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2017年 ロンドンデザインフェスティバル Kingston University 卒制展
ライター渡部のほうです。

明日フライトで帰国。最後の残り時間は小さいイベントをちらほら。

最後に見たのは、大学生の卒制展。
キングストン大学 http://www.kingston.ac.uk/undergraduate-course/product-furniture-design/ のプロダクトと家具の卒制作品が並ぶ。

この4日間、プロとセミプロの作品をずっと見ていた目からすると、もちろんまだまだ作品は粗い。粗いけれど、大学生の作品だと思うと、かなりうまい。

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スパゲッティの容器と調理用具を一つのセットにしたもの。

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部屋のパーティションを収納にするアイデア。

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座る部分が可動式で隣り合っても、向き合っても使えるテーブル。

この展示全般では、コンパクトリビングが意識されていた。やはりロンドンも居住スペースが徐々に狭くなっていっている事をうかがわせる。

一番最後に見たのが偶然にも大学生の卒制展だった、というのは、帰国して大学教員業務に戻れ、という天のお告げなのかもしれない。やれやれ。


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by dezagen | 2017-09-24 06:57 | イベント
2017年 ロンドンデザインフェスティバル Jasper Morrison Shop 展示
ライター渡部のほうです。

ロンドンデザインフェスティバルでは、これまでのブログに書いた大型の展覧会/展示会以外にも、小さなスペースで行われているイベントが多くある。

ジャスパー・モリソンのショップでは、Typologie No. 1 La Boule de Petanque. という展示が行われていた。

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最初、この球体は何だろう?と全然分からなかった。
手のひらに収まる程度の、金属のボール、木製のボール、欠けている木製のボール、木に金属がうろこのようについているボール、などなど。

ふと見ると、壁に解説文が。
つまりは、ペタンク用のボールなのだった。
数十種のボールが並んでいたのだが、こんなに種類がある事に驚き、一つ一つの個性ある表情に感心し、製造工程を収めた映像に見入り、ボールを俯瞰で撮った美しい写真に見ほれる、という、普通だったら公園でおじさん達が遊んでいるボールなどほとんど気にも留めないというのに、ジャスパー・モリソンの手に掛かると、この一つ一つの魅力に気がついてしまうのだ。


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by dezagen | 2017-09-24 06:34 | イベント
2017年 ロンドンデザインフェスティバル London Design Fair
ライター渡部のほうです。

ロンドン滞在もあと1日。メインイベントの一つで、いわゆる「トレンディエリア」の東方面のOld Truman Brewery で開催されているLondon Design Fairに行ってきた。
これまで別々の扱いだった展示会London Design Fair、Tent London 、Super Brands Londonを一つの建物内に収め、PRもすべて一つにまとめ、コンパクトな見せ方になった、はずなのだが、例年と相変わらず混沌とした迷路状態は変わってなかった。
Old Truman Breweryという旧工場の場所だけに、突然何も試用されていない工場跡スペースが現れたり、混沌具合も楽しみの一つかな、とは思う。

リーフレット。
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ペラで印刷して、背に糊付けして来場者がめくって剥がすタイプ。折りの手間も掛からず、会場でバラバラ散らかったりしない。London Design Fairに限らず、ここ数年、特に今年はこの方式が多かった。

恐らく数百の展示者がいるこの中で、気になったものを。

セラミックの作品の人。Bethany Stafford
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キャッチコピーが「BRUTALIST INSPIRED CERAMICS」。ブルータリストにインスピレーションを得た陶芸。カッコイイ!
残念ながら説明してくれる人が不在だった。話を聞いてみたかった。

ギリシャをベースにする2人組のデザイナー157+173 designers http://www.157-173designers.eu
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照明機器のぶら下げに一般的なロープやベルトを使い、ランプシェードは布やヘチマ(!)を使う、というナチュラル志向。

台湾人の若い女性デザイナーのブランド、Before Breakfast. http://www.beforebreakfast.london
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この人、去年ラウンチした時は本当に小さいブースで、個人的にはとても好きなデザインなので頑張ってねー、と言う話をしていたのだが、高い評価を得て、1年で急成長。今回は目立つ場所に大きくブースを使っていた。
罫線を入れたノート類は、ステーショナリー大国日本から見ると「割とこういうのあるんじゃない?」と言われそうだけれど、派手目の色の選択や、粗い紙素材の選び方がユニーク。
日本でも是非扱って欲しい。

