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高田唯展「遊泳グラフィック」
ライター渡部のほうです。

現在、クリエーションギャラリー G8で高田唯展「遊泳グラフィック」が行われている。(高田唯の高は「はしごだか」。以下、「高」を使います)

G8の3つのスペースを
・Allright の部屋
・ゼミの部屋
・三角の部屋
と分け、それぞれの活動を展示。

すいません。気がついたら全然全景を撮ってきませんでした。

高田唯氏は、東京造形大学での同僚なので一応毎週顔を見てるのだけれど、大学にいる時はバタバタしていて、個人のプロジェクトの話やそれぞれの教員が担当するゼミの内容なども話す機会があまりない、というのが実情。
先月の青山見本帖での展示 http://blog.excite.co.jp/dezagen/27111749/ も合わせて、高田氏のデザイナーとしての仕事が見れるいい機会だった。
とはいえ、この展示もオープニングをミスってしまったこともあり、個々の作品コンセプトや高田氏のグラフィックへの考え方などはほぼ推測。

Allright の部屋。
2006年に始まった、グラフィックデザイン事務所 Allright Graphics から、活版印刷部門 Allright Printing、さらに音楽部門(え!?)Allright Music まで。

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東京ステーションギャラリーのジョルジョ・モランディ展と、確かデザインタイドに出ていた seeds のステーショナリーが並列で並んでいるところが素晴らしい。

高田氏の作品は、クライアントも大手からとても小さなグループ・個人まで、スタイルもストイックに活版と向き合ってるものから、混沌としているものまで、幅が広い。
展覧会のタイトルが「遊泳グラフィック」なだけに、まだまだ遊泳中、挑戦中、実験中なところもあるのだろうが、それぞれのクライアント+それを見る人に向けたグラフィックに収めつつ、少しの「ひっかかり」を残しているのが高田氏のスタイルのように思う。ただ気持ちよく馴染みすぎて見過ごしにならない、むしろ少しの違和感が後で記憶に残る。

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一緒に仕事させてもらった、東京造形大学の彫刻専攻紹介冊子(2段目、左端と真ん中)。
隠れエピソードとしては、2014年(2段目の左端)は舟越桂先生の既存の作品写真を使ったのだけれど、2015年はカバー写真の候補がなかなか決まらなかった。20分という短い間に先生方がどれだけ作れるかというかなりチャレンジャーな企画「塑造デモンストレーション」(参照 東京造形大学彫刻4年選抜展'15「塑造デモンストレーション」前方カメラ https://youtu.be/WKU8SPoKORA )で作られた塑像が大学のアトリウムに飾られていて(というか、置かれていて)、何もない背景だっただけに作品途中の勢いがぐっと伝わるいい感じだったのを、高田氏が「これいいかも」と両手で画角を作って枠組みを決め、さくっと決めたもの。
直感的に決められるこの人すごいな、と思った瞬間。

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JAGDA年鑑のラフ。こういう完成形前の仕事が見れるのは嬉しい。コピーの切り貼りでかなりアナログな作業だと気付かされる。

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ポストイットに書いてあるエピソード(笑)。

ゼミの部屋。
東京造形大学での高田ゼミ作品群。高田ゼミは普段気に留めないような、もしくは既存の美術教育の中で「グラフィックデザイン」と意識しないような、視覚への気づきをテーマとしている。

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紙パックの飲料の底を模写したもの。
通常は見えないところ。グラフィックデザイン/パッケージとして意識されているわけではない。完成品に印刷の色指定が見れる希有な場所でもある。

三角の部屋
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高田唯氏が延々と手がけている三角のグラフィック習作が G8の奥の小部屋にぎっしり貼ってある。
部活の壁打ちとかパス練習とかを思い出す。延々と同じ事を繰り返して、1つのフォームを完成させる練習なのだけれど、繰り返していくうちに、いつどこに変化球を入れると、相手がどう反応するか分かってくる。変化球の練習をしていても見つけられなくて、無心にやってると「あ」と気がつく行程。

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紙の端が焼けてる。意図した味わいなのか、経年なのか、今度会ったら聞いてみよう。

私が行った時は、台湾(多分)の若者が5人ほど熱心に見ていた。かなり親日な台湾のグラフィック界だけれど、高田氏のデザインは台湾でどう見られているのか(すごい人気なのかも)気になった。

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会期は10月19日(木)まで。
開館時間:11:00a.m.-7:00p.m. 日曜・祝日休館 入場無料
です。

Allight graphicsのHP

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# by dezagen | 2017-10-03 06:36 | 展覧会
2017年 ロンドンデザインフェスティバル Kingston University 卒制展
ライター渡部のほうです。

明日フライトで帰国。最後の残り時間は小さいイベントをちらほら。

最後に見たのは、大学生の卒制展。
キングストン大学 http://www.kingston.ac.uk/undergraduate-course/product-furniture-design/ のプロダクトと家具の卒制作品が並ぶ。

