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頭痛薬のパッケージ
ライター渡部のほうです。

少し前にアメリカのHelp Remedies http://blog.excite.co.jp/dezagen/22550998/ を紹介して、その続きで書こうと思っていながらずっと書けてなかったこと。
頭痛薬のパッケージについて。

普段から頭痛持ち、神経痛持ちのワタクシは、頭痛薬兼痛み止めが不可欠。(飲み過ぎないように気をつけてはいますが)
海外に行っても事情は同じなので、頭痛がするとすぐ薬局へ。で、溜まってしまった頭痛薬を見ていて、お国柄が出るものだなあ、と思った次第。

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右側の3つはアメリカのもの。前にも書いたけれど、上からボトルに錠剤がそのまま入っているタイプでイブプロフェン200mg40錠入り。私が見た限りボトル入りはこれが最小サイズだった。右中:色々薬局を回ってやっと見つけたブリスタータイプのアセタミノフェン24錠入り。右下は、Help Remediesの頭痛薬。
真ん中の列、上はノルウェー、下はフランスで購入。どちらもイブプロフェン400mg、12錠。
左の列、どちらもイギリスのもので(今回ブログを書くため友達に買って来てもらったもの)、上は安い商品でイブプロフェン200mg16錠100円程度、下は有名ブランド品でイブプロフェン375mg12錠500円くらいだったと記憶。
アメリカはハイパーマーケット並に薬が売っているので自分で、薬局のプライベートブランドを選んだ。ヨーロッパ、イギリスでは「頭痛薬下さい」と言って出されたものを購入。

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こちらはスイス(渡部千春現在地)
パラセタモール500mgとイブプロフェン400mg。薬局のプライベートブランド。いかにも真面目一徹な感じがスイスっぽい。でも上の色帯にグラデーションが入っているあたりは、真面目で共通点のあるドイツとちょっと違うかも。ドイツに行ったら頭痛薬見てみよう。

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フランスで購入した、フランスとイタリアで流通しているもの。開けてびっくり、メタリックなブリスターパックだった。意味なくハイテクっぽいのはフランスお得意。意味あってハイテクなのもあるけど。外箱のオレンジと黄緑の組み合わせはフランスっぽい。オレンジには踊る人々の柄が地模様になってるわ、写真だと見えにくいが、箱の内側も黄緑だわ、でなんだか賑やかな薬。

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ノルウェーのもの。箱の色合いが北欧っぽい。

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EUに加入している国の薬は外箱に点字表示の義務あり。
中のブリスターは一個一個切り取れるもの、切り取れないけど真っ直ぐ並んでいるもの、ギザギザに並んでいるもの、と様々。
EUの薬は中に、日本と同じような説明書が入っている。アメリカは外箱での表示義務が多く、箱の大きさが足りない場合、ノートみたいなものが箱に着いていたりする。

当分買わなくていいくらい溜まってしまったので、これ以上コレクションはしないつもり。
ちなみに日本人は通常イブプロフェン1日450mgが目処。400mgは出されたのでそのまま買いましたが、ヨーロッパではこれ、1日3錠まで、と書いてあるので、人間の体力の違いを感じる(薬に強い体力なんて欲しくないけど)。

以上写真は、スイスのもの以外、渡部ゼミの学生が撮ってくれました。
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by dezagen | 2014-05-26 21:36 | プロダクト・パッケージ
TAKEO PAPER SHOW 2014
編集宮後です。
5月25日(日)からTAKEO PAPER SHOW 2014が始まりました。
TAKEO PAPER SHOWは、紙の総合商社「竹尾」が開催する紙の展示会で、
1965年から開催されている歴史ある展示会です。
(歴代のペーパーショウはこちらをご覧ください)

前回の2011年度は震災の影響もあり例年と違う形で開催されましたが、
今年は原研哉さんがディレクターとなり、従来の展示と近いスケールで行われました。

今回のテーマは「SUBTLE」。「紙がもたらす繊細かつ重要な価値に焦点を当てることで、ファインペーパーの可能性をさらに切り拓いていく」ことをテーマにすえ、15組のクリエイターによる作品展示と様々な紙の使われ方を見せる展示を軸に会場構成されています。会場は、東雲にあるスペース「TOLOT」。倉庫という広く静寂な空間を生かした展示になっていました。

展示の写真をアップします。
やはり会場で実物を見て感じとってほしいので、紹介はひかえめに。
とても繊細な展示台の上にそれぞれの作品が展示されています。

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15組のクリエイター作品の展示スペース。壁面には、写真家の上田義彦さんが撮影した写真が。