オランダのデザイナー、Susanne de Greafの照明。http://www.susannedegraef.nl
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全て金属素材で出来ているのかと思いきや、細い素材は、なんと、ポリエステルの糸!見事に騙された感じが心地よい。

ちなみに、全般的に細い金属素材で組み立てた作品はかなり多かった。それはそれで、なんとなく80年代風ポストモダニズム風なのだが、どうもポストモダニズム風(あくまで「それ風」)が流行っているっぽい。

こちらはメンフィスにインスピレーション受けてます、と言うスペインのAparentment http://www.aparentment.com
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大理石…。
重いから販売が大変なんじゃないかと聞いてみたところ「アメリカからの注文が多いんです。アメリカだと、車社会だとか、土地があるとか、であまり重さは気にしないみたいです。」とのこと。
一方、地元スペインでは、テーブルに置く程度の小物が売れているそうな。

他にもテラソ(人造大理石)で色の組み合わせを楽しむものなど、倉俣史朗を彷彿とさせる(とはいえ倉俣レベルまでは行ってないけど)作品も多々。

流行は常にリバイバルすると頭で分かっているのだが、実際に目の当たりにすると、80年代の日本のバブル期とポスモダニズムの「ちょっと恥ずかしい感じ」も同時に思い出してしまい、複雑な気持ち。

が、今回London Design Fairだけ一緒に見ていた29歳男性(うちの大学の卒業生、現在スウェーデンでデザイナーとして仕事中)が
「80年代ってこんな感じだったんですか?」
と真顔で聞いてきた。

考えてみたら展示者の多く、30代のデザイナーは80年代生まれ。
あの、ちょっと恥ずかしい感じ、を実体験していない世代なのだった。。

今回のLondon Design Fairの展示全体での傾向は、ポスモダニズム風もあるが、あとは素材(石、樹脂、陶など)そのままを活かした作品が多かった。
素材そのままだから、というのも理由の一つだと思うが、色彩、グラフィック的には、昨年はテキスタイルのパターン、あるいはパターンを活かした壁紙風の紙製品を押したものが多かったのに対して、今年は色ベタなものが多かった。

時代は巡るなあ。。


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by dezagen | 2017-09-24 06:06 | イベント
2017年 ロンドンデザインフェスティバル designjunction
ライター渡部のほうです。

ロンドンデザインフェスティバルのメイン会場の一つである、design junction
再開発の進むKings' Cross駅近くのエリア、美大のセントラル・セントマーチンズ校舎を含む3会場+屋外を使った大規模な展示。

行った日があいにくの雨模様で、かつ、まだ開発中ということもあって行き方がよく分からない、と思ったら、サインが秀逸。
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蛍光+矢印型。小さくても遠くからでも目立つ!

見た感想を先に書いてしまうと、ハイエンド向けでちょっと商業的すぎたかな、というのが正直なところ。すでに知名度のあるブランドやデザイナーの展示がほとんどで、新しいものを見るというよりは、プロ向け見本市の各メーカーの仮設ショールームが一堂に集まった感じ。
メインのスポンサーが、車のルノー、時計のラドー、国のバックグラウンドのつくトルコセラミック、と、これだけ見てもお金持ちっぽいのは伺えるところ。ハイエンドのマーケットが革新的でないということではないのだけれど。

気になったものをいくつか。

Seeds
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写真右の卵型のブースが商品。
卵型のブースがあっても使いにくそう、と、思ったものの、入ってみるとかなり居心地がいい。
1人でいてもなんとなく安心感がある。天井部分が空いているので閉塞感はなかった。2人で話をする(メーカーの人にはこのブースの中で話を聞いたので)のも、外からの雑音を適度に遮断し、適度に距離を保ちながら会話が出来る。
最大5〜6人は余裕で入れるサイズ。パーティーやビジネスシーン、公共の場など、多目的な用途を想定しているとのことで、私が個人的にこれいいいなと思った理由は大学での学生との相談時に使えるな、と思ったため。
周囲に人がいると話しにくい学生もいるし、かといって閉鎖空間も辛い。そんな時に便利だな、と。本当に個人的な理由だけど。
ガラス繊維強化プラスチック/ポリエステル製で、軽くて強い。また15個ほどのパーツを特別な道具なく組み立て、解体することができる。

デンマークのセラミックメーカー KAHLER(Aの上に‥のウムラウト)
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キャンドルの上から被せる陶器。 Urbania建築物の形になっているのが楽しい。
デザイナーは女性2人のデザインチーム、BECKER & BACHE。

