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プリント違い
ライター渡部のほうです。
先週の木曜日からロンドン滞在中。

今回の滞在はRCA(Royal Collage of Art)のサラ・ティズリー氏(友達なのに氏を付けるのも変な感じだけど、イギリスの制度的に教授professorでもなく、日本語で訳しにくいtutor=指導教員、ということになるのだが、役職的には日本の教授に近い、と思う)との共同プロジェクトのため。
学生を交えたワークショップは明日から始まるのだけれど、学生とはいえ、大学院で歴史を学ぶ、セミプロ歴史家達に付いていけるのだろうか。
まあ、レポートは後日。

で、金曜日にサラさん(このほうが気分的に言いやすい)との打ち合わせをしていて、すれ違った同僚の方と、フラッシングライトをヘルメットに2個、ウエアに2個、自転車に2個、の自転車ウエアすごいねー、ロンドンで自転車危険なのよ、ちょっと天気がよくなったと思って注意散漫になってるドライバーがねー、あーサラの友達?よかったらこの見本市来る?来てね、ああ行く行く、じゃあ気をつけてねー、じゃーねー、というような会話がさくっと1分ほどでなされた後、私の手元に残ったインビテーション
「The London Original Print Fair」

Print=印刷、だと思い、いそいそと土曜日に出かけていったものの、場所はRoyal Academy of Arts。バリバリのファインアート美術館で、例えて言えば、東京藝術大学美術館と国立西洋美術館を足して割ったようなところ。
そんなところで印刷の見本市って珍しいなあ、と思いつつ、一歩足を踏み入れ、自分の勘違いに気がつく。

print = 版画。

あ。
とはいえ、コンセプチュアルデザインに近い作品だったり、額や特装本の作りや紙の使い方など、意外に楽しんでしまった。買えないけど。

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アルファベットの版画シリーズ、いいなあ、と思ったら、大御所ピーター・ブレイク!
デザイン史的にはビートルズ「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のジャケット、アートディレクションで有名。

他にKatharine Morling http://katharinemorling.co.uk の作品がよかった。
写真がうまく撮れなかったので、ウェブサイトでご確認を。
陶磁器の作品なのだけれど、ギャラリーの方曰く「スカルプチュアルプリンティング」。
これも「print」の一種なのか…。ファインアートって懐が深い。
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by dezagen | 2013-04-30 04:39 | 展覧会
『高岡重蔵活版習作集』
編集宮後です。
嘉瑞工房の高岡重蔵さんの新刊『高岡重蔵活版習作集』が
烏有書林から発売されました。

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高岡重蔵さんは、井上嘉瑞さんからプライベートプレス
(個人で行っている印刷工房)「嘉瑞工房」を引き継ぎ、
長年、欧文活版印刷の仕事をしてきた活版職人。
原弘と交流があったとか、東京オリンピックの
表彰状を刷っていたとか、いつも興味深いお話をしてくださる
生きる印刷デザイン史のようなお方。

92歳になる今でもお元気で、先日もロンドンに行かれたばかり。
そんな重蔵さんが現役時代に欧文金属活字で組版・印刷した
作品を集めたのがこの本です。
おもに1970年代につくられたものが収録されています。

金属活字でこれだけの組版をしていたというのがわかる驚愕の本。
あのヘルマン・ツァップさんも認めたというのも納得です。

本書には重蔵さんの作品約150点とその解説、書体別解説を掲載。
実際に活版印刷で刷られた作品も挟み込まれています。

作品はじっくり本で見ていただきたいのですが、
重蔵さんの江戸っ子らしい語り口も魅力。
本書の中ではほぼご本人の口調どおり、再現されています。

前口上に書かれた言葉が素敵なので、一部抜粋します。

「嘉瑞工房の目指した仕事のレベル、
目標はあくまで海外なの。ここに収めた作品は、ぜんぶ、海外で
認めてもらうために腕試しとして作った習作なんだ。」

「文字というのは読むためにある。記録するためにある。
だから、読みよくなければならない。形だけで遊んじゃ駄目。
平凡でも、内容にふさわしい組版をしなきゃいけない。
これがタイポグラフィの原則だと教わった。」

