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プライベートブランド考5

ライター渡部のほうです。
プライベートブランドに関する雑記。その5。
プライベートブランドだけでなくナショナルブランドも合わせ、どんな商品パッケージが安そうに見え、高そうに見えるのか、を考えてみる。

この前「プライベートブランド考4」では、
そっけないデザインが安そうに見え、複雑で凝ったデザインは高そうに見える、とも言えるが、かならずしもそうではない
と書いた。

実際そっけなく安そうに見えて本当に安いものは多い。
例えば、イギリスのチェーン店ではない西アジア系(インド/パキスタン系、と書きたいのだけれど、この国を2つ一緒にしていいのか良く分からないので、とりあえず西アジア系、としておく)スーパーマーケット(大きな個人商店、と言えばいいだろうか)で見つけた1リットルの食器用洗剤。
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ラベルのLIQUIDの下に「£1.49」とすでに印刷されている。
一般的な食器用洗剤だと1リットルサイズはなかなかないのだが、383mlで£1.00以上、が普通なので、値段が安いのはすぐ分かる。
さらに真ん中のボトル上部がひしゃげているのから分かるように、ボトルもベコベコである。
液体が毒々しい割には、ボトル素材は透明で色素も入れず、極力安く作ったボトルに見える。
全身これ「安い」の例。

次にそっけないデザインの例。モツァレラチーズ。
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表にメーカー名も何もなく「MOZZARELLA」の文字、のみ。入っているのは白いプラスチックの袋で、上下をシーリングしただけの簡単な包装。
これはフランスのスーパーマーケットで見たものなので「安そうだな」と思ったのだが、€1.50の値段は意外にもナショナルブランドの中価格帯より少し安い位だった。
このパッケージで?と思うが、むしろここまでシンプルなのは、あまり量産できないもの、例えばその地域の酪農家から直接買っている、とか、そんな理由があるのかもしれない。モツァレラチーズとしては普通に真ん中の価格なので、どういう事なのか実は分からなかった。

これで、€5.00以上だったら、希少品の高級品なのだろうな、とすぐ納得してしまうだろう。
高級食材を扱う専門店であれば、素人が作ったのかな?というパッケージ、あるいは何も書かれていない透明な袋に入っている、などはよくある。

シンプルさを高級感に繋げているプライベートブランドもある。
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イギリス、ウエイトローズのピクルス類の棚。
左側の紙ラベルが巻いてあるものはessential Waitroseという低価格帯のもの。真ん中の透明なボトルに直接文字だけが印刷されているものは中価格帯のもの。ウエイトローズの中価格帯のものすべてがそうではないが、これはパッケージデザインの要素を極力減らすことで、中身を重視させる。
ウエイトローズというスーパーマーケットは高級食品だけを扱う店というわけではないが、比較的所得の高い顧客が多いのでこうしたデザインも成り立つのだろう。


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# by dezagen | 2017-03-11 19:58 | プロダクト・パッケージ
プライベートブランド考4
ライター渡部のほうです。

プライベートブランドにおける「安さ」感というのはどのように演出されるのか、考えてみる。
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これは、イギリスのセインズブリーズのジャファケーキ。
日本であんまり馴染みのないお菓子だが、クッキーみたいなケーキみたいな生地にオレンジジャムが乗り、その上にチョコレートコーティングされているもの。
左がSainsbury's Basicsという一番安いライン。
現在の価格を調べてみると
Sainsbury's Jaffa Cakes, Basics 135g £0.60  (£0.44/100g)
右は中間価格帯ラインで、
Sainsbury's Jaffa Cakes x12 135g £0.75   (£0.56/100g)
(写真には映っていないが、ナショナルブランドと比較すると、McVitie's Jaffa Cakes x12 141g  £1.25 (£0.89/100g))

調べていたら、様々なジャファケーキの価格比較ページが出てきたので参考まで。2014年のもの。
http://www.thevalueclub.co.uk/2014/10/today-i-did-buy-in-of-jaffa-cakes-sold.html