2LG studioのシルクスクリーン+カフェ提案。
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インテリアデザイン事務所の2LGが発案するカフェは、2LGの壁紙風のパターンが載ったシルクスクリーンを体験し、乾くのを待つ間にコーヒーを楽しみましょう、できた紙はラッピングペーパーやポスターにお使い下さい、というもの。
美術系の大学にいるとシルクスクリーンは馴染みがあるが、一般的にシルクスクリーンを手軽にできるところはかなり数が限られているのだな、というのを実感した次第。
ただ正直言ってあまり現実的でないような気も。初心者の場合、それなりに服も手も汚れるし、シルクをやるならやるで準備しておいたほうがいい。コーヒーブレイクがあるのはいいと思うので、どうせなら(うちの)大学の工房にカフェを入れて下さい。

本当は筆頭に入れるべき、会場入口前の広場を使ったターキッシュセラミックの門。セラミック作家のAdam Nathaniel Furmanの作。
こちらはオフィシャル写真。
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入る時は雨だったので、うまく写真が撮れず。帰りに見たら空がすごい色になっていて、そのシルエットがきれいに見えた。
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そういう風に楽しむ作品じゃないんだろうけど。


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by dezagen | 2017-09-23 07:38 | イベント
2017年ロンドンデザインフェスティバル Design Frontiers
ライター渡部のほうです。

本日は、Design Frontiers というイベントに。
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14件ほどの小さな展示とはいえ、プロダクトデザインの実力者が揃った展示なので期待して行ってみると、良かった…、全く期待を裏切らない、いい展示だった。

最初に見たデンマークのテキスタイルメーカー、Kvadrat https://kvadrat.dk がいきなりこの猛獣。
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かなり振り切ってる。(ごめんなさい、こちらの作品の作者が分からず)

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かと思うとこんなかわいげな作品もあったりして、ただ布を見せるだけではない工夫が。こちらはChristien Meindertsmaの作。

スワロフスキーはトード・ボーンチェの作品を。
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トード・ボーンチェはミニチュアのような、細かい切り絵のような、細かさ、が一つの特徴でもあったが、近年はそうした傾向だけでなく素材の魅力をボーンチェ独自の解釈で切り拓く作品が増えている。
この照明は有機的な形に作ったクリスタルから、液体のような光の現れ方をするのが面白い。

nolii
またたくまにイギリスきってのスーパースターデザイナーになった、ベンジャミン・フバートの新作は、PC、モバイル周辺アクセサリーの提案。
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こちら↑は会場写真がうまく撮れなかったので、オフィシャル写真から。

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どれがどれだか分からなくなっているバッテリーやアダプタ類をスマートに収納したり、絡みやすいケーブル類をファブリックとグリップ感のある樹脂でまとめたやすくしたり。
こうした工夫は他のブランド、メーカーでも見ることが出来るけれど、見た目にもまとまりのあるシリーズとして出している。

Jijibaba
日本にも来月、Dover Street Market 銀座にラウンチ予定のファッションブランド「Jijibaba」(ジジババかあ…)。
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デザイナーはジャスパー・モリソンとハイメ・ハヨン。全然タイプの違うプロダクトデザイナー2人で共作?と思ったら、ジャスパー・モリソンラインとハイメ・ハヨンラインの二種で分かれていた。
ジャスパー・モリソンはスタンダード好きを反映し、ハイメ・ハヨンは家具やプロダクトなどにも使う曲線やちょっとしたアクセントを盛り込む、と、それぞれのプロダクトスタイルが洋服にも活かされている。
38種のアイテムはファッションのシーズン毎の新作を出していくスタイルではなく、継続的に売られるものになっているとのこと。

最後に見て、正に「frontier!」と思ったのが
Sebastian Cox とNinela Ivanovaのプロジェクト。
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一見、陶器かな?と思うようなランプシェード。これは木材チップに菌を培養し、菌糸の繋がりによって成型していく、というもの。作るのに大体1ヶ月くらい掛かるそう。
まだかなりプロトタイプ状態で、形もガタガタしているが、いずれもっと樹脂のようなきっちりした成型を目指す、という。


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by dezagen | 2017-09-23 00:09 | イベント
2017年 ロンドンデザインフェスティバル mt × Foyles
ライター渡部のほうです。

