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展覧会 マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good
ブログ久々、ライター渡部のほうです。

まず余談から。
この1ヶ月半ほど視神経が痛い!くらい海外ドラマにのめり込むだけのめり込んでいる。
主に見ているのはクライム/ミステリ系と歴史(19世紀以降)ドラマ。
DVDで見ている分にはまだ自己制御できていたような気がするのだが、配信のドラマや映画まで見出すと、もうかなり切りがなく自分でもヤバいなーと思っているところ。

配信のドラマを見始めたきっかけになったはAmazon ビデオの
歴史改変ドラマで、第二次世界大戦でアメリカが敗戦し、西側が日本(日本太平洋合衆国)の、東側がドイツ(大ナチス帝国)の占領地となっている状況の、1962年というのが設定。

私的な見所ポイントは、主に美術方面。映像の中の日本の表現で、セットの中に日本語看板など多く出て来るのだけれど1960年代にこの書体ないよなー、とか、そんな重箱の隅を突くような見方をしている。
書体の話は宮後さんに任せるとして(無責任)、話の流れで気になっていたのが裕福な日本人の家にイームズの椅子(だったはず、ちょっと前に見たので若干うろ覚え)があったり、家全体の作りがミッドセンチュリーモダンの建築だったりしたところ。
歴史改変のフィクションなので、どんな解釈もできるものの、例えば、ナチスの迫害を受けてアメリカに亡命/移住したドイツ系の建築家やデザイナーがいなかったら、アメリカの建築や家具の世界はかなり違ったものになっていたのではないか、とも考えられるし、また、ドイツに負けたアメリカの中で亡命建築家やデザイナーはどうなっていたのだろうという疑問も湧く。

歴史改変ドラマであっても、歴史を扱う以上、美術作りで気にしなければならないのは、実際の歴史上でどのような物が作られて、どれだけ普及していたか、どんな素材が入手でき、どんな加工方法が可能だったのか、という史実で、それを下敷きに「もしこうだったら」という美術のセットを作らなければ、違和感に引きずられて、ドラマという虚構の世界の嘘を突き通すことが難しくなってくる。
(未知の世界を描くSFや、あり得ない世界を描くファンタジーの場合はまたちょっと話が違うかもしれないが、それでも、ある程度の現実味にズレがあることで、フィクションの面白味が生まれると思う)

歴史ドラマの美術は実際の本物を見ないとダメだなあ、というのと、多くアメリカに亡命/移住したバウハウスのデザイナー達はどう暮らしていたのだろう、というのが気になっていたところに、バウハウスを代表するデザイナー、建築家の1人、マルセル・ブロイヤーの展覧会があると聞き、絶好の機会!と見に行ってきた。

東京国立近代美術館で3月3日から開かれている
マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good」
は、タイトル通り、ブロイヤーの家具に焦点を当てたもの。

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事前に「ここが見所」と、ワシリーチェア(展覧会中では「クラブチェアB3」)の初期モデルとその後の量産型では、パイプのジョイント部分が違う、ということを伝えられていた。
初期モデルではパイプのジョイントがほとんど熔接になっている、というので、実際に見てみると、X字に組み合わされた部分など難しそうなところも、しっかりと熔接されている!溶接工の手間も技術も要るので、これでは量を作るのが大変。
で、その後のモデルでは徐々にビス留めに変更され、工程も簡略化、熔接では固定されていた部分に若干のゆるみが出来ることで、クッション性も増している。
なーるーほーどー。
バウハウス関係の資料は多くあるので、写真で確認することもむろん出来るのだが、現物を見ると仕上がり具合や質感も分かる。熔接もきれいな仕上がりなのでドイツの溶接工の仕事の巧さも感じることができる。


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《アイソコン・サイドチェア BC3》 1936年 東京国立近代美術館蔵

ワシリーチェアやカンティレバーチェア(「サイドチェアB32」)に比べると、地味な存在だが、ブロイアーがイギリス滞在時(1935年〜36年)に作った、アイソコン社のプライウッド椅子「アイソコン・サイドチェア BC3」。
プライウッドのモールディング技術が向上してきた時代。家具へ応用はまだ挑戦部分の多い時期。新しい素材にチャレンジするだけでなく、スタッキングできる利便なデザインを作ったところもブロイアーらしい。