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中村竜治さん「コントロール」

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原研哉さん「チョコレートの帽子」

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中央の展示スペース。ここから紙の使用例紹介。
「ほとばしる」「したためる」などのキーワードを元に様々な紙の使われ方を編集する試み。

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「記す」というテーマで展示されているデザイナー、村松里紗さんのノート。

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新製品コーナー。新製品「風光」をレーザー加工した作品。

原さんがディレクターをつとめるのは「RE DESIGN」「HAPTIC」「FILING」に続く4回目となります。今回のテーマは、「紙が繊細なのではない。紙が掘り起こした人の感覚こそ繊細である」という書籍『SUBTLE』の前書きの文章に集約されているような気がしました。展示を見た人にこの感覚を感じ取ってほしいという想いをこめて、準備されたのではないでしょうか。「RE DESIGN」を開催した2000年とは社会状況が異なるなかで、今の時代にどのように紙の魅力や必要性を訴求していくかを考えて出された答えが「SUBTLE」なのかなと解釈しました。

展示をじっくり見るには時間がかかるので余裕をもってお出かけください。展示作品を収録した書籍『SUBTLE』も会場で販売されています。

展示は、6月1日(日)まで、東雲のTOLOTで。
TOLOT 江東区東雲2-9-13 2F
http://www.takeopapershow.com/
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by dezagen | 2014-05-26 08:02 | イベント | Comments(0)
Roman and Williams
編集宮後です。
5月22日、代官山蔦屋書店で開催されたRoman and Williamsの作品集日本語版刊行記念イベントに参加してきました。

Roman and Williamsといえば、NYのAce Hotelの内装が有名で、泊まったことがある方も多いはず。独特の美意識に貫かれた空間デザインは他の追随を許さないものがあり、いま非常に話題になっています。

Ace Hotelのほかにもハリウッドセレブの住宅やFacebook本社の食堂など、さまざまな空間デザインを手がけています。

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どんな空間かは彼らのウェブサイトをご覧ください。素敵すぎて、ため息が出ます。。。
http://www.romanandwilliams.com

作品集の日本語版が刊行されたのを機に来日し、ご本人たちによるトークイベントが開催されたのでした。

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約1時間にわたり、自作についてスライドを見ながら語るお二人(写真中央)。すべてのスケッチは鉛筆で手書きで描かれ、25人のスタッフが図面に起こしていくそう。部屋に置かれている家具や小物なども世界中のさまざまな場所から自分たちで集めたもの。高価な家具から安価な雑貨まで、彼らの美意識によってミックスされ、独特な空間をつくりあげています。細部にまで気を配り、丁寧に愛情を注いでつくられるからこそ、人をひきつけてやまない空間ができるのでしょう。

Roman and Williams(事務所を運営しているのは、Robin Standefer さんと Stephen Aleschのお二人。Roman and Williamsという事務所名は二人のおじいさんの名前から)のお二人は、もともとはハリウッドで映画セットのデザインをしていたそう。映画の空間美術を手がけるうち、ベン・スティラーらハリウッドスターの自邸のインテリアを頼まれ、Ace Hotelの仕事で一躍注目を浴びることに。いまは大小さまざまなプロジェクトを抱えているそうですが、どの仕事にも共通した心地よさやあたたかさがあります。

日本で手がけた物件はまだないそうですが、将来お目にかかれるかもしれません。
実際に自分でその場所に行って体験するのが楽しみです。
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by dezagen | 2014-05-26 07:54 | イベント | Comments(0)
新しい場所など、いろいろ雑感
編集宮後です。
先日アップした雑誌についての記事、たくさんの方に読んでいただけたようでよかったです。

雑誌と並んでいま気になっているのが人が集まる場所について。

カフェやサロンなど、人が集まる場所はいつの時代もなぜか定期的ににブームがやってきます。いつでも誰かとつながれる時代になっても、いや常時接続時代になったからこそ、リアルな場で人と会うことの価値が以前よりも高まっているような気がします。

スカイプで簡単に打ち合わせができてしまう今、時間とお金を使って人に会いに行くというのは、とてもぜいたくで豊かなことなのだと思うようになりました。

最近、感度の高い方々がなぜか同時多発的に自分から発信する場所、人が集まる場所をつくられたのは単なる偶然ではなく、そういう兆候を感じられたからでしょう。

萩原修さんたちが中心となって運営している「国分寺さんち」、デザイナー松下計さんのearth & solt、台東区三ノ輪のオルタナティブスペース「undo」などなど、新しいスペースも生まれています。

