザインメディアでしか見たことがなく、「戦争を阻止する」アピール力で考えると、ほとんど効力はない、と言える。

デザイン史を教えている立場としては「この反戦ポスターは風刺が効いていて、うまくグラフィック処理されている云々」ということはできるが、デザインジャーナリスト(さっきまでライターと書いていたけれど、その実どちらでもいい。職能としてどっちを書いたらいいのか分からない時はままあるが、さておき)の立場として、今、現在、メディアの中での反戦ポスターの効力は99%ない、としか言えない。こと日本においては。

質問を受けて、現在反戦ポスターというのがどれだけ出ているのか調べてみたが、やはりあまりない。

興味を引いたのは
Global coalition for peace.org - poster / Ambient 'What goes around comes around' (2009年制作と思われる)
作り手Big Ant International
http://bigantinternational.com/
のサイトから
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Global Coalition for Peace
をクリックすると見れる。
太めの円柱に巻くと、自らのガンの矛先が自らに向いている、自分が投げた手榴弾が自分のところに落ちてくる、というように見えるシリーズ。

Big Ant Internationalは現在ソウルをベースにする会社だが、元はNYで勉強していたデザイナーが組んだチームだそうだ。
彼らの場合は、日本に住む日本人とは相当立場が異なる。
住んでいたアメリカはイラク戦争に介入し、2011年末にやっと終戦宣言がなされたばかりだ。韓国と北朝鮮が実際に戦闘状態に入るとは現実的に考えにくいが、その可能性がないとは言えない。
市民の声の意思表明として、このポスターが訴えかけるものに共鳴する人も多いだろう。
とはいえ、やはり、このポスターなどがあったので、2011年にアメリカはイラクから撤退することに決めました、などと楽観的なことはあり得ない。
いくらポスター自体が優秀でも、戦争の行く末を決める人々には届かない。

調べて見ると、現在戦争状態(内乱、内戦含む)にある地域はまだまだある。
外務省 海外安全ホームページ http://www.anzen.mofa.go.jp/ ではほぼ毎日「注意喚起」「危険情報」が告知されている。
こうした「危険地域」に効力を発しているポスターがあるのだとしたら見てみたい。

ポスターそのものの効力に関しても疑問を持たねばならない。例えば授業で教えるような1970年代までの、宣伝/広報=(紙に印刷した)ポスター、という考え方はすでに終わっているのであって、現在のプロモーション活動は従来の紙ポスターに加え、TVCF、ネット媒体でのバナーやCF、HP、SNSでの活動、販促のための物語作り、タイアップなどなど、一つのものごとを伝えるのに、どれがいいかは、その内容により異なってくる(場合によってはすべてやらなければいけない)。
特定の場所にだけ貼られたポスターを、皆が見て情報を得る、という時代ではない。

と、いうようなことをざっくりと授業時間に答えたところ、生徒から「ではポスターに代わるものは何ですか?」という質問が来た。
何なのだろうか。
これは今、広告代理店ですら悩んでいるところなのだから、そうそう軽々と「これです」という答えは出せない。

思い出したが、個人的に初めて「戦争反対」で納得行った言葉は「死ぬのは嫌だ、恐い。戦争反対!」
分かる人はすぐ分かるのだが、スネークマンショウのアルバムのタイトルである。
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by dezagen | 2012-07-09 01:22 | その他
mtのワークショップ
ライター、渡部のほうです。

と、言うか、東京造形大学の渡部千春です。
先日、7月3日(火)、調布市で行っている「ちょうふ市内・近隣大学等公開講座」の一環で、東京造形大学の出張授業として、mt www.masking-tape.jp についての講義と簡単なワークショップを行ったのだった。

詳細: http://www.chofu-culture-community.org/forms/info/info.aspx?info_id=25457


当日の様子(撮影:東京造形大学スタッフ)
結構男性の方の参加者が多かったのが印象的だった。

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ワタクシは残念ながら美的感覚に欠けるので、今回のワークショップは、和紙でできているマスキングテープの仕組みをよく知るための、簡単な体験、だったのだけれど、カモ井加工紙さんからのご協力で、山のようにmtを提供していただく(大感謝)。