そんな重蔵さんを「生で見たい!話が聞きたい!」という方は、
5月19日(日)に代官山蔦屋書店で行われる
トークイベントへどうぞ。

5月19日(日)14:00-16:00 東京(代官山蔦屋書店)
『高岡重蔵 活版習作集』発刊記念トークイベント
高岡重蔵×小林章 対談「欧文タイポグラフィ、世界を目指して」
ゲスト:高岡重蔵、小林章
http://uyushorin.com/home.shtm
http://tsite.jp/daikanyama/event/001741.html

高岡重蔵 活版習作集
烏有書林刊
http://uyushorin.com
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by dezagen | 2013-04-26 13:37 | | Comments(0)
本とのサロン2で紹介した本
編集宮後です。
さる3月27日に行われた第二回「本とのサロン」で
わたくしが紹介した本。
各国の造本コンクールで受賞した本が国別にまとめられた図録です。

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こちらは2008年度オランダの造本コンクール受賞図録。
色紙の上に受賞本を並べてそのまま撮影するという斬新な紹介方法が目をひきます。
ページごとに色紙の色を変えていたりして芸が細かい。
そもそもこの撮影方法だと、同じ本が数冊要るんじゃないかという疑問はさておき。

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表紙には文字がなく、四角いから押しのみ。
すごいコンセプチャル。

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こちらも同じくオランダの2010年度造本コンクールの図録。
蛍光ピンクと紺の特色使いがきれい。
蛍光とカラーページを交互に入れているので、
この方法だと印刷代がそんなに高くならないんです。うまい。

オランダはへんてこ本がけっこう受賞していて、
この本は、生まれてすぐ里子に出された青年が
自分の家族親戚、近隣住人をたどってつくった顔写真入り人間関係図。
顔写真がぬりつぶしてある人は調査に非協力的だったり、
青年と心理的距離があったりする人なんだとか。
世界の美しい本〜珍書編」でも紹介しましたが、ぶっとんでます。

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こちらはドイツの2010年の造本コンクール受賞本。
オランダと比べるとなんだか普通に見えますが、
本の置き方を工夫して撮影しています。

これらの図録自体はデザインフィーもそれほど高くないので
毎年違う若手デザイナーが担当することが多いのだとか。
みなここぞとばかり自己主張しながら、
のびのび自由にデザインしていますね。
(入手できなかったんですが、ジオラマをつくって、その中に本を置いてる図録も。
 もはや図録なのか何なのかわからないという...)

単調でつまらなくなりがちな受賞図録をどう見せるか、
各デザイナーが知恵をふりしぼっている様子が
ブックデザインにもよく表れていて、楽しくなります。

各国の造本コンクールの図録は、
印刷博物館で毎年行われている「世界のブックデザイン」の
展示期間中に会場で販売されていますので、興味ある方はどうぞ。
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by dezagen | 2013-04-25 19:49 | | Comments(0)
トークイベントby小林章さんまとめ
編集宮後です。
5月中旬に小林章さんが参加するトークイベントが
大阪と東京であるのでまとめました。

5月12日(日)13:00-18:00 大阪
和文と欧文 欧文分科会Vol.01
小林章と板倉賢治・上林修 - 西洋と日本 看板の違い(実践を交えて)
http://oubun01.peatix.com/

5月18日(土)18:30-20:30 東京(青山ブックスクール)
TypeTalks16「知ろう!選ぼう!Helveticaだけじゃない欧文フォント」
ゲスト:Typecache、特別ゲスト:小林章
http://www.aoyamabc.jp/culture/typetalks16/

5月19日(日)14:00-16:00 東京(代官山蔦屋書店)
『高岡重蔵 活版習作集』発刊記念トークイベント 高岡重蔵×小林章 対談「欧文タイポグラフィ、世界を目指して」
ゲスト:高岡重蔵、小林章
http://uyushorin.com/home.shtm
http://tsite.jp/daikanyama/event/001741.html
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by dezagen | 2013-04-25 16:07 | イベント | Comments(0)
横浜DeNAベイスターズ
編集宮後です。
モバゲーなどのソーシャルゲームで知られる
インターネット企業DeNAが企業ロゴを一新したのは今年1月。