アメリカに渡った後(1937年〜)の活動(主に建築物)、日本の建築家芦原義信との交流なども紹介されている。
ものすごい細かすぎるところだけれど、1981年、芦原義信に送られたブロイヤー訃報の手紙がタイプライターでもなし、不思議な紙質と文字だな、と思ったら「電報」だった。

などなど、1つ1つ見て行くと、その時代の感触が分かってきてとても楽しい。
東京国立近代美術館の展示のいいところは、内容物は濃く、とはいえスペースはそれほど大きくないので、一つ一つの展示物を丹念に見て行ってもあまり疲れないジャストサイズだな、といつも思う。

もちろん、これは企画や会場構成スタッフの成果。
フライヤーも非常にいいので、是非手に取ってもらいたい。

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制作スタッフが気になったので、図録の奥付から。以下、敬称略。

会場構成 Landscape Products、
会場グラフィック・図録デザイン(及びフライヤーデザイン) PLUG-IN GRAPHIC(平林奈緒美、星野久美子)
図録制作 Butter Inc
企画・図録編集 東京国立近代美術館

展覧会は2017年5月7日(日)まで。

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# by dezagen | 2017-03-03 17:58 | 展覧会
オフィスファニチャーブランド「i+」
編集宮後です。
オフィスファニチャーの分野で新しい価値を提供してきた企業イトーキと、ヨーロッパの優れたオフィスファニチャーを日本に紹介してきたインターオフィスが共同で設立したブランド「i+」(アイプラス)。建築家でインターオフィス取締役社長の寺田尚樹さんがプロデュースとデザインを担当し、R&Dは両社で協働しているプロジェクトです。先日行われた2017年の製品発表では、テキスタイルデザイナーの安東陽子さんと照明デザイナーの岡安泉さんが加わり、より広がりのあるラインナップがそろいました。

i+の製品が初めてお披露目されたのは2016年。第一弾として、ホワイトボード、テレフォンスタンド、コートスタンドの3製品が発表されました。従来にはなかったスタイリッシュなオフィスファニチャーとして注目され、GOOD DESIGN AWARDのBEST100を受賞するなど、高い評価を得ている製品です。

それに加えて、今回発表されたのが以下の4製品。パーティション、テーブル、ミーティングテーブル、タスクライトです。

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パーティション(写真上)で使われている繊維素材は、安東さんが担当。靴下のように継ぎ目のない筒状に編まれており、パイプの上からすっぽりと被されています。継ぎ目なく編めるニット工場を探すところから始めたそうで、向こう側が見えそうで見えないちょうどいい透け具合が絶妙です。

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テーブル、ミーティングテーブルは、天板が白(メラミン化粧板)、黒(アクリル化粧板)、オリーブ(リノリウム)の3色。ミーティングテーブルは長さ1800、2400、3200mmの3種類。最長の3200mmのテーブルはかなり長いのですが、真ん中で補強することなく、直径25.4mmの脚だけで支えているというから驚きです。天板の中央には、USBや電源を挿せるタップがついていて、自由に取り外しができるそう。

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タスクライトは岡安さんとの協働。インターオフィスで扱っている家具USM Hallerのパイプの直径と同じ19.1mmのスチールパイプを使用。この細さの中に電源を収めるのに苦労されたそうです。

今回の4製品が加わり、合計7製品になったことで、オフィスらしいしつらえができるようになったそう。昨年の発表では空間に置いた写真がなかったのですが、今回の発表では上のような写真(以前、このブログでも紹介した小石川のハーフハーフで撮影されたそう)が紹介されており、より具体的な使用イメージがわくように工夫されていました。

従来のホワイトボードは事務的なものが主流で、選べるデザインが限られていました。それならば、自分たちで使いたいと思えるホワイトボードをデザインしよう、とこの企画がスタートしたそうです。そうは言っても「言うは易く、行うは難し」。オリジナル家具をゼロから作る場合、初期投資もかなりかかるはず。最初のプレゼンテーション、関係部署との調整、予算とスケジュールの管理、製造時の試行錯誤など、製品ができるまでに様々なストーリーがあったかと推測されます。細い脚でテーブルを支えていたり、細い支柱の中に電気が配線させていたり、すごい技術が使われているのですが、パッと見ではそんな苦労を感じさせず、純粋に「オフィスに置きたい」と思える製品になっているところがさすがです。