Basicsと中間価格帯(プレミアムラインのJaffa Cakeはなかった)では、印刷は実際にはどちらも4色を使っていると思うが、Basicsは白地が多くジャファケーキのイラストも外観だけで「そっけない」感じ。中間価格帯のものは下地にオレンジ色を敷き、ジャファケーキは中が分かる切り口があり、写真を使っている。

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こちらはフランス、モノプリのクリームクレンザー。2016年。
左側の黄色いボトルが Monoprix P'tit Prix という低価格帯。 750 m 1,00 €
隣の緑のものが Monoprix の中価格帯 ブリーチ入り 750 m 1,13 €
真ん中の白いボトルはナショナルブランドの Cif 750 m 2,27 €、隣の緑はCif ブリーチ入り 750 m 3,00 €
と表示されている。

モノプリの低価格帯はすべて、ベージュの地色にオレンジの手書き風文字+イラスト、で統一され、いかにも印刷費もコストも削減しました、という感じがする。中価格帯は文字を特徴的に使い、強い印象があるが、低価格帯のものと同じボトルを使い、特別容器を使わずにコストを削減していることが分かる。
一方、ナショナルブランドのcifはオリジナルの容器(どこから見ても左右非対称な、作りにくそうなボトル)を使い、ラベルもグラデーションを多用したイラストだ。

スーパーマーケットという場では、そっけないデザインが安そうに見え、複雑で凝ったデザインは高そうに見える、とも言えるが、かならずしもそうではない、というのを次のブログで書こうと思う。

前のブログで取りあげたテスコの紅茶も、このセインズブリーズ、モノプリも、価格帯が違うラインで、同じ会社とは思えないほど異なるデザインを起用している。それぞれの対象が異なるためである。仮に同じ消費者であっても、その時の金銭感覚や、自分用なのかお客様向けなのか、などで異なるだろうが。

実際に商品を買う時は、パッケージデザインと価格だけで選ぶのではなく、中の品質、使い心地、食品ならその味、など様々な要因から結果が導き出されるのだが、パッケージと価格のバリエーションは、スーパーマーケットという場の中にある商品のヒエラルキーを作っている。このヒエラルキーの幅は、選択の幅であり、同じ店の中であっても消費者個人個人が「私は今、これを選ぶ=この位置にいる」という選択がより多くなるようにできている。
ラインによりデザインが異なるのは、「これを選ぶ。あれではない」という選んだ物と選ばなかった物との差異をはっきりとさせる役割がある。



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# by dezagen | 2017-03-11 18:20 | プロダクト・パッケージ
プライベートブランド考3
ライター 渡部のほうです。

プライベートブランドを考える雑記。その3。
まずそもそも、の話が抜けていたような気がするので、私がよく見ていて、かつ、プライベートブランド文化が非常に発展している、イギリスとフランスのスーパーマーケットでプライベートブランドはどのように売られているのか、どのように安さを演出しているのか、どのように価格帯の違いを見せているのか、を改めて見てみたい。

ちょっと前にも取りあげたけれど、イギリステスコの紅茶コーナー。ティーバッグ。
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こんな風にナショナルブランドとプライベートブランドが混在した形で売られている。
プライベートブランドがどれか、というのは分かりにくいかもしれないので、拡大すると
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一番スタンダードなライン。
Tesco 80 Teabags 250G £1.00(£0.40/100g) 80袋入りの他、袋数のバリエーションあり。

一般的なナショナルブランドと比較するとすれば、
例えば Pg Tips 80 Cups Loose Tea 250G £1.99(£0.80/100g) と比較すると約半額くらいの値段になっている。
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一番安いライン。
Tesco Everyday Value Teabags 40S 100G £0.25 (£0.25/100g)
こちらは40袋のみ。
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プレミアムライン。黒くてほとんど見えないけど。
サイズと茶葉の種類がいくつかあるが、比較目安として80袋入りのものは
Tesco Finest Fair Trade Tea Bags 80S 250G £2.69(£1.08/100g)
ナショナルブランドと比較すると
例えば Twinings 1706 Tea Bags 80S 250G £4.99 (£2.00/100g) の、やはり半額くらい。