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http://dena.com/company/policy/ より)

今までにない手書き風のロゴタイプが気になって調べたところ、
博報堂とのパートナーシップのもと、デザインはWolff Olinsが手がけたそう。
http://www.wolffolins.com/news

Wolff Olinsといえば、東京メトロのロゴやロンドンオリンピックのVIを手がけた
世界的に有名なブランディングエージェーンシー。

企業がグローバル展開をするために、
海外のデザインオフィスにロゴを頼むことが増えるかも...
日本のデザイナーはうかうかしれられないな...
など、いろいろ考えてたんですが、
DeNAがオーナーのプロ野球球団はこのロゴ使うの?という素朴な疑問が。

「まさか使わないよね」って思っていたら、
新しいサードユニフォームに適用されてました。
週末のビジター試合のみ限定的に着用されるユニフォームです。
(従来のホーム用、ビジター用ユニフォームの変更はありません)

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http://www.dena-ec.com/item/185360315 より)

プロ野球のユニフォームでは、球団オーナー会社の企業ロゴを
そのまま適用する例も一部にはありましたが、
たいてい企業ロゴは使わずに、
ユニフォーム用の別ロゴを用意するのが一般的です。
しかし、IT関連企業が球団オーナーになり始めたころから
企業ロゴがそのままユニフォームに適用される例も出てきました。

今回のケースも近年では珍しいことではないんですが、
ロゴをつくった時点ではプロ野球のユニフォームに適用されることを
想定していなかったのでしょうか? 謎です。

プロ野球ユニフォームのデザインについて知りたい方は
書籍『これ誰がデザインしたの?』p.88-89をご覧ください。
「昔のユニフォームも全部見たい!」という方は
綱島理友先生の名著『プロ野球ユニフォーム物語』がおすすめです。
ユニフォームデザインの変遷が詳細に紹介されています。
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by dezagen | 2013-04-16 18:30 | これ誰取材記事 | Comments(0)
寺田模型店オープン
編集宮後です。
かみの工作所関連連続投稿ですみません。

さる4月6日、下北沢にテラダモケイの
フルラインナップをそろえたショップ「寺田模型店」が
オープンしました。

寺田尚樹さんの事務所「テラダデザイン一級建築士事務所」の
一角がショップ「寺田模型店」になっていて、
紙でできた「1/100建築模型用添景セット」の商品が
店内にずらっと並んでいます。
(写真提供:テラダモケイ)

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事務所の片面がショップになっており、
パーテーションをはさんだ奥が建築設計事務所というつくり。
設計事務所の中にショップがあるというのは
おそらく業界初ではないでしょうか。

看板などのグラフィックデザインは粟辻デザイン、
店内の空間デザインはテラダデザインだそうです。

海外のデザイン建築サイトなどで紹介されたら
新しい東京観光名所になりそうな気がします。


寺田模型店
住所:世田谷区北沢1-45-11 B1F
営業日:土曜日、日曜日のみ営業
http://www.teradamokei.jp/news/post-55.html
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by dezagen | 2013-04-16 18:13 | インテリア | Comments(0)
鈴木康広×福永紙工
編集宮後です。
しばらくぶりですみません。

今日はアーティスト鈴木康広さんと福永紙工さんの
コラボレーション製品のご紹介から。

「まばたきの葉」「ファスナーの舟」など
日常の風景を意外な視点から切り取るアーティスト鈴木さん。
鈴木さんが以前からつくっているパラパラ漫画がすごく好きで
いつか製品にしたいと思い、福永紙工さんをご紹介させていただきました。

その後、おまかせしていたんですが、福永紙工さんから
「あれ、製品化しますよ!」といううれしいお知らせが。

恵比寿の写真美術館で開催されていた映像イベントにあわせて
第一弾の製品「MABATAKI NOTE」が発売され、
順次アイテムが追加されてきました。

その追加アイテムがこちらの5製品。

パラパラハウス、パラパラハウス・ボックス
パラパラハウス・ボックスは、
パラパラハウス6冊が入る家型の箱です。
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ポストカード
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紙の葉
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クリアファイル
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コンセプトはこちらのウェブサイトをご欄ください。
鈴木さんのスケッチも素敵です。
http://www.fukunaga-print.co.jp/suzukiyasuhiro/