GOOD DEDIGN MARUNOUCHIでの発表会は終了しましたが、こちらの公式サイトで製品の詳細を見ることができます。サイトから製品の購入も可能。
http://www.iplus-furniture.jp

カタログ撮影の様子を記録したメイキングムービーはこちら。i+のロゴおよびカタログなどのグラフィックデザインは粟辻デザインが担当。ブランド立ち上げから統一されたイメージでディレクションされています。
http://www.iplus-furniture.jp/news/2017/02/iplus-furniture-making-movie.html
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# by dezagen | 2017-02-09 19:28 | プロダクト・パッケージ | Comments(0)
SNSのお作法
編集宮後です。編集者という仕事は、企画をたてるほか、取材、執筆、確認、掲載、宣伝とすべての作業をするのですが、情報を公開する役目もになっているので、どのように情報を開示するかということに非常に神経を使います。取材先や発信元から聞いた情報を、いつ、どのように、伝えるのか、心の注意を払わなければなりません。くわえて、それを読んだ読者や取材先がいやな気分にならないよう気をつけています。

そのためには普段からあらゆることを想定しつつ、誤解のない的確な文章が書けるようになる訓練が必要です。ネット以前はそのような訓練をしてきたプロの書き手が文章を書いていたわけですが、いまでは誰でも文章を書いて公開できる時代になりました。文章のプロではない人が長い文章を書いたり、SNSや広報の担当者になったりして、判断に迷うケースも多々あると思います。

そうしたときに参考になりそうな項目を箇条書きにしてみました。

・展覧会やイベントの告知、新製品の発表などは、情報発信元からRTしたり、シェアしたりする。
 自分が主催者でない場合は、情報元を明記したり、「〜だそうです」などの伝聞形を使ったりする。

・基本的には情報発信元が情報を流したときが情報の解禁日。

・デザイナーが手がけた仕事の場合、いつ情報公開していいか、クライアントに確認してから公開する。

・書籍の場合、版元によって、いつ情報公開してよいかのガイドラインが異なるので、版元の担当者に確認する。

あまり難しく考えずに、「相手はどう思うか?」という想像力があれば、だいたいOKなのではないかと。SNSの送信ボタンをポチっと押す前に、第三者的視点から再考する習慣をつけておけば大丈夫です。
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# by dezagen | 2017-01-31 23:04 | その他 | Comments(0)
デザイナーのすごさ
編集、宮後です。
ひとつ前の渡部さんのブログ記事を読んで、「言葉にできないデザイナーの仕事って何なんだろう?」という興味がわきました。仲條さんも中村さんも、デザインが魅力的なだけでなく、ご本人の人柄も大変魅力的で、デザインと人柄が渾然一体となって表現しがたい魅力になっているのではないかと感じました。「言葉にできない」というのは、デザインの表現部分だけ切り離して説明することができないからではないかと。

デザイナーの人柄がデザイン表現にどう影響するのか、個人的に興味があって、ずっと観察してきました。若いうちは、マーケットが求めているものに反応できる勘やセンスの良さでなんとかなりますが、年齢を重ねるごとにデザイナー本人が積み重ねてきた経験や人間的な深みがないと厳しいのではないかと感じています。事務所のスタッフを指導したり、学生に教えたりする機会も増えるので、人間力が問われるような気がします。

仲條さんは1933年生まれで御年83歳。現在、デザインの世界には、80代から20〜10代の人がいるわけですから、学校を出たばかりの若者は大先輩たちとは違うフィールドで勝負しないと勝てないわけです。それがデザイナーの大変なところでもあり、やりがいがあるところではないかと思います。

デザイナーという仕事は、まだ形になっていない概念を目に見える形にする非常に大事な仕事です。まだそこに存在すらしていない思想やぼんやりとした理念を整理し、視覚化することは、誰もができるわけではない特殊能力だと思います。たとえば、経営者が考えている企業理念を理解してロゴをつくったり、まだ世に出ていない新しい製品の形を考えたり。そのためには、デザイン力のほかに、経営者が求めていることを察知する直感、コミュニケーション能力、予算と時間を管理するマネジメント能力なども必要でしょう。それだけでも大変ですが、さらに本当に優れたデザイナーには進むべき未来を指し示せる能力もあります。これは優れた経営者や研究者にも備わっている能力です。