新しい雑誌ができればそこに人や情報が集まってくるように、新しい場所にも人や情報が集まります。しかし、私たちはそれらに集まる情報を買うのではなくて、それらによって得られる体験を買っているのです。だから、わざわざお金を払って紙媒体を(物理的に)買う、その場所に行って体験するという行動こそが大事なんだと思います。クリックだけでは得られない何かを。

タイポグラフィ関連のイベントが盛況なのも、直接会うことの重要さ、体験の重さを参加してくださる方々が感じていらっしゃるからではないでしょうか。本を通じて知識を得ることはできるけれど、やはり著者(情報発信者)本人の口から直接発せられる言葉は力強く、受ける側の心に残ります。リアル空間でしかできないそうした体験の価値が今後ますます高まっていくことを考えて、次世代の編集をしないといけないなと思うのでした。

「体験」と並んで、これから重要になるのは「思い出」でしょう。どちらも物質/物体ではないものですが、それらをどうマネタイズしていくかがこれからの課題になりそうです。
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by dezagen | 2014-05-12 22:22 | その他 | Comments(0)
製本工房「EINBUCH」
編集宮後です。
少し時間が経ってしまいましたが、代々木公園にオープンした製本工房「EINBUCH」を訪問してきました。とてもセンスがよく、気持ちのよい工房です。

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工房主の毛利彩乃さんは武蔵野美術大学を卒業後、製本を学ぶため、ドイツに留学。帰国後、しばらくしてからこちらの工房を立ち上げたそうです。
毛利さんが留学していた付近には、こうした製本工房が街中にあり、個人のお客様が製本の依頼をされるのだとか。

この工房もそうしたドイツの工房をイメージして整えたそうです。壁には製本で使う道具がずらり。見た目も美しく、使いやすそうな収納。真似したくなります。
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こちらが工房主の毛利さん。
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平日はこの工房で作業をしているそうですが、打ち合わせなどで外出することもあるので、アポイントをとってから訪問したほうがよいそうです。個人からの依頼も受け付けてくださるそうなので、依頼したい方はこちらから毛利さんにご連絡を。
http://einbuch.jp/
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by dezagen | 2014-05-12 21:50 | その他 | Comments(0)
ノルウェーのデザイン事務所 permafrost
ライター渡部のほうです。

GWを利用して、ノルウェー、オスロに行ってきた。
このデザインチームに会いたかったから。
permafrost http://permafrost.no

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Oskar Johansen, Tore Vinje Brustad, Andreas Murray, Eivind Halseth.
(ノルウェー人の名前はカタカナ表記が難しいので、以下アルファベットです)

彼らには8年前東京で、昨年ロンドンのデザインイベントで会っている。
ロンドンでは、ニュースレターで「今年のロンドンデザインフェスティヴァルのノルウェー展示『100% Norway』ではこんなものを展示します」というインビテーションをもらい、写真の作品の実物を見に行った。
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北欧名物アーキペラーゴ、を木製玩具に。

これらの木製玩具のシリーズは2012年に開催されたデンマークのルイジアナ美術館での展覧会『NEW NORDIC Architecture & Identity』http://en.louisiana.dk/exhibition/new-nordic での出品作品から始まった。この展覧会は、建築作品の紹介の他、デザイナー、アーティスト、料理人など様々な分野でクリエイティブに活動する人々に各自60cm×60cmのスペースが与えられ、その中で「各自が考える北欧のアイデンティティ」展示するというもの。
permafrostは北欧が昔から得意とする木工を活かした玩具を作った。通常木製玩具というと、この半世紀以上変わらないような、家、車、船、といったところに落ち着きそうなところを、現代のノルウェーを象徴する油田やタンカーの形にしているギャップに彼らのユーモア心が垣間見える。

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彼らの活動の面白いところは、木製玩具(これからシリーズを増やし、NORBOという名前シリーズになっていくとのこと。NORはNorway/Nordic 、BOはノルウェー語で住むの意)のような素朴なプロダクトも作りつつ、ストッケのベビーカー、ベビーチェアや釣り具のような非常に複雑なインダストリアルデザインも手がけているところ。
彼らは同じ大学 The Oslo School of Architecture(現The Oslo School of Architecture and Design)の卒業生同士で、デザインの活動を開始したのは大学卒業と同時の2000年。
「これといった就職先もなく、卒業したばかりですぐ仕事が来るわけでもない。友達に聞いたりしながらグラフィックの仕事からインテリアから、できることは何でもやりました」と、Toreさんは言う。

