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福永紙工工場見学+コンペ開催
ライター渡部のほうです。

先日、大学の渡部ゼミで福永紙工の見学に行ってきました。

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ゼミ生に抜き型を見せ、解説する山田明良社長。

福永紙工といえば「かみの工作所」。
www.kaminokousakujo.jp

福永紙工の印刷、紙加工技術とデザイナーの発想で、テラダモケイ(デザイン:寺田尚樹 www.teradamokei.jp)や空気の器(デザイン:トラフ建築設計事務所 www.kamigu.jp/category/select/cid/359)など、これまでなかった新しい紙製品を発表しています。

特に得意なのは厚紙の抜き加工。
厚紙を抜く機械で、箱の抜きが出てきた、と思いきや、なんと1mmを切る厚さの段ボールでした。
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この薄い段ボールにオフセット印刷もでき、抜き、折り、箱加工も可能です。

機械さえ導入すれば工場のできることが変わるというものでもありません。
機械を使いこなし「加減」を理解する職人さんあってこそ。
例えばかみの工作所のカード「ミーーーラ」 
www.kamigu.jp/category/select/cid/357/pid/9420 は、包帯がぐるぐると巻かれたようなミイラの形。上からそっと剥がしていくと、細い包帯のように切り込まれた紙が細い紙片とな1本でペリペリとめくれていく、楽しいカードです。
これは2枚の紙を弱粘着で合わせて、そこに抜き型を当てて作ります。下の紙は抜けないように、上の紙だけ、しかも布のようなテクスチャーのある紙を抜くようにするのは高度な技術。

「うちは別に特別な機械を入れているわけでもないんですよね」と山田社長は言います。「でもそこをアイデアと工夫で何かできないかな、と試行錯誤しているわけです」
最近は社員の紙工ディレクター(この職業名は初めて聞きました。斬新)宮田泰地さんが中心になり、紙器研究所なるものを始めたとか。1枚の紙からどんな構造ができるか、プロトタイプを作りながら研究しているそうです。

工場が単に外部から受注を受けるのではなく、内部から発信していく。こうしたことはデザイン媒体の取材では多く目にしてきたことなのですが、では一般的かというとそうでもないのですね(この件については長くなりそうなので、いずれブログで書こうと思います)。
福永紙工さんのようにアイデアを積極的に受け入れていく、実行に移す企業は本当に希少で、そして魅力的です。

さて、そんな福永紙工さんの「かみの工作所」からお知らせ。
「ペーパーカード」デザインコンペ 2015 www.kaminokousakujo.jp/compe2015
「気持ちを伝える」というテーマに即し、平面の紙を立体にできるペーパーカードのデザイン提案を募集します。
エントリー期間は6月1日〜8月31日。
グランプリ1名 商品化+ロイヤリティ。 優秀賞2名 商品化+ロイヤリティ 審査員賞 10名 

重要なのは参加費 3000円が必要、ということです。
企業主催で有料のコンペは少しハードルが高くなるかもしれません。ですが、その分、本気で商品化を目指す人が募集対象とも受け取れます。
応募者限定の工場見学(7月3日と8月3日の2日、各40名)を行うのも、工場の技術をきちんと知ってもらった上で作品を作ってもらいたいという気持ちから。

結果はもちろんですが、この工場見学でどんな質問が飛び出すのか、すごく気になります。

福永紙工さんの工場に行って思ったのは、工場内がとてもきれいだということ。印刷会社はインクも出れば、断裁した時の紙の繊維も溜まって行きやすい、非常に汚れやすい場所なので、新品のシンクのようなというわけにはいかないものの、機械もパーツからきれいに磨かれていて、大事に使われていると感じました。

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by dezagen | 2015-05-29 10:00 | プロダクト・パッケージ
デザイン×ビジネス 最近のニュースから
編集宮後です。
少し前の『Wired』で、ビジネスとデザインの新しい関係について興味深い記事が載っていたので、一部引用してみます。