先に「プライベートブランドがどれか、というのは分かりにくいかもしれない」と書いたのは、日本のプライベートブランドはかなり画一的で、概ねナショナルブランドに比べて白地の多い簡素なデザインなので、非常に見分けやすい。
一方、イギリステスコの場合(テスコに限らず、他のイギリスのスーパーマーケット、他のヨーロッパ諸国でも言えることだが)
ナショナルブランドもプライベートブランドもそれぞれ個性あるデザインになっているので、簡素=安そう=プライベートブランド、と単純には判断できない。「テスコ」というブランド感があるようにも見える。ただし価格を見るとかなり違うことが分かる。


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# by dezagen | 2017-03-11 05:32 | プロダクト・パッケージ
プライベートブランド考2
ライター渡部のほうです。

プライベートブランドのパッケージについての雑記、その2。
パッケージというよりは、プライベートブランドの利点、可能性について。

今、ヨーロッパ(私の知っている限りの話なので、イギリス、ドイツ、スイス、オランダ、北欧諸国など主にヨーロッパの北西側)のスーパーマーケットのPBで目立ってきているのが「フリーフロム free from (ラクトースフリーやグルテンフリーなど、アレルギー物質や、食餌制限のための要素を除いたもの)」や、カロリー、塩分を控えめにしたり、全粒粉で作られたりなど健康に配慮した食品のシリーズ。

スウェーデン COOP Änglamark (基本的にオーガニック食品のシリーズだが、グルテンフリーなどの食品も揃える)https://www.coop.se/Butiker-varor--erbjudanden/Vara-varor--varumarken1/Anglamark/

米国でもほぼ同様と言えるが、米国の場合、Whole Foods MarketやTrader Joe'sなど、健康配慮型の商品に特化したチェーン店の増加が目立つ。
こうした食品群は日本にもあるが、調味料から単品の食品、スナック、調理済み食品、総菜などに至って全てをカバーしているブランドはほとんどないだろう。
それぞれの分野専門のナショナルブランドではなく、総合的にブランドカテゴリーを作れるプライベートブランドだからこそ出来ることだと思う。

こうした健康に配慮したブランドシリーズの展開として考えられるのは、フィットネス機器、アプリとの連携だ。
日本と欧米ではかなり事情が異なるので、まずは欧米の事情から。
Apple Watch Nike+、fitbitや、Jawbone、withingsなどのアクティビティトラッカー、フィットネストラッカー類は歩数や運動量、睡眠時間や心拍数を計測、製品によっては体重計とも連動し、これらの数値をスマートフォンやPCのアプリで記録していき、健康管理に役立てるというもの。世界的には米国が断トツに売れているが、全世界的に普及が進んでいる。

アクティビティトラッカーアプリの多くは、食事管理のページもあるのだが、これがなかなか難しいところだ。
食品パッケージに書かれている栄養成分表を毎回丹念に手入力しているのも面倒だし、自炊している場合は素材とその計量、調理法による結果の違い、実際に食べた量まではなかなか計算できるものではない。
対応策としてfitbitやJawboneのアプリ、単体ではMyFitnessPalアプリなどが食品のバーコードを読み込む機能を持っている。英ガーディアンの記事によれば、MyFitnessPalのスキャンできる食品アイテム数は2016年1月時点で5万アイテムあるという。
プライベートブランドのパッケージの話に戻すと、フリーフロムや健康配慮食品のシリーズ群が作れている状況なので、これらの食品群とアクティビティトラッカーのアプリが連動しやすい下地が出来ている。
バーコードで読み取れるならば、ナショナルブランドでもプライベートブランドでも違いはないわけだが、消費者の目線で見ると、統一されたブランドがあることで、1)店舗で商品群を見つけやすい、2)パッケージに統一性があるのでスキャンする時にバーコードがどこにあるか分かりやすい、という利点がある。
プライベートブランドを持つスーパーマーケットやその親会社、機器類とアプリのメーカーとスポーツ施設や医療機関が連携すれば、さらに健康管理は充実するだろう。