そう考えると、デザイナーというのは本当にすごい人たちだなと思うのですが、そのすごさが社会にあまり伝わってないような気もします。最近ではデザインが残念なケースで語られる機会が目立ってしまったがゆえに、よけいにそう感じます。

業界の中だけで話題にするのではなく、「デザインってすごいんですよ」ということを外に向けて語っていかないといけないですね。今年はもっと言葉でデザインを伝える仕事をしようと思ったのでした。
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# by dezagen | 2017-01-30 22:53 | その他 | Comments(0)
中村至男展と仲條正義展
ライター渡部のほうです。

1月13日から銀座で始まった2つの展覧会。
1つはクリエイションギャラリーG8の『中村至男展』(2月16日(木)まで)、
もう1つはギンザ・グラフィック・ギャラリーの『仲條正義 IN & OUT, あるいは飲&嘔吐』(3月18日(土)まで)。

仲條正義 IN & OUT, あるいは飲&嘔吐 http://www.dnp.co.jp/CGI/gallery/schedule/detail.cgi?l=1&t=1&seq=00000683


中村至男と仲條正義。
(以下、時々敬称略)
言っていいのかどうかよく分からないけど、普通にグラフィックの仕事を頼みづらそうなグラフィックデザイナーランキング多分5位以内の2人。だって、普通に文庫本の装丁(文字組込み)とか、コンビニで売る飲料のパッケージデザインとか、この2人に頼んだらどんなものが出て来るか全く予想が付かない。

逆に言えば、予測の付かないものが出て来るのがたまらない面白味であるところの2人だ。
まずは中村至男展(グラフィックデザイナー歴25年にして初の個展!)のほうに足を運ぶ。

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入っていきなり、多分、龍。多分、新年っぽい。
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でも今年酉年だし、何なのだろう…。とりあえず自分の理解できないものは後で中村さんに話を聞こう…。

壁を隔てて、二部屋+小部屋からなるG8の手前は新作。奥の部屋はこれまでの作品からの抜粋。一番奥の小部屋はデビュー時、ソニーエンターテイメント在籍時(1990〜1997年)から大体2000年くらいまで。奥に行くほど中村至男の原点に近づいていく、という仕組み。

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とりあえず奥までずんずん見て行く。
ああ、懐かしいな「携帯電話サイト「うごく-ID」(2000年)」

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の、小さい画面!
自分の名前等を入力すると、4コマもしくは5コマのアニメの中に名前の文字が登場する、というもの。とても小さいギミックがむしろ新鮮に思えた。
小さい画面だとやれることに限度があると思っていた時に、むしろこの限度内に収まっているからこその面白味を見いだしたものだった。

要素が少ない、というのは中村至男の特徴の一つだ(明和電機などの例外はあれ)。グラフィックの要素をギリギリまで削ることで、純粋に「見る」ことの面白さ、「発見」の驚きの強さを増す。

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例えばこの新作シリーズ。
手前のケーキのグラフィックは本展のポスターにも使われている、メインビジュアルでもある。ぱっと見るとホールのケーキを切った、ハッピーなグラフィックだけれど、よく見ればロウソクも切れている、火も半分に切れている。
現実ではこんな風には切ることができない。ひょっとしたら、すごい切れ味の真剣で剣士の師範の人に切ってもらったら、こういう切り方が出来るのかもしれないけれど、それを人間の目で見ることはできない。ひょっとするとありうるのかもしれない、それが目に見えないだけなのかもしれない。こんな疑問を起こさせる。
これにもっと説明的な、例えば上述したような剣士を書き入れたりとか、こんなのないよね、というような説明文が入ったとしたら若干しらけてしまう。
何も説明ないからこそ、自分の目で見たことでやってくる突然の驚きのインパクトが強い。
隣のグラフィックは水滴が指の間で止まっている。これはひょっとすると高性能写真で捉えれば撮れるのかもしれない。だが、中村至男特有のシンプルなまっすぐな線で描かれ、とても停止している。永遠にこれが続くのではないかと思う。
中村至男のグラフィックは時々、こんな風に見ている人を驚かす。

