渡部のほうです。
3月、4月にパリと東京でミナ ペルホネンの秋冬新作発表展示会が行われた。
このバイヤー、プレス向けインビテーション。
左は先行したパリ向けの小包用の箱。中に右のメモパッド状のものが出て来る。
東京向けは、中身の若干異なるメモパッド状のものにシュリンクとシールで届いた。
メモパッドか?と思いきや、イラストが入っており、
このように↓パラパラマンガになっている。
毎回楽しいインビテーションで楽しませてくれるミナ ペルホネン。
今回のデザイナーは中村至男氏。
「パリの展示会場は建物の中庭を通って入るところで
行き方が分かりにくい人もいるのではないか、という話が最初にありました。
パラパラマンガで地図を追っていけば、分かりやすくなる。
そんな簡単なアイデアから作りました」
パリ向けのインビテーションは、箱を留めるシール部分に
「flip book--- please flip from the bottom」
「ぱらぱらまんがの本です。底からめくってください」
と書いてあったそうだが、
東京向けのものは、シュリンクのシールに「めくって下さい」と書いてあるので
それをよく見ずに剥がしてしまうと、
単にイラスト入りのメモパッドが送られてきたかのようにも見える。
「バイヤー、プレスなど関係者向けなので、ミナのことはすでに知っている人に届きます。
至れり尽くせりの親切さがなくても、見れば分かることは分かるし、
表にあまり説明を入れすぎるのは余計な感じがしたんです」
アニメーションになっていることに気がつき
何度となく繰り返し、うまく動かせるようになってくると
道をたどっていく人物の動きが滑らかになり
空には鳥が飛び、挨拶をする人が現れ、など
細かいところに気がついていく。
受け取った人たちからは、非常に好評な反応が返ってきたという。
と、さっくり作ったように聞こえるが、ページ数にして320ページほど、
アニメーションとしてちょうどよい流れを作るのは容易なことではない。
「何度もプリントアウトして、切って、めくって、
もう少しこうしようああしようと。切る作業が一番大変でした」
と中村氏は笑って言う。
パラパラマンガの適度な動き、出来事の入れ具合というのは
勉強して分かるものではなく、ただひたすら自分で作り、見直し
その繰り返しで生まれてくる。
中村氏はこうした隠れた苦労を惜しまない人である。
中村氏の作品を見るといつも思うことだが、
「見て見てこれってすごいでしょ」という感じがないのに
中身の濃いものを作れる人だなあ、と思う。