「多くの組織は、企業デザイン能力を補強する近道として、企業をまるごと買収している。そうしてこうした規模拡大は、なにも米国だけの現象ではない。噂によると、Barclaysは現在、ロンドンのデザイン人材にとって最大の雇用主となっているというし、シングテル(シンガポール・テレコム)は、シンガポールでデザインチームのために大規模なフロアを建設したという。自社の中枢機能にデザインを組み込むという点では、IBMが非常に積極的だ。」(『Wired』Vol.15 p.77より引用)

ほかにも、企業によるデザイン事務所の買収事例として、米CapitalOneによるAdaptive Pathの買収、FacebookによるHot Studioの買収、アクセンチュアによるFjordの買収事例が挙げられていました。つまり、企業が経営にデザインをとりいれるために、デザイン事務所に仕事を依頼するのではなく、デザイン事務所ごと買収して社内に取り込んでしまうという動きが活発になっているということです。

「そういう時代になったのか」と思っていたところ、また大きなニュースがありました。コンサル大手のマッキンゼーがLunarを買収したというニュースです。Lunarは、サンフランシスコ、シカゴ、ミュンヘン、香港にオフィスを構え、工学系、プロダクト、インターフェイス、グラフィックまで幅広い仕事を手がけ、過去30年間に数々のデザイン賞を受賞してきたデザイン事務所。 マッキンゼーがかかえる顧客の問題解決のためにLunarのデザイン力が活用されるそうです。アメリカのデザインビジネスメディアCo.Designによれば、今回の買収により、マッキンゼーは顧客へのデザイン提案が可能になり、Lunarはマッキンゼーの顧客と仕事をすることができるので、両社にとってメリットがあるとのこと。ほかにも、中国のコミュニケーショングループBlueFocusがYves Beharのfuseprojectを買収した話が紹介され、ビジネスにおけるデザインの重要性が増すにしたがって、このような買収が一般的になると書かれています。

日本ではまだそのようなニュースは聞きませんが、、今後十分起こりうることだと思います。世界的に見ると、デザインをとりまく状況が大きく変わりつつあることを感じます。
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by dezagen | 2015-05-18 23:25 | その他 | Comments(0)
weight watchersについて
ライター渡部のほうです。

先日、イギリスのブランディング会社で働く知人がfecebook上で「weight watchers」www.weightwatchers.co.uk のようなブランドは日本にありますか?と聞いていて、その後メッセージでやりとりしながら考えてみたのですが、やはりない、という結果に。

(以下、実際自分がイギリス在住ではないので、ウェブサイトから調べた資料になります)

weight watchersは減量を目的としたブランドで、カロリー控えめの食品(パン類、レンジなどで調理する1食分の食事セット、お菓子、デザート、ドリンク、肉類など)を販売するだけでなく、ウェブサイトではレシピや減量のヒント集を掲載し、また登録メンバーには
1)グループミーティング(leaderと呼ばれるコーチとの面談も含む)+PC上インターネットとスマートフォンアプリの健康管理
もしくは
2)PC上インターネットとスマートフォンアプリの健康管理+専門家とのチャットでの相談
を月10ポンド=約1850円で提供する会員サービスも行っています。
さらにPublic Health (日本の厚生労働省健康局のような部署)やNHS(国民保健サービス)とも連携し、地域のGP(総合医療医、つまり近所のお医者さん)の相談も受けることができるそうです。

カロリー控えめの食品ブランドは日本にもかなりありますが、weight watchersのように食品全般を網羅しているブランドがまずありません。
加えて、こうした食品の製品を購入しつつ、プロによるマネージメントを提供するというサービスそのものが製品となっている事例もあまり聞きません。

「あまり」というのは食品メーカーではないのですが、
タニタのヘルスプラネット hwww.healthplanet.jp 

オムロンのウェルネスリンク www.wellnesslink.jp
などはPCのインターネットとスマートフォンのアプリで体重、血圧、睡眠時間、運動量などの管理ができます。
ヘルスプラネットは無料。ウェルネスリンクのプレミアムコースは月300円。