LDFでmtのエキシビションがあると知って、あわわ、とダッシュ。
会場はロンドン老舗の書店Foyles。

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ショーウィンドウと、店内1階の真ん中のスペースに水色、灰色、白のmtを使ったインスタレーションが展開されている。
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この写真の左側のスロープには、mtのテープ、そのままを重ねたものが並んでいる。
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様々な書籍カバーの色彩が入り交じる店内で、色を3色に絞り、穏やかな雰囲気にまとめているのは効果的だ。上の写真のように人々がくつろいでいるのも、この色柄の効果だと思う。

ショップのレジ前、雑貨コーナーにも特設のmtスペースが出来ていた。
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youtubeにこのインスタレーションの設置の様子がアップされているので、是非こちらも。



以下余談

90年代半ばにロンドンにいた私からすると、Foylesは今で言うとamazonがリアル書店になったような場所。あらゆる本が揃っていて、特に教科書系は確実にある。美術にしろ言語にしろ各セクションの書店員さんは正に生き字引で、書籍買うより店員さんの話を聞いているほうがよほど勉強になりそうな感じだった。本の並べ方も雑多で、本のありかは店員のみぞ知るという状況。まだコンピューター管理されていない時代のお話。


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by dezagen | 2017-09-22 07:42 | イベント
2017年 ロンドンデザインフェスティバル V&A
流浪の大学教員、たまにライター、渡部千春のほうです。

ロンドンデザインフェスティバル(以下LDF)、http://www.londondesignfestival.com HPを見てもその規模がよく分かってなかったのだが、ハブ地であるヴィクトリア&アルバートミュージアム(以下V&A)でパンフレットをもらって、規模の大きさに困惑中。
だって、パンフレットは280ページの分厚さ、インデックスに出ている展示数は合計273件。
えー!?
パンフレットの始めに地図があるのだが、見出しが「WHERE TO START」。赤字で示されたメインの場所だけでも10カ所ある。正に「どっから始めるの?」だ。

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というわけで、LDFをカバーすることなど到底できないので、LDFのレポートはあくまで表面を撫でた感じであることを最初にお伝えしておきます。
ごめんなさい。

さておき。
まずはV&Aから。https://www.vam.ac.uk

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今回のLDFのテーマはネオン、だそう。ロンドンの都会ならではの美しさを表しているとのこと。
展示のグラフィックを手掛けているのはペンタゴン。シンボル的なこちらのネオンは、ドメニク・リッパ作。

博物館の中での企画展示や単体の展示物が27件。単体の展示物は博物館の通常展示の中に紛れていて、探しながら歩いて行くと博物館全体も見れる、というのがV&A恒例の方式。V&Aの建物自体が複雑な作りなので、宝探しゲームみたいで楽しい。

私が面白いと思ったのはこちら。
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Lubna Chowdharyの1000個に及ぶ陶作品群 Metropolis。
展示会場は博物館の伝統的な陶芸のコーナーだ。その中に、手のひらサイズで作られた、家電やギターやパソコンなどなど、現代の生活用品が並ぶ。これらも100年経つと「古典的」と捉えられるのだろう。
会場ではChowdharyさん、本人が作品の説明をしていた。過去20年余りに亘って作られたもので、自分ではあまり意識していないが、その時々の彼女の生活に意味を持つものが作られている、と母親が気付いた、とか。

こちらはFlynn TalbotのReflection Room。
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説明なしでも圧倒的な力強さ。

V&Aでは他にプライウッドの展覧会やピンクフロイド展などを開催中。



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by dezagen | 2017-09-22 06:42 | イベント
Can Graphic Design Save Your Life? 展覧会
ライター渡部のほうです。

現在、ロンドン滞在中。
まずは気になっていた展覧会『Can Graphic Design Save Your Life?』へ。https://wellcomecollection.org/graphicdesign

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文字通り、グラフィックデザインは命を救う事が出来るのだろうか?をテーマにしたもの。


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  1. Provocation (挑発)のコーナーよりマラリヤを媒介する蚊が髑髏の顔になっているポスター。1941年 © Estate of Abram Games