その後、2004年からミラノサローネなど国際的な展示会に出展。自主制作品としてカーペットを選んだのは「飛行機ですぐ運べるから」とAndreasさん。「家具も出したいと思っていたのですが、輸送コストを考えると車で運ぶしかなく、簡単に運べるカーペットに行き着いたわけです」
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「カーペットもグラフィックデザインだと思っています。ただ厚みがあるグラフィックですね」(Andreas)
プロダクトの世界ではいきなり若手新人が量産品を作るのは無理に等しい。その点、建築を勉強しつつもグラフィックの感覚があった彼らは有利だったと言えるが、彼ら自身プロダクトはプロダクト、グラフィックは別モノ、というように分けて考えておらず、グラフィックもまたプロダクトを作る一つの要素、として捉えている。

日本を含め海外の展示会に定期的に出し、permafrostは高い評価を受け、徐々にクライアントからの依頼が増え、仕事の幅が増え(かなり時間的にはしょってしまうが)現在に至っている。

「仕事をし始めた時から、仕事は生活費を稼ぐため、かつ自分達の作りたいプロダクトも作る、という意識がああるのですが、徐々にそれが融合していくのが理想です。STOKKE STEPSの仕事は、クライアントから来た仕事ですが自分達のデザインを活かせた、理想に近い製品だと思います」(Tore)

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STOKKE STEPSは新生児から3才くらいまでの幼児向けに、段階的にアタッチメントを変えながら使える椅子。ストッケの有名な製品トリップトラップの考え方に近いが、新生児から使えるようになっているところが異なる。
最初は地面に付けるタイプのベッド式。子供の荷重と動きで柔らかく揺れるため、大概の子供は眠ってしまうそうだ。このベッドは椅子に装着することができる。
次の段階はベッドではなく椅子に座る方式。専用テーブルは着脱可能。6ヶ月くらいから使えるが、徐々に子供も大人と同じテーブルで食事をしたくなる、というときに専用テーブルを外す、という流れ。
最終段階は安全ベルトがなくても自分で椅子に座れる子供向け。大人でも座れるサイズではある(が若干バランスが悪いので基本的には大人用ではない)。

このプロジェクトでは、5段階の組み合わせを考え、サイズ、安全基準など「乳幼児が座るもの」として必要不可欠かつ安全なデザインを作る、ということが大きなチャレンジだったが、ディテールにpermafrostらしさが見える。
例えばテーブルや座面の下。見えないところだが、少し膨らんだようにカーブを作っている。アタッチメント用のネジも適度に大きく、掴みやすく、かつ角度が90度になるところは角を丸める、など全体的に大人も子供も触るものとして、柔らかい触り心地を求めたためだ。

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「僕たちは本当に基本となるものはなにかを常に考えています。余計なものをなるべく排除して、自ずとシンプルなものになるのだけれど、その中にフレンドリールッキングな要素も不可欠だと思っています」(Tore)
「フレンドリー」という言葉をプロダクトに使う時、通常「ユーザーフレンドリー」のように、ユーザーに分かりやすく、使いやすいデザインという意味であって、ユーザーに対して「友達のように親しい」ことまでは望まれていないが、permafrostの言う「フレンドリールッキング」は、単に分かりやすい、使いやすいだけでなく、友達のように接したくなる、触れたくなるような優しさが含まれているように感じる。

permafrostの仕事とやりたいこと、プロダクトとグラフィックが融合した好例としてもう一つ。

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AQ New Norwegian Aquavit https://www.facebook.com/NewNorwegianAquavit のアクアヴィット(芋を原料にする蒸留酒。北欧焼酎とでもいいましょうか)。
アクアヴィットを作っているオーナーに「新しいブランドを作ろう」とpermafrostから声を掛け、ボトルデザイン、グラフィックデザインも手がけた。左から「エクストラファイン」「クリスマス用」「夏用」のアクアヴィット。
XQはエクス(X)トラ・アク(Q)アヴィットの略、XXQはエクストラ・クリスマス・アクアヴィット、SQはサマー(S)・アクアヴィットの略で、通常「アクアヴィット」の略であれば頭文字の「A」を使うのが普通だが、ノルウェー語ではQのアルファベットを使うことは非常に珍しいため、アイキャッチとしてあえて「Q」を選んだ。Qを構成する丸と、右下に付く柔らかいストロークで紐や縄のような効果を出している。
文字の下にある波線はエクストラファインでは樽熟成を意味する樽の並んだ様子を、夏用ではその線をひっくり返しただけだが、夏の波の形となっている。
キャップに木を使い、ボトルの形は肩に丸みを持たせ、全体の柔らかな印象をまとめている。夏用のボトルの首が非常に長いのは、ボトルから注ぐ時にトクトクトクという独特な音を楽しむため。