日本のほうが安くて便利、月に10ポンド=約1850円は高い、と思うかもしれませんが、グループミーティングや専門家との相談を受けられるのであれば、これは別モノと考えたほうが良さそうです。

weight watchersはアメリカ生まれで、現在はイギリス、アイルランド、オーストラリアでも展開しています。
こうした個人の生活マネージメントをするブランドは今後も増えていくと思います。
重要なのは仕組みを作ること。
一般的にデザイナーの仕事というと、この仕組みの中でパッケージを作る、ウェブサイトやアプリのインターフェイスを作ること、になるでしょう。しかし、実際はこの仕組み全体を作り、さらに様々に変化する社会環境の中で仕組みをアップデートしていくこともデザインの作業だと思います。今後はむしろ後者のほうが重要になってくるでしょう。

タニタやオムロンのサービスも非常に丁寧なのですが、あくまで製品のアフターサービスのように思えます。まずは形のある商品ありきで、その商品や後発の商品を買っていくためのツールに見えます。
新しいものが出たら買い換える、という消費のあり方は徐々に変化していて、いいものを長く使いたいと思う消費者が増えていく中では、形のある商品を売るのではなく、サービスそのものを売る、そのサービスのあり方を考えることが今後のデザイナーの役割のように思えます。

例えばサンフランシスコ発のairbnb https://ja.airbnb.com/ は世界中にある既存のスペースを宿泊施設と考え、情報をまとめ、予約システムを作っています。日本ではまだまだですが、アメリカやヨーロッパでは旅行の一つの選択肢として非常にポピュラーなものとなっています。このシステムを発案したブライアン・チェスキー氏(現airbnb CEO)はデザイン学校の出身者。最初の発表はIndustrial Designers Society of Americaの会議だったそうです。その後、技術面の専門知識のあるスタッフと組むことで、システムを確立していきました。

今、自分が美術系の大学で教えていて、アイデアを目に見える形にする方法を教えているわけですが、weight watchersやairbnbのような仕組み、つまり目に見えない形にする方法も選択肢の一つとしてあることを伝えていく必要があると感じています。
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by dezagen | 2015-05-10 13:36 | その他
書影の森ー筑摩書房の装幀1940-2014
編集宮後です。GW中に読んだ『書影の森ー筑摩書房の装幀1940-2014』をご紹介したいと思います。

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出版人だけでなく本好きの間で一目置かれる存在で、数々の名著を世に送り出してきた名門出版社、筑摩書房。本書は、筑摩書房で1940〜2014年にかけて出版された書籍の中から234点の装幀を時代別に紹介した書籍。同社社員で装幀を手がけたのち独立した吉岡実さんや栃折久美子さんのほか、社外装幀家らの装幀を3つの時代別に分類し、制作にたずさわった関係者のコメントや回顧録の引用をもとに構成されています。

著者は『装幀時代』『現代装幀』『装幀列伝』など装幀にまつわる著書で知られる臼田捷治さん。臼田さんが所有している資料をもとに、筑摩書房OBや関係者、本書の装幀を手がけた林哲夫さんたちの資料を加えて編集されたそうです。

1940年刊行の『中野重治随筆抄』(装幀は青山二郎。筑摩書房のマークもデザインした)に始まり、2012年刊行の保坂和志著『魚は海の中で眠れるが鳥は空の中では眠れない』(装幀は水戸部功)まで、ずらりと書影が並ぶさまは圧巻。書籍だけでなく、PR誌『ちくま』、図書目録、しおり、投げ込み(本の間に挟む近刊書のチラシ)、新聞広告も掲載されていて、あふれんばかりの愛情が伝わってきます。

それにしてもなぜ一つの出版社の装幀がこれだけの注目を集めるのでしょうか。優秀な社内デザイナーや編集者が代々自社刊行物の装幀を手がけてきたという企業文化のほかに、「恥ずかしい本は出せない」という出版社としての誇りや品格が感じられるからではないでしょうか。筑摩書房に関する本はほかにも刊行されていますが、やはり著者たちの強い愛情を感じずにはいられません。