展示は6つのコーナーに分かれている。
1)Persuasion(説得) 
 煙草を例に、いかに喫煙が健康を損ねるか、アニメーションやパッケージ、切手、ポスターなど(JTのマナー広告含む)。
2)Education (教育)
 人体の仕組みの説明、病気の説明など、書籍やアプリなどを紹介。いわゆる「保健体育」的な教育ではなく、知識の伝達方法。
3)Hospitalisation(入院治療)
 病院でのサイン計画(原研哉氏が手掛けた梅田病院含む)、タイポグラフィー、北米で使われている患者とのコミュニケーションを促すピクトグラムを使ったコミュカード、ディック・ブルーナの絵本など。
4)Medication (薬)
 薬のパッケージデザインや、製薬メーカーの機関誌など。
5)Contagion (伝染病)
 マラリア、AIDS/HIV、エボラ熱、ジカ熱まで、正しい知識を促すポスター、パンフレット類。
6)Provocation (挑発)
 がんや心臓病、摂食障害、アルツハイマーについての正しい知識を促すキャンペーン、自殺防止のホットラインなどのポスター、パンフレット、Tシャツグラフィックなど。

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Hospitalisation(入院治療)のセクションより。Illustration Dick Bruna © copyright Mercis bv, 1986

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Persuasion(説得)のコーナーより禁煙を促す切手類。various countries around the world

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Persuasion(説得)のコーナーより。Biman Mullick, Cleanair


 面白いのは、この展示会場のWellcome Collectionという施設は、デザイン専門の会場ではなく、医療や健康をテーマにした文化総合施設であること。展示も入場無料なので誰でもが入れる。
 企画は GraphicDesign& http://www.graphicdesignand.com という出版社も兼ねるデザインのプロによるものだが、医療、健康の場にいる人々など、より一般の目線に近いところから見たグラフィックデザインの可能性を探っている。
 会場を訪れる人々もカフェを利用したついでに見てみた、という感じの人も多く、それを意識してか、内容も分かりやすく、デザイン業界だけに閉じた展示ではなかったところはとても良かった。
 日本でもこうした、デザインや美術の専門でない場所で見れる企画がもっとあっても良いのではないだろうか。例が思いつかないけれど、例えば医大や大型病院の一角、あるいは小さいスケールでドラッグストアの中で個展、というのも有効かもしれない。

 展示に合わせて出版された同名の書籍では、参加デザイナーらに「グラフィックデザインは命を救う事が出来るのだろうか?」を聞いた回答が掲載されている。「YES」の答えが多い中で、オランダのアルツハイマー基金のロゴなどを手掛けたスタジオダンバーの答えは「NO」。「命を救うのは医者である。(中略)グラフィックデザインは相互理解を促す手段だ」と言う。
 
 グラフィックデザインの役割は大きいが、命を救う、というところまでは行かないのかもしれない。ただ、ポスターによって、メディアによって、健康管理アプリによって、知識を得て、未然に防いだり、周囲の理解を促すことは可能だ。

 欲を言えば模範的なグラフィックばかりではなく、効果のない(効果の出なかった)グラフィックとの比較もあればさらに理解しやすかったのではないかと思う。 
 常々、日本の麻薬防止ポスター「ダメ、絶対」のシリーズは影響力がないと考えている。最近はアイドルでもなくイラストレーションの女の子を使っているのを見て、もう全く訴求力はない、と感じた。
 麻薬が「ダメ」なものであることは誰でもが知っている。むしろ、なぜそれを必要とするようになるのか、一度依存するとどうなるのか、なぜやめられないのか、Contagion (伝染病)とProvocation (挑発)のコーナーではその点秀逸な作品が揃っており、「なぜ」を人々に理解してもらうことが必要なのだと感じた。


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by dezagen | 2017-09-21 14:36 | 展覧会
TAKAIYAMA inc. EXHIBITION「3F/B.C.G」
編集宮後です。
デザイナー、山野英之さんの事務所 TAKAIYAMA inc. の展覧会「3F/B.C.G」に行ってきました。タイトルになっている「3F」はTAKAIYAMA inc.のアプローチの法則であるFocus/Frame/Function(焦点、枠組、機能)、「B.C.G」(僕のCG)は山野さんのプライベートワーク名だそう。

展示ではこれまでの仕事を、フォーカス、フレームとグリッド、機能と構造、印刷、本、ロゴ、サイン、写真、動画、プロジェクトの10カテゴリーに分けて紹介。山野さんのプライベートワーク「B.C.G」の新作も展示されていました。会場はデザイン小石川、会場構成はDaisuke Motogi Architecture。山野さんの考え方やアプローチがまるっとわかる展示です。

こちらが会場写真。かなり広い空間ですが、14本の柱を中心にカテゴリー分けされており、1つずつ見ていくとかなり見応えがあります。小さな名刺から巨大なサイン計画、映像作品まで、様々なサイズや時間軸の仕事が一緒に並んでいて、山野さんのお仕事の幅広さを感じました。