過去25年分(!)のグラフィックを集めて見ると、過去のものはより説明的だったようにも見える。
毎日広告デザイン賞に応募した1990年代前半の「としまえん」の作品は
(反射が見え見えで作品自体見にくくてすいません)、
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普段見慣れた原稿用紙なのに、くるん、と回っている。そして「としまえん」の文字を見ることで「ジェットコースターなんだな」と思う。これも非常にシンプルな手法で人を驚かしたグラフィックだったけれど、最近の作品に比べると「原稿用紙だよね」「回っているよね」という、明らかさ、が際立っていた。
今はもっと要素を削いでそれを伝えている。修練のなせる業だと思う。中村至男の作品はさらっとしていて簡単に作られたように見えるが、余計な要素をコンマ1ミリでも減らし、ギリギリのラインはどこなんだろう、と徹底的に最後の瞬間まで悩み続けてやっとここだと選ぶ。
そんな苦労が見えないところも中村風ではある。

ちなみに、前述の「龍」。
中村さんに聞いてみたら「ベクターで龍を書いてみたかった」とのこと。
なるほど。
「イラレってごくたまにソフトのバグで線が割れたり、バリがでたりするんですね。ベクターデータの第一メデイアとしてのマチエル(筆ムラや滲みかすれような)で質感を表現できないかなあ、、と前から思っていました。」
とのこと。
予想の付かない面白さで、今のソフトだから出て来る面白さで何かを表現できるか、そんなところに進化しているようだ。
って、技術が未熟だからこそ面白かった「うごく-ID」とも近いのかも…。まだまだ研究が足りないなあ。

G8で満喫した後に、中村至男展とスタンプラリーも行われている『仲條正義 IN & OUT, あるいは飲&嘔吐』へ。

もうこのタイトルだけで、何が出て来るやら…ドキドキワクワクハラハラするのだけれど、何が出てきても、もう仲條世界に入っていくしかないなあ、とも思うなあ、と想像していたら、やはりそうだった。

本当に圧倒されて、ブログに書こうと思いつつ写真を撮るのをほとんど忘れていたので、公式の会場写真はこちらで堪能して下さい。

1階の新作ポスター群(22点)は「MOTHER & OTHERS」がテーマになっているのだが、
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どこら辺がMotherでどこがOthersなんだろうか、とか、こっちが考える隙も与えず、勢いのあるグラフィックが目に飛び込んでくる。
仲條正義のグラフィックは言葉にするのが難しい。説明もしにくい。
写真の右端のグラフィックを見て、ライター歴24年の私の頭に浮かんだ言葉は

「ポッポー!」。

これだけ。
本当にこれではライター失格なのだが、多分バカボンのパパなら「これでいいのだ」と言ってくれると思う。
そして地階は仲條正義がエディトリアルを手掛けた『花椿』のページが平台というか斜め台というかの台にがーっと並んでいる。
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なんでファッション誌に力士なの?とか、考えても分からない。

デザイン系のライターとしてはデザインを解読したり、説明したりすることが仕事であり、また自然とそう向き合うものなのだが、仲條正義の作品に対してはもうこっちとしてはそんな努力はしない。
出てきたものを受け入れるしかない。
見て、その迫力に圧倒されてしまうので、受け入れます!という姿勢になってしまう。

ブログ読者には悪いが、仲條正義の世界感は言葉に出来ないので、とにかく期間中にgggに足を運んで、圧倒されて来て、と言いたい。

中村至男と仲條正義の展覧会に共通するのは、意外性とそれを受け入れる喜び、だろうか。
今、私は美術系の大学の先生という仕事もしているので、きれいな文字組だとか、人に理解されるための構成とか、グラフィックのお作法を一生懸命教えている立場ではある。
だが、たまにこうした「お作法」からぐっと突き抜けて「先生」の予想の付かないものを見たくなる。ルール度外視(じゃない場合もあるけど)で、ただひたすら見ていて生理的に気持ち良いもの、考えなくても頭の中で楽しくなってしまうもの、そんなものがもっと見たい。

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# by dezagen | 2017-01-19 16:28 | 展覧会