この4日間、プロとセミプロの作品をずっと見ていた目からすると、もちろんまだまだ作品は粗い。粗いけれど、大学生の作品だと思うと、かなりうまい。

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スパゲッティの容器と調理用具を一つのセットにしたもの。

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部屋のパーティションを収納にするアイデア。

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座る部分が可動式で隣り合っても、向き合っても使えるテーブル。

この展示全般では、コンパクトリビングが意識されていた。やはりロンドンも居住スペースが徐々に狭くなっていっている事をうかがわせる。

一番最後に見たのが偶然にも大学生の卒制展だった、というのは、帰国して大学教員業務に戻れ、という天のお告げなのかもしれない。やれやれ。


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# by dezagen | 2017-09-24 06:57 | イベント
2017年 ロンドンデザインフェスティバル Jasper Morrison Shop 展示
ライター渡部のほうです。

ロンドンデザインフェスティバルでは、これまでのブログに書いた大型の展覧会/展示会以外にも、小さなスペースで行われているイベントが多くある。

ジャスパー・モリソンのショップでは、Typologie No. 1 La Boule de Petanque. という展示が行われていた。

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最初、この球体は何だろう?と全然分からなかった。
手のひらに収まる程度の、金属のボール、木製のボール、欠けている木製のボール、木に金属がうろこのようについているボール、などなど。

ふと見ると、壁に解説文が。
つまりは、ペタンク用のボールなのだった。
数十種のボールが並んでいたのだが、こんなに種類がある事に驚き、一つ一つの個性ある表情に感心し、製造工程を収めた映像に見入り、ボールを俯瞰で撮った美しい写真に見ほれる、という、普通だったら公園でおじさん達が遊んでいるボールなどほとんど気にも留めないというのに、ジャスパー・モリソンの手に掛かると、この一つ一つの魅力に気がついてしまうのだ。


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# by dezagen | 2017-09-24 06:34 | イベント
2017年 ロンドンデザインフェスティバル London Design Fair
ライター渡部のほうです。

ロンドン滞在もあと1日。メインイベントの一つで、いわゆる「トレンディエリア」の東方面のOld Truman Brewery で開催されているLondon Design Fairに行ってきた。
これまで別々の扱いだった展示会London Design Fair、Tent London 、Super Brands Londonを一つの建物内に収め、PRもすべて一つにまとめ、コンパクトな見せ方になった、はずなのだが、例年と相変わらず混沌とした迷路状態は変わってなかった。
Old Truman Breweryという旧工場の場所だけに、突然何も試用されていない工場跡スペースが現れたり、混沌具合も楽しみの一つかな、とは思う。

リーフレット。
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ペラで印刷して、背に糊付けして来場者がめくって剥がすタイプ。折りの手間も掛からず、会場でバラバラ散らかったりしない。London Design Fairに限らず、ここ数年、特に今年はこの方式が多かった。

恐らく数百の展示者がいるこの中で、気になったものを。

セラミックの作品の人。Bethany Stafford
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キャッチコピーが「BRUTALIST INSPIRED CERAMICS」。ブルータリストにインスピレーションを得た陶芸。カッコイイ!
残念ながら説明してくれる人が不在だった。話を聞いてみたかった。

ギリシャをベースにする2人組のデザイナー157+173 designers http://www.157-173designers.eu
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照明機器のぶら下げに一般的なロープやベルトを使い、ランプシェードは布やヘチマ(!)を使う、というナチュラル志向。

台湾人の若い女性デザイナーのブランド、Before Breakfast. http://www.beforebreakfast.london
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この人、去年ラウンチした時は本当に小さいブースで、個人的にはとても好きなデザインなので頑張ってねー、と言う話をしていたのだが、高い評価を得て、1年で急成長。今回は目立つ場所に大きくブースを使っていた。
罫線を入れたノート類は、ステーショナリー大国日本から見ると「割とこういうのあるんじゃない?」と言われそうだけれど、派手目の色の選択や、粗い紙素材の選び方がユニーク。
日本でも是非扱って欲しい。

オランダのデザイナー、Susanne de Greafの照明。http://www.susannedegraef.nl
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全て金属素材で出来ているのかと思いきや、細い素材は、なんと、ポリエステルの糸!見事に騙された感じが心地よい。

ちなみに、全般的に細い金属素材で組み立てた作品はかなり多かった。それはそれで、なんとなく80年代風ポストモダニズム風なのだが、どうもポストモダニズム風(あくまで「それ風」)が流行っているっぽい。

こちらはメンフィスにインスピレーション受けてます、と言うスペインのAparentment http://www.aparentment.com
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大理石…。
重いから販売が大変なんじゃないかと聞いてみたところ「アメリカからの注文が多いんです。アメリカだと、車社会だとか、土地があるとか、であまり重さは気にしないみたいです。」とのこと。
一方、地元スペインでは、テーブルに置く程度の小物が売れているそうな。