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山野さんとは、2004年に『これ、誰がデザインしたの?』のブックデザインをお願いしてからのお付き合い。今は、文字デザイン誌『Typography』のデザインでお世話になっています。柱に貼ってある下2枚のレイアウトは『Typography』の誌面。かなり細かくグリッドが切られているのがわかると思います。印刷物で見ると、画像をポンと配置したように見えますが、レイアウトデータを開くと、このように緻密に計算されているのがわかるのです。

表面的には「センスがいい人が作った感じのいいグラフィック」に見えるのですが、その裏でかなりいろいろ考えられているのがTAKAIYAMAのデザインかなと思います。きれいなグラフィックで終わらず、ちゃんと機能しているんですね。建築家とのサイン計画の仕事が多いのも、感覚的ではなく、空間の中でグラフィックがどのように機能するかを考える構造的なアプローチをしているからなのではないでしょうか。

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こちらは、山野さん個人の作品「B.C.G」の展示。一番右がIllustratorで描いた元の絵で、その部分を切り取った作品が左側に並んでいます。Illustratorのデータを拡大しても画素が粗くならず、どこまでも均質に拡大されていく様子を作品にしたもの。一見、きれいな色の抽象画に見えますが、「スケールとは何か?」を再考させられる作品だと思いました。

こうして見ていくと、感覚的な部分と構造的な部分との振れ幅がかなり広いことに気づくかと思います。どちらかに秀でたデザイナーは多いのですが、両方をハイレベルにこなせる人は案外少ないのです。その振れ幅を楽しんでいただくためにも、じっくりと時間をかけて展覧会をご覧になることをお勧めします。

展覧会は、10月1日(日)までデザイン小石川で開催。
文京区小石川2-5-7 佐佐木ビルB棟2F
http://designkoishikawa.com/exhibition/383/
http://takaiyama.jp/news-post/exhibition-bcg/


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by dezagen | 2017-09-20 08:11 | 展覧会 | Comments(0)
髙田唯 日刊トリミング速報
ライター渡部のほうです。

現在、青山見本帖で高田唯氏の展覧会「AOYAMA CREATORS STOCK 09 髙田唯 日刊トリミング速報」が行われている。

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と、この写真ではなんだか分からないと思うのだが、このショーケースの中、
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このように、スポーツ新聞からの切り抜き(20×28mm。おおよそポスターやチラシの規格サイズと同じ比率(1:√2))が約1200枚(!)並べられている、というもの。
また、スポーツ新聞の切り抜きからインスピレーションを得たポスター作品10枚を展示。こちらの使用紙は新聞紙をイメージした紙「タブロ」。

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元の素材となっているスポーツ新聞は、エディトリアルデザインの観点からすると「きれい」や「上手」とは評されないものである。
むしろ、デザイン=設計などされていないような雑多な世界だ。
スポーツから芸能、エロまで、もろもろな情報を、1日という考える時間もないようなスピードで、一定の紙面サイズに詰め込むのだから、そこにデザインのお作法としての美的完成度までを求めるほうが無理と言うものだろう。

とはいえ、デザインのお作法に沿った美的完成度だけが視覚の楽しみではない。
変な話、ある程度「きれいなデザインとはこういうものである」という指南ができている現在、きれいなデザインを作るのは難しいことではないし、世の中に溢れている。
その作法から外れたものを見つけるほうが難しいくらいだ。

この展示は、高田唯氏が東京造形大学の高田ゼミで行われている「いつもと違う視点・角度・解釈などをテーマに」という作業がベースになっている。きれいに作る、分かりやすく作る、などのルールから外れたところにある面白さを、スポーツ新聞、さらにそのトリミング、から発見していこうという試みだ。
ショーケースの中に入ったグラフィックの断片は、理解できない形となって現れ、理解できないがゆえに面白味を発揮している。

東京造形大学ということは、すなわち、高田唯氏は私の同僚であるわけなのだが、高田唯氏の下で勉強できる学生は幸せだな、と常々思う(渡部ゼミも幸せですよ、言っとくけど!)。

展覧会は9月29日(金)まで。
11:00-19:00 土日祝/休
青山見本帖
東京都渋谷区渋谷4-2-5 プレイス青山1F 
TEL:03-3409-8931
です。是非!

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by dezagen | 2017-09-13 08:38 | 展覧会