金沢21世紀美術館ミュージアムショップで4月21日まで、
六本木AXIS 2Fのショップ「リビングモチーフ」でゴールデンウィークまで
製品の展示と販売が行われているそうです。

今回の製品は「かみの工作所」とは別ラインで発表され、
プロジェクト名も「鈴木康広×福永紙工」と全部漢字です。

こういうアートプロジェクトを一般の会社で通そうとするとき、
「この作品、素敵」という感覚を共有するのがすごくむずかしい。
「作者の知名度や実績は?」とか、
「類書はどのくらい売れてるんですか?」っていう話になっちゃう。
みなさんも経験あるのでは?

そういうことをいっさいお伝えしなくても、
感覚を共有でき、「やりましょう」と判断してくださった
福永紙工さんには本当に頭がさがるおもいです。

製品には随所に福永紙工さんが得意の加工技術がちりばめられています。
ぜひ店頭で現物をさわって感じていただきたい一品です。
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by dezagen | 2013-04-15 07:20 | グラフィック | Comments(0)
アジアのメンタリティに則したデザインのありかた
先日、元日経デザイン編集長の勝尾岳彦さんと打ち合わせ中の話。
会話を要約すると以下のような話である。

「バウハウスを基礎とするデザイン教育を受けて(ちなみに勝尾さんは東京芸術大学卒。美術系大学の教育方法は身をもって体験している)、ドイツのような洗練されたプロダクトがよし、と学んだデザイナー達がとても多いのに、デザイナーの美学(それが美と言うのであれば。あるいは習慣化してしまった思考方法、信念とも言える)を好むのはほんのごく少数で、実社会のエンドユーザーが選ぶのは異なっている。
花柄の家電(中国や東南アジア圏で健在)、走り出しそうな炊飯器、ボタンが複雑な電子レンジ、要らないところにカーブのあるプラスチック製品もろもろ、そしてキャラクター付き○○といった製品群。」

これらのものが買われていくのは、それらが安価であるから選ばれている、という説もある。飽きやすいデザインを安く売っていくことで、製品のサイクルを早く回そうというメーカーの魂胆、という説もある。
だが、それだけではないだろう。
同じ予算を持っていても、ピンクでパール仕上げのカメラを選ぶ人もいるだろうし、キャラクター付きトースターを選ぶ人もいるだろう。むしろ、そのほうが多いような気がする。

会話要約の続き。
「シンプルな、言い換えればバウハウス的な、冷蔵庫を買ったとしても、そこにマグネットが付きシールが貼られ、ユーザーはカスタマイズしていく。ドイツやイタリアの超洗練されたキッチンが、(よほど優秀なお手伝いさん、メイドさんがいるか、潔癖症でもない限り)1年後、2年後同じ状態であるのを見たことがない。
キッチンユニットと調和しない電子レンジやトースター、鍋釜、キッチンウエア、洗剤、スポンジ、その他もろもろが浸食してくる。
こうした傾向は世界的なものではあるが、不調和でも新しい調理機器やその他の道具類を持ち込んでいく、製品に装飾をし自分だけのカスタマイズ化していくのは、アジア圏に圧倒的に多い。
人口が増えていくアジアのメンタリティに則したデザインのありかたを、今一度見直すべきではないか」
云々。

むろんアジアといっても、東西南北の気候風土の違いや、国・地域ごとの宗教・政治、生活習慣の違い、収入による層の違いは様々ある。
ただ、傾向としてヨーロッパは比較的システム化された、規格化された、グリッド的なところに従順であるのに対し、アジアはそれ以外の何かに魅力を見いだしている、とは言える。
(南北アメリカ、アフリカ大陸に関してはまだリサーチ不足。中近東はまだリサーチが必要だが、工業製品に対する考えとしては概ねヨーロッパに近い

