ライター渡部のほうです。
ヤマトグループの新VIが発表され、4月1日から使われ始めている。
私はこのニュースをTwitterで知ったのだが、私のタイムライン上ではあまりいい評価とは言えなかった。ツイートしていた人達はリニューアルされたシンボルマークと新しく生まれたアドバンスマークに対して、イヤだ、という意味の事を書いていたがTwitterの文章量が短いせいか明確な理由はあまり書いていなかった。
とはいえ、ニュースサイトやSNSなど広く見てみると、好意的な意見も多くあった。
私個人の意見を言えば、実は、特に何も思わなかった、のだ。
シンボルマークは前のものから足の数など複雑な重なり部分を極力減らし、可視性を上げている。イヤだと感じるほどの大きなリニューアルだとは感じられない。新しいアドバンスマークは猫の顔が抽象化されすぎ、2つの顔が重なり過ぎているようにも感じるが、アドバンスマークの使われ方が今一つ把握出来ていないので、これは判断しがたいところだ。
国際的に活動の幅が広がるヤマトグループだけに、日本独自の言語から国際語に変化していく時の当然の帰結だろうなー、と妙に納得してしまったのは、ひょっとすると自分の鈍感さかもしれず、むしろ強く拒否反応を出せる人のほうが羨ましい。
この新VIを手掛けたのは日本デザインセンターの原デザイン研究所。
日本デザインセンター facebookによれば
「「クロネコマーク」は(中略)環境デザインともいえる広がりがあります。」
と、シンボルマークを環境の1つと捉えている事が伺える。
また、上記のヤマトグループのサイトによれば
コーポレートカラーは「どのようなかたちになっても環境にノイズを生まず」とあり、ここにも「環境」という言葉が使われている。
これらの言葉から判断すると、新しいVIは周囲環境に溶け込み、視覚的ノイズにならないよう配慮されたデザインを目指したのだろうし、その意味でものすごく洗練されたデザインは納得がいく。
それでも「前の方が良かった」という人達の気持ちがあるのは、単なる愛着だけではないような気がする。新VIが排除しようとした視覚的ノイズだが、むしろこのノイズが愛されているのではないか。
ノイズって何だろう。カレーライスにおける福神漬けの毒々しい赤とか、そんな感じだろうか。山菜におけるえぐみだろうか。もちろんえぐみだけだったら山菜は食べられないんだけど。