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同じ箱の台紙でも全然違う。

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人によって全然違うもの、違う色合いを使って作っているのを見るのは面白い。
手軽に扱えるものだけに、その人なり、というのが出やすいのだろうなあ。

ワタクシの失敗談。
「貼って剥がせるのがmtの魅力です」と言っておきながら、注文した荷札が表面加工のない、ざらっざらのクラフト紙で、貼った後に下地のクラフト紙の繊維がmtにくっついちゃったのだった。
これはセレクトの間違い。
ある程度平滑さのある媒体を選ばないといかんのですな(勉強、勉強)。

ちなみに「ちょうふ市内・近隣大学等公開講座」東京造形大学の公開講座は、あと2週行われる。
7月10日(火)14:00~15:40 「日用品ができるまで-バリエーション展開のデザイン-」
 カップヌードルとモノ消しゴムを例に、成り立ちと商品バリエーションを作る時の留意点について。
7月17日(火)14:00~15:40 「日用品ができるまで-製品とパッケージの進化-」
 ポッキーとキャンパスノートを例に、同じ名前の製品でもどんどん進化していく経緯を見て行く。

詳細はこちらで:
http://www.chofu-culture-community.org/forms/info/info.aspx?info_id=25456

電話・インターネットでお申し込みください。先着順に受付をします。
(電話申込受付時間:9:00~12:00 13:00~17:00です。042-441-6150まで。
インターネット申込は前日までの受付となります。)

とのこと。
ちょっと申し込み方法が面倒臭い(受付時間が短い、ネット申し込みは記入項目が多い)し、平日昼間で来にくいとは思うけど。無料なので。
近隣の方で、お父様、お母様など、昼間時間の空く方がいらっしゃったら是非お伝え下さい。
(最後だけ丁寧語になっちゃった)
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by dezagen | 2012-07-06 22:47 | イベント
グラフィックトライアル2012
ライター渡部のほうです。

もう10日も前の話になるのだが、印刷博物館で行われている「グラフィックトライアル2012」に行ってきた。

http://biz.toppan.co.jp/gainfo/graphictrial/2012/details.html

今年の参加者は、
勝井三雄氏+AR三兄弟+プリンティングディレクター高本晃宏氏、
森本千絵氏+プリンティングディレクター渡辺孝氏、
三星安澄氏+プリンティングディレクター歩田信之氏、
竹内清高氏(凸版印刷アートディレクター)+プリンティングディレクター立木令央氏
の4組。
テーマは「おいしい印刷」なのだけれど、「おいしい」のとらえ方はかなり4組4様。

三星氏はモアレを研究。
なんでモアレ?
というのは、印刷の版のズレによるモアレというのが、偶然が生み出す「味のある仕上がり」という繋がりだそう(結構無理矢理だな…笑)。

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↑こちらは印刷を試したサンプル。
網点の形を四角や三角、正六角形で、版の重なりの角度を1度、2度とずらしていく。
網点の形と角度、線数の違いによるモアレの現れ方をチャート化したポスターがとても美しい。
が、写真に撮るのを忘れていた。
グラフィックトライアルの冊子に載っているのだけれど、実物で見る「おおっ!」感は、やっぱり実物で見て欲しいところ。

「おいしいの見せ方を探る」をテーマにした竹内氏は凸版内で、主にパッケージ、特にお菓子関係を手がけているそう。
チョコレートのパウダー感、なめらか感、高級感、パリッと感、かたさ・重量感、の表現を探ったもの。
今年チョコレートを見て来た私のためにあるようなトライアル!

例えばパウダー感ではインキに入れるマットニス配合率で比較。これが全然違う。
他にも蛍光色、パールニスを入れてみたり、基本4色の中でも赤に振ったり青に振ったりすることで、これまた全然印象が違う。
比率による違いを見せたチャートシートも展示されていて、これは欲しかった。

で、完成品としてパッケージの下になるパターンをそのままポスターにしたもの。

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手前が、断裁して組み立てた時のパッケージサンプル。
このポスターのパターンがカラフルでシズル感があって、リピートされているのでリズム感があって、とても素敵♡
私は竹内氏に一票(ってコンペじゃないけど)。

グラフィックトライアルは8月26日(日)まで。
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by dezagen | 2012-07-01 21:41 | 展覧会