経済が急速に発展したがゆえに、中産階級層が増え、生活用品や家財は伝統、機能より、新しさやステータスシンボルの意味合いが大きいため、デザインが多少不調和(と、考えるのはこれまたバウハウス的デザイン教育の名残)であっても、その時々に最新で良いと感じられる気分や、装飾性が重んじられる、とも言われる。

だが、経済成長が過去ほどではなくなっている日本はどうか?
持っている物がステータスシンボルという意味は、他アジア諸国に比べればかなり薄い。だが、その時々に最新で良いと感じられる気分で買っている、選んでいることには変わりなさそうだ。

話が逸れるが、私は実家に戻る時、げんなりしてしまうことがしばしばある。
私のマンションにあるユニットバスよりもお金が掛かっているであろうバスルームは、基調色はアイボリーで、改装した当初は美しかった。だが、そこにピンクの湯桶が置かれ、黄色のスポンジが置かれ、表がピンクで裏が水色のスポンジっぽい樹脂製のマットが置かれ、シャンプーとコンディショナーとボディソープには油性ペンで「シャンプー」「リンス」「ボディーソープ」と手書きされている。
キッチンのディテールは省こう。あまりにも生々しい話になってしまいそうだ。

ドイツ人デザイナーでウルム造形大学の創始者の1人であったオトル・アイヒャーは、生前、サインデザインは文字情報がなくなり、アイコン/ピクトグラムだけで示せるようになるべきである、と唱えた。
アイヒャーの予測は当たり、ヨーロッパ(特に北部)の空港は文字情報が非常に減ってきている。アイコン/ピクトグラムと数字(+ABCなど番号代わりに使われるアルファベット)に取って変わり、さらには自国の文字はほとんど出さず、英語だけの表示にしている場も多い。

アジアの空港はどうか。
成田、羽田、ソウル、シンガポール、クアラルンプール、バンコクなど、ここ数年で見た空港では、文字情報が減るどころか、むしろ多言語化(現地語、英語、中国語は基本で、たまに日本語)してきている。
これはアイコン/ピクトグラムよりも言語のほうが、即座に理解され、誘導しやすい現状を反映してのことだが、ひょっとすると、この多言語標記はいつまでも続くかもしれない。
というのは、そもそもアジア人は規格化されすぎると居心地よく感じないのではないか、と考えているからである。

ミニマル、シンプル、規格化、ドイツ/スイスデザインに好感を覚えている私なのだが、最近ウィーンに行った際、
ドイツの入浴剤tetesept と
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スイスのヘアケア用品Rausch
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を買い込み、バスルームに並べて見たところ……なんだか寒々しい。
バスルームなので暖かいのだが、視覚的に整然としすぎて、寒い。
実家に倣って、油性ペンで「バスソルト」「シャンプー」とか書きたい気分だ。
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by dezagen | 2013-04-14 20:02 | プロダクト・パッケージ
デザインタイドの終わりについて考えたこと
ライター渡部のほうです。

すでに読者の皆さんならご存じのことだとは思うが、4月3日、デザインタイドトーキョーのメールニュースが届いたので、この時期山ほど届く、4月半ばに行われるミラノサローネでの展示参加のお知らせかしらん、と軽い気持ちで開けて見たところ、
「2012年の会期を最後に解散することとなりました。」
というお知らせだった。

このお別れの挨拶は「デザインイベント」という1つの文化、長い目で見ればブーム、の終わりを告げるものである。
大概の場合、1つの文化が終焉するのは自然消滅するのだが、こうしたきちんとしたステートメントで締めてくれたことは、私のような伝える媒体の立場の人間としてはありがたいし、立派だと思う。

メールニュースの言葉をもう少し引用しよう。

「90年代後期から始まったデザインイベントの継続によって、
人々の生活にデザインというものが浸透する状況が培われました。
それに伴い、今ではデザインそのものの可能性が枠を大きく超えて拡がっています。
私たちは、そのような局面を迎えていることを強く認識し、
新たなビジョンと創造する力をもって、次のステージを準備したいと考えています。」

私がこのステートメントを「立派」だと感じるのは、デザインの世界がこれまでとは違う新たな方法へと向かう局面を迎えているにも関わらず、それをなかなか認めず、言い出さず、行動に移すことなく、これまで通りの方法の中で模索していた、あるいは、模索しているフリをしていたからである。