ノルウェーでは酒類(アルコール4.8%以上)の入手が非常に難しい。免税店もしくは専売所のVinmonopoletで買うか、バーで飲むかの3択である。酒類自体の価格も高い。国内での広告も禁止されている。酒であれば一定量は確実に売れる、という状況だけにパッケージデザインに頑張る必要はないとでも言うように昔ながらのデザインを続けているブランドが多いが、徐々に「大切な時間を楽しむもの」としてパッケージデザインにもこだわる酒類(アルコール4.7%以下のものも含め)が増えてきたように感じる。
AQ New Norwegian Aquavitのように新しい価値観を持った少量生産のメーカーが増えてくれば、ノルウェー人のお酒の楽しみ方も変わっていくのではないだろうか。

permafrostの活動はゆっくりではあるが、デザインにできることを丁寧に考え、作って行っている。
私がなぜ13時間のフライトを使ってまでpermafrostに会いたかったのか、実は行くまでよく分かっていなかったのだが、実物が見たい、これに尽きると思う。情報が溢れ、写真を見ただけで疑似体験したような気になってしまい、実物を見る経験が比率として減っている。彼らの作品は、写真を見ただけでは分からない「触り心地」や「重さ」「製品とユーザーの近さ」を感じたい、と思わせる。デザインを実体験する重要性に改めて気付かされた旅だった。

製品写真: Johan Holmquist
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by dezagen | 2014-05-06 14:29 | デザイナー紹介
最近の雑誌について思うこと
編集宮後です。
編集者にとって、ゴールデンウィークは楽しみというより印刷所が止まってしまうという恐怖週間でしかありません。かくいう私もGW前に駆け込みで校正を戻したばかりです。

さてさて、この時期多い話題は、雑誌のリニューアル。特に、雑誌の小型化と制作スタッフ総入れ替え的なリニューアルが最近目立つ傾向でしょうか。

雑誌の小型化は、少し前から女性誌で始まりました。A4変型という従来の女性誌のサイズだと、大きすぎてバッグに入らないということで、同じ内容を小型化したミニ版が従来サイズと同時に流通するように。「どちらか読者が好きなほうを選んで買ってね」という戦略です。

出版社側の都合でいえば、小型化することで紙代も減らせるし、同じコンテンツを流用できるし、そのまま電子書籍にも展開できていいことづくめのようですが、はたして大小2サイズを同時刊行するほど読者ニーズはあるんでしょうか。読者が小さいほうを求めるのであれば、従来のサイズを廃止して、ミニ版だけでいいのでは?と思ってしまいます。

と思っていたら、男性誌の『HUgE』が判型自体を見直してミニサイズになってました(22.6 x 17.8cm)。アートディレクションはタイクーングラフィックスが担当。HUgEなのにミニサイズていいんだろうかという疑問はさておき。

小型化といえば、最近創刊された『Mart』の別冊雑誌『Sprout』。こちらも22.6 x 17.8 cm。iPad対応なのでしょうか?A5とB5の中間だから、紙の取り都合的には微妙なんですけれど、写真もそこそこ大きく載せられるし、誌面作りをしやすいサイズなのではないかと思います。

もう一つの特徴が編集長&ADごと入れ替える雑誌リニューアル。『芸術新潮』『anan』などが入れ替わりましたね。芸新は5月号からロゴも変わりましたよ。
http://archive.today/rT7Ea

今雑誌を創刊しようとしたら、今までにないジャンルのもので、編集長が1人でつくるのが面白いんじゃないかと思います。東京23区を1区ずつ特集していく雑誌『TO mag』や新しい文藝雑誌『mille』もそうですね。どちらも書籍コードで刊行されています。

実際に書籍1冊分の予算で本当に雑誌ができたので、まったく問題ないですよ。会社で雑誌コードを持っていなくても広告を入れずに書籍コードのまま定期刊行すればいいので。
(雑誌コードとは取次に定期刊行化を認められた媒体のみにつけられるコード。定期刊行しないものは、通常、ISBNから始まる書籍コードで刊行される)