他にもテラソ(人造大理石)で色の組み合わせを楽しむものなど、倉俣史朗を彷彿とさせる(とはいえ倉俣レベルまでは行ってないけど)作品も多々。

流行は常にリバイバルすると頭で分かっているのだが、実際に目の当たりにすると、80年代の日本のバブル期とポスモダニズムの「ちょっと恥ずかしい感じ」も同時に思い出してしまい、複雑な気持ち。

が、今回London Design Fairだけ一緒に見ていた29歳男性(うちの大学の卒業生、現在スウェーデンでデザイナーとして仕事中)が
「80年代ってこんな感じだったんですか?」
と真顔で聞いてきた。

考えてみたら展示者の多く、30代のデザイナーは80年代生まれ。
あの、ちょっと恥ずかしい感じ、を実体験していない世代なのだった。。

今回のLondon Design Fairの展示全体での傾向は、ポスモダニズム風もあるが、あとは素材(石、樹脂、陶など)そのままを活かした作品が多かった。
素材そのままだから、というのも理由の一つだと思うが、色彩、グラフィック的には、昨年はテキスタイルのパターン、あるいはパターンを活かした壁紙風の紙製品を押したものが多かったのに対して、今年は色ベタなものが多かった。

時代は巡るなあ。。


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# by dezagen | 2017-09-24 06:06 | イベント
2017年 ロンドンデザインフェスティバル designjunction
ライター渡部のほうです。

ロンドンデザインフェスティバルのメイン会場の一つである、design junction
再開発の進むKings' Cross駅近くのエリア、美大のセントラル・セントマーチンズ校舎を含む3会場+屋外を使った大規模な展示。

行った日があいにくの雨模様で、かつ、まだ開発中ということもあって行き方がよく分からない、と思ったら、サインが秀逸。
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蛍光+矢印型。小さくても遠くからでも目立つ!

見た感想を先に書いてしまうと、ハイエンド向けでちょっと商業的すぎたかな、というのが正直なところ。すでに知名度のあるブランドやデザイナーの展示がほとんどで、新しいものを見るというよりは、プロ向け見本市の各メーカーの仮設ショールームが一堂に集まった感じ。
メインのスポンサーが、車のルノー、時計のラドー、国のバックグラウンドのつくトルコセラミック、と、これだけ見てもお金持ちっぽいのは伺えるところ。ハイエンドのマーケットが革新的でないということではないのだけれど。

気になったものをいくつか。

Seeds
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写真右の卵型のブースが商品。
卵型のブースがあっても使いにくそう、と、思ったものの、入ってみるとかなり居心地がいい。
1人でいてもなんとなく安心感がある。天井部分が空いているので閉塞感はなかった。2人で話をする(メーカーの人にはこのブースの中で話を聞いたので)のも、外からの雑音を適度に遮断し、適度に距離を保ちながら会話が出来る。
最大5〜6人は余裕で入れるサイズ。パーティーやビジネスシーン、公共の場など、多目的な用途を想定しているとのことで、私が個人的にこれいいいなと思った理由は大学での学生との相談時に使えるな、と思ったため。
周囲に人がいると話しにくい学生もいるし、かといって閉鎖空間も辛い。そんな時に便利だな、と。本当に個人的な理由だけど。
ガラス繊維強化プラスチック/ポリエステル製で、軽くて強い。また15個ほどのパーツを特別な道具なく組み立て、解体することができる。

デンマークのセラミックメーカー KAHLER(Aの上に‥のウムラウト)
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キャンドルの上から被せる陶器。 Urbania建築物の形になっているのが楽しい。
デザイナーは女性2人のデザインチーム、BECKER & BACHE。

2LG studioのシルクスクリーン+カフェ提案。
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インテリアデザイン事務所の2LGが発案するカフェは、2LGの壁紙風のパターンが載ったシルクスクリーンを体験し、乾くのを待つ間にコーヒーを楽しみましょう、できた紙はラッピングペーパーやポスターにお使い下さい、というもの。
美術系の大学にいるとシルクスクリーンは馴染みがあるが、一般的にシルクスクリーンを手軽にできるところはかなり数が限られているのだな、というのを実感した次第。
ただ正直言ってあまり現実的でないような気も。初心者の場合、それなりに服も手も汚れるし、シルクをやるならやるで準備しておいたほうがいい。コーヒーブレイクがあるのはいいと思うので、どうせなら(うちの)大学の工房にカフェを入れて下さい。

本当は筆頭に入れるべき、会場入口前の広場を使ったターキッシュセラミックの門。セラミック作家のAdam Nathaniel Furmanの作。
こちらはオフィシャル写真。
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入る時は雨だったので、うまく写真が撮れず。帰りに見たら空がすごい色になっていて、そのシルエットがきれいに見えた。
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そういう風に楽しむ作品じゃないんだろうけど。


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# by dezagen | 2017-09-23 07:38 | イベント