少なくとも東京において、デザインイベントは必要がなくなってきている。
現在デザインイベントを必要としているのは、100%designが現在行われているシンガポールの近隣諸国や上海を中心とする中国の商業地区、あるいはモスクワ、インド、南米など、いわゆるASEAN、BRICSの国々だろう。
これらの国々はデザインをイベントとして盛り上げ、意識化させ、一般認識として普及させる必要があるからだ。

なぜ、東京にはデザインイベントが必要なくなったのか。東京のデザインイベントの経緯を振り返ってみたい。

以前(2006年頃、かなり古いけど)、東京のデザインイベントがどのように始まったか年表にした図があるので参照まで。

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私自身の認識では、東京のデザインイベントが商業ベースではなく、一般的な文化イベントとして始まったのは、1998年のHAPPENINGだと考えている。
当時、プロダクトデザイナーといえば企業のインハウスデザイナーがほとんどで、個人で活動している人も少なくはなかったが、彼らが作品を発表する機会はほとんどなかった。あったとしてもインテリア関係や建築関係の業界内に向けられたものだった。

ヨーロッパでは事情が異なってきていた。
特に1993年にドローグデザインがミラノサローネで発表すると、新しいアイデア、デザインへの新しい解釈が生まれ、プロダクトデザインもまた文化の1つという認識が生まれてきていた。
この勢いはロンドン他の都市に飛び火し、デザイン文化は盛り上がりを見せていた。

HAPPENINGは内外の個人で活動するデザイナーを集め、主に青山近辺に点在するショップのスペースを利用し、展示した。観覧者はポラロイドで写真を撮り自分のカタログに写真を貼ることで、ただ見せる/見るのではない、参加型のイベントを作った。

当時『デザインの現場』の編集者だった田邊直子さんに、こんなイベントがあるんです、と口頭で教えられたのだが、過去に例のないイベントだったため、最初一体何をどうするイベントなのかもよく分からず、田邊さんの後ろにくっついて行った覚えがある。

私自身も取材を申し込まなければ話をする機会のなかったデザイナーに、気軽に話をできるチャンスだった。2,3の展示会場を回って、面白い、と気づき、その次の回には少しだったがお手伝いをさせてもらった。

当初は十数組の展示で始まったイベントも、東京デザイナーズウイーク、東京デザイナーズブロック他イベントと相乗効果を上げ、2001年、2002年は誰1人として全部は回れないほどの巨大イベント群となった。
学生の課題っぽい素人作品から、実験的なインスタレーション、プロや企業のプロトタイプ案や新作発表まで、さらに自動車メーカー、建築、音楽、飲食、スポーツなど様々な分野を巻き込み、内容は玉石混淆だった。

あまりの数の多さ、規模の大きさに付いて行けなくなり「もっと製品化に向かう作品を見せて欲しい」と言った(記事に書いた)のは、間違いだったかもしれない、と今となっては少し反省をしている。こうした意見は私だけではなかったとはいえ。
と言うのは、2005年、つまり東京デザイナーズブロックが終わり、デザインタイドに引き継がれた頃から、展示品、展示方法の質が上がり、いいものを効率良く見れるようにはなったが、その分、実験的なアプローチや無茶をする若手も減ってしまった。

メディアがデザイナーの自由を萎縮させてしまったのかもしれない、とも思う。だが同時に、印刷メディア自体が萎縮してきたこととも無関係ではないだろう。

やや話がそれてしまうが、ちょうど東京のデザインイベントが成長してきた時期と同時に、ウェブサイトのメディアが成長し、紙媒体が減り、2007年にはiPhoneが発売され、デジタルの情報がいつも手元にある、という状況になった。
『デザインの現場』は2010年に休刊したが、メディアの潮流の中ではそれも仕方のないことだったと思う。どこにいても、世界の情報が簡単に(そのほとんどは無料で)手に入り、個人ブログやSNSを通じて誰もが情報を流すことができるのだから。

