ライター、渡部のほうです。
美術系学校のシンボルマーク、
武蔵美に続いて、多摩美こと多摩美術大学。
http://www.tamabi.ac.jp
こちらもなかなか歴史があるので、「多摩美術大学」への道のりは結構長い。
多摩美のスタートは、帝国美術学校が1935年に分離し、多摩帝国美術学校が生まれたことに始まる。
(帝国美術学校の話は武蔵美のシンボルマークの項目をご参照あれ)
当時の校舎は上野毛。初代学長は日本グラフィックデザインの父、杉浦非水。
こちらは当時の校章。杉浦非水のデザイン。
戦時中は、校舎を撤収された上に空襲でほとんど焼失。
1946年に元軍需工場の溝ノ口工場跡での仮校舎からの再スタートを切る。
50年から52年に掛け、上野毛校舎を復旧、新築。
47年に多摩造形芸術専門学校、50年に多摩美術短期大学設置を経て、53年に「多摩美術大学」となる。
60年代からは現在の八王子の場所に徐々に校舎を新築していき、以後、本拠地は八王子のほうに移行。上野毛の校舎のほうは89年に社会人教育のための美術学部二部を設置し、役割分担ができていく。
さて、現在使われている多摩美術大学のシンボルマークができたのは1995年と、比較的最近。
学校創立60年と同時に、UI(ユニバーシティ・アイデンティティ)を整備したもので、デザインは現学長(当時美術学部二部客員教授)五十嵐威暢氏の作品が選ばれた。
ストライプが並んだ抽象的なマークに見えるが、モチーフは漢字の「美」。
こちらのデザインプロセスを見ていただければ早わかり。
これまで取りあげてきた、私立の美術系大学は、
東京造形がスパイラルをモチーフとした幾何学図形、
武蔵美は文字でMusashino Art Universityの頭文字を取ってストレートに表現した「MAU」、
多摩美は漢字を幾何学的にアレンジした日本の紋章風、
と、それぞれに学風を表しているように思える。
ところで、武蔵美も「美」のシンボルマークを持っているが、やはり美術系の学校の真髄は「美」なのだろうか…。
他の美術系学校のマークを色々調べて見る必要がありそうだ。