美術書の出版社の編集者であった著者がこの本を出したかった理由は、痛いほどわかります。本格的な箱入りの全集や書籍の装幀をきちんと記録しておきたいという気持ちと、すでに遠くに行ってしまった大切なものへの憧れもあるのではないでしょうか。

出版元は山口県周防大島の一人出版社、みずのわ出版。著者と版元が時間をかけて制作に携わったことが本から伝わってきます。いま本当に丁寧に本をつくろうとしたら、こういう作り方になるのかもしれません。山田写真製版所による印刷も美しく、手元に置いておきたいと思える一冊です。

書影の森―筑摩書房の装幀1940-2014
B5判糸篝上製本 209頁
収録タイトル234 フルカラー図版730点
本体10000円+税
ISBN978-4-86426-032-9 C0071
http://www.mizunowa.com/book/genre/12-an`nai.html
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by dezagen | 2015-05-07 07:39 | | Comments(0)
テラダモケイ初の映像作品完成!
日常のあらゆるものを1/100スケールで再現した紙の模型「テラダモケイ」。以前、本をつくらせていただいた関係で、その後もずっと展開を見守っていたのですが、今回なんと設立4周年ということで初の映像作品をつくったそうです。

今まで企業とのコラボレーションでつくられた映像はあったそうですが、自主企画で制作するのは初めて。教育番組やCMで映像制作をしている岡崎智弘さんが監督をつとめ、テラダモケイの寺田尚樹さんが制作総指揮をとるという体制で初の映像制作にのぞみました。

当初はストーリー展開も考えていたそうですが、単純に人(テラダモケイの人型パーツ「原器くん」)が歩いているだけの映像もありかも…ということで、短時間に多くの人が行き来する渋谷のスクランブル交差点をつくることに。交差点を行き交う通行人や乗り物の数が膨大なので、それらをスムーズに動かしてコマ撮りするにはどのようにしたらよいか、検証が重ねられました。

原器くんの動き方も検証し、1人が歩いているシーンを再現するのに3種類(左足を前、直立、右足を前)のパーツが必要なことが判明。1000体につき、それぞれ3種類ずつ、約3000体の原器くんを撮影用に用意したそうです。3000体の原器くんの足にはそれぞれ直系5〜9mm(6種類)の影がつけられ、影の幅ずつ動かしながらコマ撮りすると、歩いているように見える動かし方を考えました。つまり、影が大きいほど移動させる距離が大きくなるので、早く歩いているように見えるというわけです。ほかにも、成人男性、ちょっと太った男性、かなり太った男性、女性、子どもなど、多彩なパーツが用意されました。撮影までにこれだけのパーツを用意するのも大変だったそうです。

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撮影現場風景

実際の撮影現場では、交差点の模型をぐるっと囲むように7〜9人の女性が座り、パーツを動かしていきました。置いたパーツが倒れるとドミノ倒しのように他のパーツも倒れてしまうため、台座の下に貼ってはがせる糊をつけ、軽く固定できるようにしたそうです。みなさん両手にピンセットを持ち、左手で前のパーツを引き取りながら、右手で次ぎのパーツを置くという二刀流で時間を短縮。それでも全パーツを1コマ分動かすのに、20〜30分かかったそうです。

その間、岡崎さんはずっとモニタを見ながら、動かし忘れている箇所がないか、チェックしていきます。この作業を朝から晩まで1日12時間。長時間、集中力を持続しなければならない根気がいる作業です。予定していた長さの映像を撮影するのに8日間かかったそう。最後に岡崎さんが編集して、約30秒の映像作品「SHIBUYA 1001」が完成しました。

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1/100サイズの渋谷スクランブル交差点の模型

映像作品は、2015年4月29〜30日に渋谷ヒカリエで上映。交差点の模型も展示され、ワークショップやトークイベントも開催されました。近々、テラダモケイのウェブサイトに映像がアップされると思うので、ぜひご覧になってください。スタッフの皆様、お疲れさまでした!

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渋谷ヒカリエでのイベントの様子

TERADAMOKEI The Movie
第一回映像作品「SHIBUYA 1001」
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by dezagen | 2015-05-01 19:46 | イベント | Comments(0)