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チョコレート考28
ライター、渡部のほうです。

海外に行くと必ずスーパーマーケット(と可能なら市場)を廻る。
デザイン大国、イタリアならさぞかしすごいモダンデザインが!と思ってスーパーマーケットに行ってみたら、パッケージそっけなーい感じ、洗練されてないものが多くて驚いたことがある。
まだ市場や専門店の信頼が高く、みんなそっちで買うのかな?と食品専門店などを廻ってみると、今度は「ひょっとして50年前から変わってませんか?」みたいなパッケージ、あるいはパッケージもなくて包み紙だけ、ということが多く、これはこれでいいかも、と納得して帰ってきた。

こちらのチョコレートもイタリア、シシリーのもの。
ANTICA DOLCERIA RIZZA cioccolato di Modica 100g約1000円。

チョコレート考28_b0141474_11271910.jpg


お姉さんの絵柄も中のフィルムのパターンも昔風で、まあ、イタリアだからこういうものなのだろう、と、思ったのだが、が!
開けてびっくり、チョコレート本体が未だかつて見たことのないものであった。

チョコレート考28_b0141474_11301467.jpg


軽石みたいなテクスチャー。
粉を吹いたような超マット。
食べてみると、ざらっとしたチョコレート生地の中に砂糖(と今回の場合はヘーゼルナッツ)の粒がガリッと入っている。

何これ?おいしいかも…。

HP http://www.anticadolceriarizza.it/cioccolato.htm がイタリア語なので、google翻訳を使いながら、ようやっと理解したところによると、16世紀にシチリア王国に伝わったチョコレートの作り方を継承して作っているもの。

現在のチョコレートは、カカオ豆を炒ってすり潰したカカオマスにココアバター、粉乳、砂糖などなどを混ぜ、練って練って練ってとろけるように滑らかにして作られる。
製造工程参照:http://www.chocolate.or.jp/chocolate/process.html

ANTICA DOLCERIA RIZZA cioccolato di Modica は、16世紀当時石臼で挽いたくらいの粗いテクスチャーのカカオ豆のペーストがベース。
ざらっとしたチョコレートで、すんごいパンチのある(こういう言い方もうしませんかね)カカオの香りががつーんと来て、砂糖のガリガリっとしたテクスチャーも楽しい。

という、驚きがこのパッケージから伝わってこないのが残念だ。
というのは私がイタリア語ができないからだけど(裏読めば分かる)、ちょっと残念がもう一つ。

伝統的、昔ながら、レトロなパッケージも好きなのだけれど、このチョコレートの場合はちょっと半端に感じる。
バリエーション(柑橘味、コショウ、ペッパー、ショウガ、ナッツ入りなど)もあり、それが箱、左側のつぶつぶの絵や地の色違いで、フレーバー違いを表しているのだけれど、これがお姉さんの絵からくる「懐かしさ」を邪魔していると思う。
ベースの色違いだけですっきりさせたほうがいいのではないか。あるいは帯を使って見るとか。
中袋の素敵さも隠れていて惜しいし。
むにゃむにゃ。イタリアのパッケージデザインは難しい。

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2月27日 追記

イタリアのチョコレートのパッケージに半端感を感じるのは、本来輸出を目的としてないところに理由があるのかもしれない。

今回は、板チョコレートを中心に見ているのだけれど、それぞれ国も違えば、値段も違う。
ANTICA DOLCERIA RIZZA cioccolato di Modicaは1枚約1000円と、安くはないチョコレートであり、もともとのお店は比較的小さい個人商店のようだ。
どういうメーカーで、中身がどういったもので、ということを知った人が買うチョコレートであれば、外のパッケージにそれほど工夫は必要ない。
スーパーマーケット向けに作られた商品と、本来はターゲットが違う、と考えたほうがいいのだろう。

スーパーマーケットで陳列された際、どうしても競合商品と並ぶことになるし、消費者が必ずしもそのメーカーを知っているとは限らない。基本、情報がほとんど0な状況を想定して、他社製品との、あるいは同社でもバリエーション違いとの、「違い」をアピールする必要がある。

加えて、輸入食品のお店で見る商品は、スーパーマーケットでの陳列とも異なる。
その国、あるいは、その商品が陳列されると想定される市場の範囲を超えて、各地から取り寄せられているものが並列に並ぶ。
それだけに、見ていて面白いのだけれど、消費者からすると、全く知らない商品のパッケージからどこまで商品情報を読み込めるか、情報習得力が問われる場でもある。
by dezagen | 2012-02-24 11:57 | プロダクト・パッケージ