つまらない本をつくるくらいなら、センスがよくて、やる気と体力がある若者にポンとお金渡して好きにつくってもらったほうが結果的に面白くて売れるものがつくれると思うんですけどね。荒削りでもいいので、そういう雑誌をもっと見てみたいです。
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by dezagen | 2014-05-03 23:57 | | Comments(0)
Help Remedies のパッケージについてもう少し
ライター渡部のほうです。

アメリカ、アーカンソーのホテルで見つけた小さい薬パック「HELP」 http://blog.excite.co.jp/dezagen/22294061/ について、創業者のネイサン・フランクと、デザインを手がけたブランディング会社Pearlfisherに詳細を聞いた。

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HELPのラウンチは2008年。ブランディング広告業界にいて出会った若者2人、ネイサン・フランクとリチャード・ファインによりNYで始まったプロジェクトだ。アメリカの薬局事情に疑問を感じ「ほんの少し気分が悪い時、世話をしてくれるのは医者よりも友達であって欲しい」という考えがそもそもの発端だという。
「製薬会社は友達が必要などとは思わない。彼らには科学や医療の世界で通用する独自の美学なり言語なりがあって、それが薬局の棚に溢れている」とネイサン・フランクは言う。

このブログでも書いたことだが、アメリカの薬局ではその量に圧倒された。薬局だから薬がたくさんあるのは当たり前なのだが、例えば頭痛薬の最小サイズが40錠、大きいものでは200錠など、サプリメントか?と思うようなサイズで売られている。
ほとんどの容器はプラスチックボトルでいずれは捨てられる。薬の色も紫やオレンジとかなり毒々しい。
プラスチックボトルは薬を保護し、色は薬を識別させる、とそれぞれ機能があってのこと。とはいえ見慣れない人間には過剰に感じる。

HELPのチームはこれらの「常識化」した事を考え直し、容器には手触りのよいモールドペーパーを起用した。強度と識別性のために色付きのプラスチックフレームを使っているが、生分解するものである。薬そのものに関しても余分な色素を使っていない。
最も重要な点は「少量」という点。頭痛薬やアレルギー用の薬、催眠剤は16錠と小さいパックにしている。

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加えて、洗練されたデザインであるところが他大手製薬会社、ドラッグストアチェーンのプライベートブランドとの違い。
2008年に発売された最初のパッケージでは、
モールドペーパーの容器のデザインをChapps Malinaが、http://chappsmalina.com 
グラフィックデザインをLittle Furyがhttp://littlefury.com/work/help-remedies まず手がけた。
Chapps MalinaのHPでは、製品になるまでのサンプルモデルも掲載されていて、いかに小さく、使いやすい容器にするか試行錯誤の跡が見える。

「小さな会社が流通していくには、パッケージが最も重要なコミュニケーションツール」とネイサン・フランクは言う。
2011年、コミュニケーション強化のため、Pearlfisher www.pearlfisher.com/designs/help_packaging がパッケージをリニューアルする。

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既存のパッケージの特徴は活かし、文字を太く、大きく表示した。それまで薬の形はエンボスで表現されていて、これはモールドペーパーならではの特徴であったが、思い切って印刷でのグラフィックに切り替えた。
「エンボスになっていた薬の形は印刷のグラフィックに変え、それぞれ枠の色と合わせたことで、目に付きやすく、識別しやすくなっている。このパッケージの中で薬の形のグラフィックは、HELPが持つ独自の言語で、これが消費者とのタッチポイントでありコミュニケーションになるだろう」(ジョナサン・フォード, Pearlfisher クリエイティブパートナー)

2010年に400ドルだった売上高は2011年には400万ドルとなり、前年比 1,000%(!)の伸び、 翌年も着実に前年比94%の伸びとなった。流通網もウェブアクセスも増加している。
2013年からはRemedies, LLCというホリスティックウェルネス(心身全体をケアし、日常生活の中で自然に治癒力を高めること)の会社の一部となっている。

売上の成功はパッケージの力だけではないにせよ、いいコンセプトがあり、デザインがそれを強化し、成功した好例。HELPを見ていると、大なり小なり社会の様々な問題もデザインがほんの一押しするだけで少しでも変わることができるのではないかと期待が膨らむ。

Help www.helpineedhelp.com
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by dezagen | 2014-05-03 18:25 | プロダクト・パッケージ