と、プライベートブランドを活用した健康管理は可能性がまだまだあるのだが、これを日本にそのまま導入するのは無理がある。

・プライベートブランドの普及率が異なる。ヨーロッパと言っても国によって差があるが、売買高でトップのスイス53%に始まってスペイン、オランダ、ドイツ、ベルギー、オーストリアは40%超え、フランス、ポーランド、フィンランドは33%超え、イタリアは20%となっている(Private Label Manufacturers Association (PLMA)調べ 2015年発表のもの)。日本のデータが見つけられないが、5%程度と書かれている資料はあり(出典元不明)現状のスーパーマーケットや個人商店などを見る限り、これくらいのシェアでも不思議ではない。

・プライベートブランドへの意識が低い。普及率が低いのに合わせ、まだプライベートブランドの幅が狭く、価格の安さを売りにしているものが非常に多い。健康配慮型の食品群シリーズを作れる状況がまだない。(ひょっとしたら、将来的にも作れないのかもしれないが)

・食品の買い方が異なる。ヨーロッパ北西部の国々では、スーパーマーケットチェーンの種類も数も、日本に比べると極めて少ない。いつも行くスーパーマーケットがほぼ決まっていて、かつ、買い物頻度は少なく、1度にまとめ買いをする傾向がある。日本は複数のスーパーマーケット/コンビニエンスストアを使う消費者が多く、まとめ買いもするが日々、その都度必要なもの欲しいものを買い、鮮度を重視する傾向がある。

他にも様々理由はあるが、プライベートブランドの利点を活かす状況ができていない、というのは事実。
とはいえ、利点がある分野だけに、今後発展する可能性は高い。
恐らく、ヨーロッパやアメリカとは少し違った形で独自発展するものと思われる。
さて、どのように発展していくのだろうか。


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# by dezagen | 2017-03-08 23:50 | プロダクト・パッケージ
プライベートブランド考
ライター渡部のほうです。

このブログでは何度か触れていることだが、パッケージデザインの中でも海外、主にヨーロッパのプライベートブランド(英語ではprivate labels、と言われることが多いが、ここれはプライベートブランド、もしくはPBとする)のパッケージや、その在り方は私の課題の1つだ。
これまで十数年スーパーマーケットの商品を見てきて、そろそろ自分の考えをまとめたいところなのだが、様々な要素と国毎の違いもあるので、少しずつ、思いついたままに、考えなければいけないことを書いていこうと思う。

海外の、と書いたのは、日本でのプライベートブランドはヨーロッパのスーパーマーケット(この場合は、GMS = General Marchandise Store/総合スーパーの代表的な用語として、スーパーマーケットを使う)のそれとは異なり、あまり高い評価を受けていないためか、パッケージにもあまり発展が見られないためである。

日本でプライベートブランドの評価が低いことに関しては、別の機会に書こうと思う。
今回は、まず簡単にプライベートブランドのある利点について。

・ヨーロッパのプライベートブランドは細分化されているので一慨には言えないが、概ね同質のナショナルブランドよりも安い。
・ブランド毎にデザインを変えているため、価格帯やそのブランドの特徴が分かりやすい。
・ブランドの細分化は、価格帯(低価格帯、中価格帯、高価格帯)だけでなく、オーガニック、ベジタリアン、フリーフロムなど、消費者のライフスタイルや食餌制限に合わせ、分かりやすくなっている。
など。

また、例えばこれはイギリスのwaitroseのチーズコーナー(2013年5月撮影)。
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今は少し違うデザインになっているが、waitroseのPBではチーズの数字の表示が非常に目立つ。
これは熟成度を表す。
「3」であればマイルド、「6」はかなり熟成の進んだチーズ、という差が分かる。
「マイルドなチェダーが欲しい」とか、「今日はすごく醗酵の進んだ強いブルーチーズが欲しいけど、見た目からはどれくらいの強さか分からない」という時にはこの数字が役に立つ。

ナショナルブランドの「このブランドのこのチーズが好きだ」という場合は関係ない話だが、ナショナルブランドの場合、それぞれのパッケージデザインであるため、どの程度の成熟度なのかはパッケージのどこかに書かれた熟成度を探す。
熟成度が書いてないこともあるし、必ずしも他のメーカーと同じ表現だとは限らない。

数多くの商品がある中で、プライベートブランドは消費者が商品を決めやすいパッケージを採用している。


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# by dezagen | 2017-03-07 17:44 | プロダクト・パッケージ