個人のデザイナーが一般に向けて作品を見せる機会が皆無に等しく、東京のデザインイベントが始まった1990年代後半とは全く事情が異なっている。
一般的にもデザインの認識が高まり、定期的なデザインイベントという機会を設けなくとも、デザインの展覧会に出かけて見に行く。むしろ個々に行われる展覧会やイベントのほうが、実験的な作品に出会えることが多くなっている。

もうデザイナーはイベントという枠に捕らわれる必要はない。少なくとも東京に関しては。

再度、デザインタイドの言葉
「今ではデザインそのものの可能性が枠を大きく超えて拡がっています」
これもまた大きな意味がある。

2011年に震災が起こった時、当初、デザインは何もできない、無力だと感じたが、その後、節電のポスターや緊急キットの作り方、電力などインフラの整わない中でのメディアの作り方、避難所や仮設住宅のデザインなどなど。デザインは無力ではなかった。むしろ、これまで目につかなかった可能性を広げた。

デジタルメディアが発達し、広告が変容し、インターフェイス(主にデジタルに使われるが、パッケージもまたインターフェイスだと思う)のデザインは進化し、グラフィックとプロダクトも曖昧になりつつある。
これは日本に限らず世界的な事象である。
つまり、デザイナーだけでなく、デザインそのものが、イベントという枠を必要としていないのではないだろうか。

私はミラノサローネには行かない人なのだが、そこに集うデザイナー、メーカー、デザイン好きで訪れる人々、彼らが今、デザインをどのように捉え、人々に伝えようとしているのか、デザインタイドの解散を受け、デザインイベントのメッカであるミラノが(言い訳がましい締めにすると、ミラノは元々家具見本市なので、家具に集中するという方法もあるけど、それも含めて)今年は非常に気になっている。
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by dezagen | 2013-04-09 04:56 | イベント
4-5月のデザイン系展覧会まとめ
編集宮後です。
デザイン界の「NAVERまとめ」と化してますが、
こちらにいただいた展覧会情報のまとめです。
(注:宮後が行きたいものに絞り、地区別に掲載)


[銀座]
◎第15回 亀倉雄策賞受賞記念 平野敬子展
日時:開催中〜4月26日
場所:クリエイションギャラリーG8
http://rcc.recruit.co.jp/g8/

◎奥村靫正展「第2回奥村祭り」
5月7日〜5月31日
クリエイションギャラリーG8
http://rcc.recruit.co.jp/g8/

◎What's! Gold!?展
4月13日〜5月26日
ポーラ ミュージアム アネックス(銀座)
デザイナー森田恭通さんのアート作品の展示。
http://www.pola.co.jp/m-annex/


[竹橋]
東京オリンピック1964 デザインプロジェクト
開催中〜5月26日
東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/


[飯田橋]
美しさを極めるインクジェットプリントの世界
開催中〜5月12日
凸版印刷 印刷博物館
http://www.printing-museum.org/


[六本木]
◎カリフォルニアデザイン1930-1965 モダンリヴィングの起源
開催中〜6月3日
新国立美術館
http://www.nact.jp/

◎(  )も(  )も(  )も展〜デザインとまなざし〜
4月12日〜5月12日
東京ミッドタウン・デザインハブ
身の回りにあるさまざまなデザインを見いだす展覧会。
デザイナーの橋詰宗さんが企画とアートディレクションを担当。
http://www.designhub.jp/

◎デザインあ展
開催中〜6月2日
21_21 DESIGN SIGHT
http://www.2121designsight.jp/

◎カラーボキャブラリー展
6月21日〜10月6日
21_21 DESIGN SIGHT
藤原大さんによる「色」をテーマとした展覧会。
http://www.2121designsight.jp/


(2013.04.05追加)
◎FENDI — UN ART AUTRE
Another Kind of Art, Creation and Innovation in Craftsmanship
~フェンディ もうひとつのアート、クリエイションとイノベーションの軌跡~
4月3日(水)- 4月29日(月・祝)
東京藝術大学大学美術館 展示室3,4
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2013/FENDI/FENDI_ja.htm
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by dezagen | 2013-04-05 14:10 | 展覧会 | Comments(0)